京写は売られ過ぎ感、18年3月期予想減額だが19年3月期収益拡大期待

 京写<6837>(JQ)はプリント配線板の大手メーカーである。LED照明関連市場が拡大基調であり、新規取引先からの受注も増加している。18年3月期は原材料価格高騰の影響で減額し、減益予想となったが、19年3月期は収益拡大が期待される。株価は戻り高値圏から急反落し、地合い悪化も影響したが、売られ過ぎ感を強めている。反発が期待される。なお18年4月1日付で単元株式数を1000株から100株に変更する。

■プリント配線板の大手メーカー、LED照明関連市場が拡大

 プリント配線板の大手メーカーである。世界最大の生産能力を誇る片面プリント配線板、および両面プリント配線板を柱として、実装治具関連事業も展開している。プリント配線板は防塵対策基板、高熱伝導・放熱基板、ファイン回路片面基板などに技術的な強みを持ち、生産は国内、中国、インドネシアに拠点展開している。

 17年3月期の製品別売上高構成比は片面板41%、両面板45%、その他(実装治具関連)13%、製品用途別売上高構成比は自動車関連36%、家電製品23%、事務器11%、映像関連9%、アミューズメント関連3%、その他18%だった。

 幅広い用途と顧客層(国内1000口座、海外300口座)を獲得し、LED照明関連市場の拡大も背景として、製品サイクルの長い自動車関連や家電関連を強化している。収益面では自動車や家電などの生産動向の影響を受けやすいが、LED照明関連市場の拡大が追い風である。新製品では車載ヘッドランプ向けの開発が完了し、受注が相次いで決定しているようだ。

 中期経営計画では、目標数値に21年3月期売上高280億円(片面配線板105億円、両面配線板145億円、治具20億円、実装10億円)、営業利益17億円(営業利益率6.0%)を掲げている。株主還元は配当性向20%を目標とする。車載ヘッドランプ向け新製品など高付加価値製品の拡販、フイルム基板など新製品の開発も推進する。

■18年3月期減額して減益予想だが、19年3月期収益拡大期待

 18年3月期の連結業績予想は、1月31日に営業利益を2億90百万円減額、経常利益を2億円減額、純利益を1億50百万円減額修正した。売上高は国内・海外とも堅調だが、主材料の銅張積層板などの調達コスト上昇に対して、販売価格への転嫁やコスト改善の遅れが影響する。

 修正後の連結業績予想は、売上高が17年3月期比8.3%増の210億円、営業利益が20.1%減の5億60百万円、経常利益が15.3%減の6億円、純利益が27.9%減の4億円とした。配当予想は据え置いて前期と同額の年間8円(期末一括)としている。予想配当性向は28.7%となる。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比10.8%増の158億79百万円、営業利益が9.4%減の4億49百万円、経常利益が7.3%減の4億76百万円、純利益が17.1%減の3億15百万円だった。

 売上面では、国内のプリント配線板事業は自動車関連や液晶テレビ関連、実装関連事業はスマートグリッド関連や自動車関連、海外は中国やインドネシアにおけるLED照明関連が好調に推移して2桁増収だった。しかし利益面では、主材料の銅張積層板などの調達コスト上昇に対して販売価格への転嫁遅れが影響した。増産対応に伴う外注費の増加なども影響した。売上総利益率は17.9%で0.6ポイント低下、販管費比率は15.0%で0.1ポイント低下した。営業外では為替差益が増加した。

 18年3月期は減額修正して減益予想となったが、LED照明関連市場の拡大や新規顧客の獲得で増収基調に変化はない。19年3月期は材料費上昇に対応した販売価格への転嫁が進展し、海外法人設立に係る一時的費用も一巡して収益拡大が期待される。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は1月の戻り高値圏650円近辺から急反落し、地合い悪化も影響して2月6日の442円まで水準を切り下げた。その後は売り一巡感を強めている。

 2月16日の終値467円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS27円91銭で算出)は16~17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.7%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS446円91銭で算出)は1.0倍近辺である。時価総額は約68億円である。

 週足チャートで見ると一気に52週移動平均線まで割り込んだ。ただし日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が20%近くに拡大して売られ過ぎ感を強めている。反発が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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