【新春相場を占う】2018年の株式市場展望とリスク要因を探る

2018年株式市場展望

株式市場は2018年も堅調な展開、ただし調整局面を挟む可能性も

 株式市場は2018年も、世界経済の緩やかな拡大と低金利を背景として堅調な展開が想定される。ただし2017年後半に上げ足を速めた反動や、米税制改革法案成立による好材料出尽くし感も意識され、2018年は一旦調整局面を挟む可能性がありそうだ。リスク要因も多彩だ。トランプ米政権の不安定化、北朝鮮や中東を巡る地政学リスクの高まり、金利上昇などに注意が必要なことにも変化はないだろう。

2017年は世界的な株高の1年

 2017年は世界的な株高の1年だった。米国の主要株価指数の年間上昇率はNYダウ工業株30種平均株価が25.1%、S&P500指数が19.4%、ナスダック指数が28.2%の大幅上昇だった。いずれも史上最高値更新の展開だった。NYダウ工業株30種平均株価はリーマン・ショックから立ち直った2009年から9年連続の上昇だった。堅調な企業業績、米FRB(連邦準備制度理事会)の緩やかなペースの利上げ、そして年末に成立したトランプ米政権の目玉経済政策である税制改革法案を好感した。

 日本でも2017年は日経平均株価が19.1%、TOPIXが19.7%と大幅上昇した。日経平均株価は「アベノミクス」がスタートした2012年から6年連続上昇となり、年末終値ベースで1991年以来26年ぶりの高値水準となった。

 日経平均株価の2017年の動きを簡単に振り返ると、秋口までは2万円近辺の壁が意識される展開だったが、9月中旬以降に急伸する形となった。2万円近辺の壁を突破し、10月には史上最長となる16連騰を記録した。そして11月にはバブル崩壊後の戻り高値となる2万3382円15銭まで上昇した。米国株高、9月の衆院解散・総選挙、そして企業業績の上振れなどを好感した。需給面では海外投資家の買いが牽引し、下値は日銀によるETF買いが支えた。

2018年も「適温経済」を背景に堅調な展開を想定

 2018年も世界的に株式市場は堅調な展開が想定される。背景には「適温経済」と呼ばれる世界経済の緩やかな拡大と低金利の継続がある。

 米国ではリーマン・ショック後の2009年6月に始まった景気拡大局面が9年目に入っている。そして1960年代の106ヶ月、さらに過去最長だった1991年~2001年の120ヶ月を超えるとの見方もある。トランプ米政権の目玉経済政策である税制改革法案が2017年末に成立したことも追い風だ。米国の法人税率が現行35%から21%に下がり、170兆円規模の減税が企業業績拡大に繋がる。そして企業業績拡大に伴う雇用の拡大や賃金の上昇、さらに株高も個人消費を刺激し、景気の好循環が継続する可能性が高まる。

 日本では2012年12月に始まった景気拡大局面が、2017年10月で59ヶ月となり、暫定的な判断で1960年代の高度成長期に57ヶ月続いた「いざなぎ景気」を超えている。そして小泉政権下で2002年2月に始まった戦後最長73ヶ月「いざなみ景気」を超える可能性も高まっている。人手不足の一段の深刻化が懸念材料だが、世界景気の緩やかな拡大、低金利の継続、為替や原油価格の安定、さらにインバウンド需要などが支援する。

 過去の景気拡大局面に比べて実質GDP(国内総生産)成長率が低く、賃金上昇率や物価上昇率も低いため本格的な景気拡大局面とは言えず、景気拡大というには物足りない「実感なき景気拡大」という指摘もある。しかし過熱感の強い「バブル景気」ではなく、低インフレが続く「適温経済」であるがゆえに、中央銀行の金融政策が緩和縮小局面あるいは引き締め局面に移行しても、緩やかな利上げが継続し、結果的に景気拡大局面を長持ちさせている。

