カナモトは目先的な売り一巡して戻り試す、18年10月期増収増益・連続増配予想

 カナモト<9678>(東1)は建設機械レンタルの大手である。北海道を地盤として全国展開と業容拡大を推進し、長期ビジョンでは海外展開を成長エンジンと位置付けている。18年10月期も増収増益・連続増配予想である。株価は目先的な売り一巡して戻りを試す展開が期待される。

■建設機械レンタル大手、成長エンジンとして海外展開を強化

 建設機械レンタルを主力として、海外向け中古建設機械販売、土木・建築工事用鉄鋼製品販売、IT機器・イベント関連レンタルなども展開している。M&Aも積極活用し、北海道を地盤として全国展開と業容拡大を加速している。また55期の19年を見据えたグループの目指す姿を長期ビジョン「BULL55」として示し、海外展開強化を今後の成長エンジンと位置付けている。

 17年8月には東友エンジニアリング(東京都)および名岐エンジニアリング(岐阜県)の株式を追加取得して関連会社とした。17年12月には東日本製鉄所京浜構内機材センターを開設し、全国営業拠点数は189拠点、グループ合計454拠点となった。17年12月には中国・上海市に子会社を設立した。

 子会社のニシケンは福祉用具卸レンタル事業の関東進出に向けて17年12月、フジモトHDと株式譲渡契約を締結した。18年2月1日(予定)に、首都圏で福祉サービスを展開するビップケアウエル安心の株式を譲り受ける。

 なお収益面では公共工事の影響を受けやすく、建設関連のため売上高が第4四半期(8~10月)から第1四半期(11月~1月)にかけてピークとなり、第2四半期(2~4月)および第3四半期(5~7月)は減少する季節特性がある。

■17年10月期2桁増益・連続増配

 17年10月期の連結業績は、売上高が16年10月期比9.4%増の1584億28百万円、営業利益が10.1%増の166億65百万円、経常利益が19.4%増の171億93百万円、純利益が32.7%増の107億44百万円だった。配当は5円増配の年間50円(第2四半期末15円、期末35円)とした。連続増配で配当性向は16.4%だった。

 民間建設投資、公共投資が堅調に推移し、全体として建設機械レンタル需要が高水準に推移した。ニシケンの通期連結(16年10月期は第3四半期から連結)も寄与した。売上総利益率は30.7%で0.6ポイント上昇、販管費比率は20.1%で0.5ポイント上昇した。営業外収益では為替差損益が改善した。

 建設関連事業は売上高が8.5%増の1424億14百万円で営業利益が9.7%増の154億15百万円だった。中古建機販売は9.1%増加した。その他事業は売上高が17.2%増の160億13百万円で営業利益が29.7%増の8億56百万円だった。

■18年10月期も増収増益・連続増配予想

 18年10月期の連結業績予想(12月8日公表)は、売上高が17年10月期比2.2%増の1618億70百万円、営業利益が4.0%増の173億30百万円、経常利益が1.3%増の174億20百万円、純利益が1.4%増の109億円としている。配当予想は5円増配の年間55円(第2四半期末20円、期末35円)としている。3期連続増配で、予想配当性向は17.8%となる。

 東北地方の震災復興関連工事、各地の豪雨・地震災害復旧・復興関連工事、首都圏での20年東京五輪関連工事、都市再開発プロジェクト、リニア新幹線関連工事、国土強靭化に向けた社会インフラ工事などで、建設機械レンタル需要が堅調に推移する見込みだ。好業績が期待される。

■株価は目先的な売り一巡して戻り試す

 株価は17年10月期決算発表を機に戻り高値圏3900円近辺から反落した。しかし3400円近辺から切り返しの動きを強めている。目先的な売りが一巡したようだ。

 12月25日の終値3545円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS308円44銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間55円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2440円41銭で算出)は1.5倍近辺である。時価総額は約1279億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線がサポートラインの形となった。目先的な売り一巡して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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