【アナリスト水田雅展の銘柄診断】パイプドビッツは中期成長力を評価して上値追い、4月の統一地方選も材料視

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 情報資産プラットフォーム事業のパイプドビッツ<3831>(東1)の株価は、2月9日の昨年来高値2090円から一旦反落したが自律調整の範囲だろう。中期成長力を評価して上値追いの展開が期待される。4月の統一地方選も材料視されそうだ。

 国内最大規模の情報資産プラットフォーム「スパイラル」を基盤として、情報資産プラットフォーム事業(データ管理などクラウドサービス提供)、広告事業(アフィリエイトASP一括管理サービス「スパイラルアフィリエイト」など)、ソリューション事業(ネット広告制作、アパレル・ファッションに特化したECサイト構築・運営受託、子会社ペーパーレススタジオジャパンのBIMコンサルティング事業など)を展開している。

 情報資産プラットフォーム事業は「スパイラル」、アパレル特化型ECプラットフォーム「スパイラルEC」、会計クラウド「ネットde会計」「ネットde青色申告」、クラウド型グループウェア×CMS×SNS連携プラットフォーム「スパイラルプレース」などを主力して展開している。

 また薬剤・医療材料共同購入プラットフォーム「JoyPla」、美容関連のヘアカルテ共有サービス「美歴」、地域密着型SNS「I LOVE 下北沢」、政治・選挙プラットフォーム「政治山」、BIM建築情報プラットフォーム「ArchiSymphony」などを展開し、14年3月にはアズベイスを子会社化してコールセンタープラットフォームサービス「BizBase」にも事業領域を広げている。

 2月16日には、世界有数のソフトウェアベンダーである米スプリンクラー(SPUSA、09年設立)の日本法人スプリンクラー・ジャパン(SPJ、14年12月設立)が、第三者割当により発行するA種優先株式を引き受けると発表した。SPUSAおよびSPJが有する経営資源とのシナジー効果により、ソリューション提案や新サービス提供を実現していくとしている。

 3月1日にはパイプドビッツ綜合研究所を設立した。主に政府の政策に対して情報通信技術の活用や課題、先行事例などさまざまな調査研究や実証実験を行い、公表や提言などを通じて地域や社会の課題解決に貢献するとしている。

 前期(15年2月期)の連結業績見通し(3月31日公表)は売上高が前々比27.1%増の32億円、営業利益が同23.9%増の7億円、経常利益が同23.7%増の7億円、純利益が同22.6%増の4億20百万円、配当予想が同3円増配の年間16円(第2四半期末7円、期末9円)としている。

 情報資産プラットフォーム事業の好調が牽引して大幅増収増益見通しだ。広告事業では「スパイラルアフィリエイト」を中心に販売活動を強化し、ソリューション事業ではビッグデータ関連の大型案件獲得を目指すとしている。

 第3四半期累計(3月~11月)は、情報資産プラットフォーム「スパイラル」の機能強化の効果などで前年同期比27.7%増収、同37.6%営業増益、同35.5%経常増益、同29.7%最終増益だった。第3四半期末の有効アカウント数(全事業合計)は同3373件増加の1万166件となった。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が72.3%、営業利益が68.1%、経常利益が67.7%、純利益が65.6%である。ただしストック型収益構造であることを考慮すれば概ね順調な水準だろう。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)7億14百万円、第2四半期(6月~8月)7億98百万円、第3四半期(9月~11月)8億円、そして営業利益は第1四半期1億40百万円、第2四半期1億65百万円、第3四半期1億71百万円と拡大基調である。

 主力の情報資産プラットフォーム事業が牽引して、今期(16年2月期)も増収増益が期待され、中期的にも収益拡大基調だろう。

 14年3月発表の「中期経営計画2017」では、15年2月期から17年2月期を「次世代ITベンダーへと革新する3ヵ年」と位置付けて、目標数値に17年2月期売上高92億円、営業利益28億円を掲げている。

 14年9月には純粋持株会社制への移行検討開始を発表している。経営効率の向上、組織再編の柔軟性・機動性確保、グループ全体の最適化とガバナンス機能の強化を目的として、15年5月下旬開催予定の定時株主総会での承認等が得られることを条件として、15年9月1日を目途に純粋持株会社制へ移行する方針だ。

 また2月27日には15年4月からの給与改定において、全正社員約270人を対象として、月例賃金6000円(年収約2%相当)のベースアップを実施すると発表した。

 株価の動きを見ると、2月9日の昨年来高値2090円から利益確定売りで一旦反落し、3月5日の1839円まで調整した。しかし6日は前日比28円高と反発している。自律調整の範囲だろう。

 3月6日の終値1878円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS53円86銭で算出)は34~35倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は0.9%近辺、前々期実績PBR(前々実績の連結BPS271円44銭で算出)は6.9倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を一旦割り込んだが、週足チャートで見るとサポートラインの13週移動平均線が接近して切り返しのタイミングだろう。中期成長力を評価して上値追いの展開が期待される。4月の統一地方選も材料視されそうだ。

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