アルコニックスは上場来高値圏、18年3月期増額して大幅増収増益予想、さらに再増額の可能性

 アルコニックス<3036>(東1)は商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指している。18年3月期第2四半期累計が大幅増収増益となり、通期予想を増額修正した。さらに再増額の可能性が高いだろう。積極的な事業展開で中期的にも収益拡大基調が期待される。株価は上場来高値圏だ。目先的な過熱感を冷ましながら上値を試す展開が期待される。

■商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」目指す

 軽金属・銅製品(伸銅品、銅管など)、電子・機能材(レアメタル・レアアース、チタン・ニッケル製品など)、非鉄原料(アルミ・亜鉛地金など)、建設・産業資材(配管機材など)を取り扱う非鉄金属商社グループである。

 レアメタル分野に強みを持つことも特徴だが、中期成長に向けて商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指し、M&Aも積極活用して、非鉄金属の周辺分野も含めた川上(製造)~川中(流通)~川下(問屋)を網羅するビジネス展開を推進している。

■製造業が利益の過半

 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、商社流通87%(電子機能材事業が28%、アルミ銅事業が59%)、製造13%(装置材料事業が8%、金属加工事業が5%)だった、経常利益の構成比は商社流通47%(電子機能材事業が27%、アルミ銅事業が20%)、製造53%(装置材料事業が5%、金属加工事業が48%)だった。

 レアメタル・レアアースなど非鉄金属の市況、持分法投資損益、M&Aに伴うのれん償却や負ののれん益なども収益変動要因となるが、積極的なM&Aで製造の利益が連結業績の過半を占めるようになった。

 中期経営計画(18年3月期~20年3月期、1年ごとに見直すローリング方式)では、経営目標値を20年3月期の経常利益65億円超、純利益47億円超、ROE13~15%程度、NET/DER1.0~1.3倍程度としている。3年間の投融資総額はM&A・事業投資を中心に250億円の計画としている。商社機能と製造業を融合した「非鉄金属の総合企業」を目指して積極投資を推進する方針だ。グループのシナジー効果を高めて中期的に収益拡大基調が期待される。

■18年3月期2Q累計大幅増収増益

 11月8日発表した今期(18年3月期)第2四半期累計の連結業績(9月27日に増額修正)は、売上高が前年同期比26.8%増の1196億35百万円、営業利益が93.0%増の34億69百万円、経常利益83.1%増の37億88百万円、純利益が66.9%増の27億81百万円だった。

 計画超の大幅増収増益だった。非鉄市況の上昇や主要取引先の需要回復など、事業環境の改善で商社流通の取り扱いが拡大し、国内外の製造子会社の好調で製造も大幅伸長した。14年4月子会社化した富士プレスの新規連結も寄与した。経常利益に占める製造の割合は6割超に上昇した。

 商社流通は売上高が23.4%増の1004億46百万円で経常利益が60.6%増の13億20百万円、製造は売上高が48.4%増の191億89百万円で経常利益が97.2%増の24億66百万円だった。

■18年3月期通期予想を増額修正、さらに再増額の可能性

 今期(18年3月期)連結業績予想は11月8日に増額修正した。売上高は180億円増額して前期(17年3月期)比17.9%増の2380億円、営業利益は16億30百万円増額して49.5%増の62億30百万円、経常利益は19億円増額して56.2%増の68億円、純利益は14億50百万円増額して58.9%増の49億円とした。

 事業環境の改善、円安効果、自動車・半導体関連の需要拡大で、特に製造が大幅伸長する見込みだ。セグメント別経常利益は商社流通が10.3%増の22億60百万円、製造が96.3%増の45億40百万円の計画としている。なお主要取引先である神戸製鋼所グループの品質問題の影響は、現時点では限定的としている。

 通期会社予想に対する第2四半期累計の進捗率は売上高が50.3%、営業利益が55.7%、経常利益が55.7%、純利益が56.8%と高水準である。通期会社予想は再増額の可能性が高いだろう。

 なお配当予想は据え置いて年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。17年9月1日付の株式2分割を考慮して前期実績の年間44円を22円に換算すると4円増配となる。

■株価は上場来高値圏、目先的な過熱感冷ましながら上値試す

 株価(17年9月1日付で株式2分割)は急伸して上場来高値圏だ。11月14日には2547円まで上伸した。

 11月24日の終値2277円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS189円56銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.1%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1255円61銭で算出)は1.8倍近辺である。時価総額は約589億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。目先的な過熱感を冷ましながら上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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