 また新興国では所得水準の向上によって購買力が大幅上昇し、世界経済における消費者層の基盤が着実に広がっている。世界経済において米国を中心とする先進国の個人消費への依存度が従来に比べて低下しているため、先進国の実質GDP成長率が低く、賃金上昇率や物価上昇率が緩やかであっても、世界的に景気拡大局面が長期継続する可能性が高まっている。

 こうした世界的な景気拡大を背景として、企業業績も順調に拡大することが期待される。さらに2018年2月にパウエル新議長が就任する米FRBが、市場の期待どおりに緩やかな利上げペースを維持すれば、2017年と同様に「適温経済」と呼ばれる世界経済の緩やかな拡大と低金利を背景に、2018年も世界的に株式市場は堅調な展開が想定される。

 日本株に関しては、米国株や為替に連動する流れに大きな変化はなく、需給面でも海外投資家の買いが牽引し、下値は日銀によるETF買いが支える流れに大きな変化はないだろう。

 また日本株はバリュエーション面で、世界平均に比べて依然として割安という見方が強い。人手不足と働き方改革を背景に賃金上昇が進展すれば消費拡大に繋がり、企業業績拡大への期待感が高まる。そして日本経済の好循環を期待して、日本株の水準訂正の動きに拍車がかかる可能性が高まる。企業が増配や自社株買いの動きを強めていることも注目点だ。

2017年の反動や金利上昇などに注意

 ただし米国株も日本株も当面は、2017年10月~12月に上げ足を速めた反動や、米税制改革法案が2017年末に成立したことによる好材料出尽くし感が意識される。米国株をバリュエーション面で見ると、減税効果をかなり織り込んだという指摘が多いだけに、2018年は一旦調整局面を挟む可能性がありそうだ。

 またリスク要因として、2018年11月の中間選挙に向けてロシアゲート問題を抱えるトランプ米政権の不安定化、米税制改革に伴う財政悪化への懸念、北朝鮮や中東を巡る地政学リスクの再燃、景気拡大や地政学リスクに伴う原油価格の波乱、金融緩和終焉やインフレ警戒による金利上昇、そしてリスクオフによる為替のドル安・円高などに注意が必要なことにも変化はないだろう。

 特に米国の長期金利の動向に関しては、大幅減税が財政悪化への懸念を強めるという一面を持つだけでなく、一方では企業業績拡大や消費拡大によってインフレ懸念が高まるという面もある。いずれにしても米FRBの利上げペースに影響を与えかねない。そして米10年債利回りが3%を超えてくれば、マネーが株式市場から債券市場に逆流することによって、米国株の調整リスクが高まるという見方が多い。

 中国リスクに関しては、様々な規制強化、人民元の下落、外貨準備高の減少、不動産バブルの崩壊、過剰設備解消の負の影響、成長率の鈍化、沿岸部と内陸部の格差問題再燃、北朝鮮問題に絡む米国の対中国政策強硬化による政治的緊張、南シナ海における地政学リスクなど懸念材料に事欠かない。

 日本株は基本的に米国株や為替に連動し、需給面では海外投資家の買いが主導する特性が強い。このためリスクオフのドル安・円高に注意が必要となる。米長期金利上昇に伴って日米金利差が拡大し、為替がドル高・円安方向に傾けばプラス要因となるが、一方で米長期金利上昇に伴って米国株が調整リスクを高めることになれば、株式市場からのマネー流出が加速して日本株も影響を受けることになる。米国株の調整がドル安・円高に繋がるという指摘も多い。

 さらに国内の波乱要因としては、当面は現実味が薄いものの、日銀の金融政策変更や、9月の自民党総裁選で3選を目指す安倍政権の政局がある。

 世界的な金利上昇を受けて、日銀の異次元金融緩和政策からの出口戦略が議論されるようになれば、これまで需給面で日本株を支えてきた日銀によるETF買いの縮小も意識されることになる。株価形成を歪めているとの批判も多い日銀のETF買いだが、日本株は最大の買い手を失うことになりかねない。2018年4月に黒田日銀総裁が任期切れを迎えることもあり、市場への心理的影響が注目点となる。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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