【アナリスト水田雅展の銘柄分析】キーコーヒーは高値圏で堅調、3月期末の株主優待制度も注目点、08年5月高値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 レギュラーコーヒー大手キーコーヒー<2594>(東1)の株価は高値圏で堅調に推移している。2月27日には1830円まで上伸して08年5月高値1846円に接近してきた。3月期末の株主優待制度も注目点であり、中期的な収益拡大期待で上値を試す展開だろう。

 コーヒー関連事業(業務用・家庭用レギュラーコーヒーの製造・販売)を主力として、飲食事業(イタリアントマト、アマンド)も展開している。ブランド力強化、収益力強化、グループ連携強化を柱として、新商品の開発・投入、新たな事業領域の開拓を強化している。イタリアントマトの14年12月末店舗数は直営74店舗、FC228店舗の合計302店舗で、海外はASEAN地域へ積極展開している。

 積極的な業容拡大戦略で、13年1月に銀座ルノアール<9853>を持分法適用会社化、14年2月にネット通販事業拡大に向けてコーヒー豆焙煎加工販売のhonu加藤珈琲店を子会社化した。また14年9月には、イタリアの世界有数のコーヒーメーカーであるillycaffe S.p.Aと、illyブランドのレギュラーコーヒー製品全般について、日本国内での独占販売契約を締結した。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しについては1月30日に売上高を増額、利益を減額修正して、売上高が前期比4.4%増の560億円、営業利益が同56.1%減の6億80百万円、経常利益が同39.2%減の11億80百万円、純利益が同30.8%減の7億10百万円としている。なお配当予想については前回予想(5月12日公表)を据え置いて同1円増配の年間16円(第2四半期末8円、期末8円)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)が、売上高は企画提案型営業強化などで前年同期比3.2%増収と好調に推移したものの、コーヒー生豆相場の高騰や為替の円安進行に伴う原材料価格上昇で同27.5%営業減益、同19.1%経常減益、同22.9%最終減益となり、通期ベースでも大幅減益見通しとなった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)138億78百万円、第2四半期(7月~9月)136億77百万円、第3四半期(10月~12月)152億55百万円で、営業利益は第1四半期4億81百万円、第2四半期2億69百万円、第3四半期5億34百万円である。

 そして通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高76.4%、営業利益188.8%、経常利益142.1%、純利益138.3%である。売上高は順調で、利益は通期見通しを大幅に超過達成している。天候やコーヒー生豆相場の動向で収益が変動しやすく、第4四半期(1月~3月)が不需要期となることを考慮しても、通期の会社見通しは保守的な印象が強い。

 業務用市場でのプレミアムコーヒーの拡販、14年11月実施した家庭用レギュラーコーヒー製品(ブルーマウンテン製品除く)の値上げ浸透、そしてhonu加藤珈琲店の連結も寄与して中期的に収益拡大が期待される。

 株主優待については、毎年3月末日および9月末日現在の100株以上所有株主に対して自社製品詰め合わせを贈呈している。100株以上~300株未満所有株主に対しては1000円相当、300株以上~1000株未満所有株主に対しては3000円相当、1000株以上所有株主に対しては5000円相当を贈呈する。

 株価の動きを見ると、14年9月高値1700円突破後は上げ足を速める展開となった。そして2月27日の昨年来高値1830円まで上伸して08年5月高値1846円に接近してきた。その後も高値圏で堅調に推移している。第3四半期累計の高進捗率を好感する動きだろう。

 3月4日の終値1817円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS31円30銭で算出)は58倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は0.9%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1541円85銭で算出)は1.2倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だろう。3月期末の株主優待制度の権利取りに向けた動きも注目される。中期的な収益拡大期待で08年5月高値1846円を試す展開だろう。

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