【業績で見る株価】CRI・ミドルウェアが出直り強める、今期業績のV字回復見通しなど好感

■前期は大型の期ずれなどあったがゲーム好調で動画圧縮技術なども拡大

 CRI・ミドルウェア<3698>(東マ)は10日の後場一段と強含み、14時にかけて7%高の1983円(131円高)前後で推移している。映像・音声などの近未来ソリューション技術を開発し、10月9日、前期・2017年9月期の連結決算を発表。大型案件の期ずれなどにより大幅減益となったが、今期・18年9月期は営業利益の見通しを2.5倍とするなど、V字型の急回復に転じる見通しとし、あらためて注目されている。

 17年9月期の連結業績は、新規分野として注力する監視カメラ映像や医療用映像などの分野では前期に続いて積極投資を継続した。しかし、組み込み分野の大型案件に期ずれが発生したことなどにより、売上高は前期比5.7%減少して12億5800万円となり、営業利益は同じく63.1%減少して1億1800万円となった。純利益は同60.6%減少して0.8億円となった。

 ただ、ゲーム分野では、国内ゲーム向け事業がスマートフォンF2P(基本無料形式)のオンラインゲームで採用が伸びるなど好調に推移し、主力のゲーム開発用ミドルウェアは、売り上げトップ100位までのアプリへの採用率がこの2年間で3倍(10%から30%)になり、スマホF2P売り上げは同じく2.5倍に、包括契約売り上げは同1.8倍に急拡大した。

 また、監視カメラの動画圧縮技術の分野では、日立製作所<6501>(東1)グループとの提携が実現し、医療用動画の分野ではファインデックス<3649>(東1)との提携が始まった。新たな事業基盤の構築が着実に進んでいる。

 今期・18年9月期は、前期に発生した期ずれ案件の回復に加え、スマホF2P向けでは、顧客売上高に応じた新料金体系によって収益性を向上させる体制が整うことなどにより、売り上げ拡大と利益率の回復(営業利益率20%)を見込む。連結業績見通しは、売上高を前期比19.1%増の15億円、営業利益は同2.5倍の3億円、純利益は同2.6倍の2億1000万円、1株利益は44円33銭。

 新規分野の中では、特に「動画圧縮」や「Web動画」、自動運転技術向けの「インタラクティブ(車の状況によって変化する)サウンド処理技術」などに積極的に取り組むとした。

 撮影した動画をネットワーク経由で配信・録画するネットワークカメラ関連ソリューションでは、現在主流の録画したものを圧縮する方式に対し、撮影しながら圧縮する「リアルタイム圧縮」の開発を進める。監視カメラ関連の需要は東京オリンピック・パラリンピックに向けて拡大が見込まれるため、積極的に取り組む。(HC)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る