【アナリスト水田雅展の銘柄分析】京写は自律調整一巡して1月高値試す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 プリント配線板大手の京写<6837>(JQS)の株価は、1月高値から利益確定売りで一旦反落したが、足元では自律調整一巡感を強めている。今期(15年3月期)業績は再増額の可能性が高く、予想PERには依然として割安感が強い。中期成長力も評価して1月高値587円を試す展開だろう。

 生産量世界トップの片面プリント配線板、および両面プリント配線板を収益柱として、実装治具関連事業も展開している。プリント配線板の生産は国内および中国、インドネシアに拠点展開している。また14年10月にはキクデンインターナショナルからフロー半田付け搬送キャリア事業を譲り受け、実装治具事業の生産・販売強化も推進している。

 15年3月期第3四半期累計(4~12月)の製品用途別売上構成比は、自動車関連が28.6%、家電製品が27.2%、事務器が12.6%、映像関連が7.9%、アミューズメントが6.2%、その他が17.5%である。LED照明関連の需要拡大も背景として、製品サイクルの長い自動車関連や家電関連に注力するとともに、幅広い用途と顧客を獲得している。

 中期経営計画では目標数値として16年3月期売上高200億円(片面プリント配線板100億円、両面プリント配線板85億円、実装治具関連事業15億円)、営業利益率6%、ROE(自己資本利益率)15%以上、ROA(総資産利益率)6%以上を掲げている。

 重点戦略としては、LED照明関連など環境対応製品の強化、ボリュームゾーンである片面プリント配線板分野における圧倒的トップシェアの獲得、海外生産の拡大、技術革新やコスト対応による収益力向上、基板・実装関連に次ぐ第3の事業の確立に取り組んでいる。LED照明関連については直管型LED照明の普及や、自動車ヘッドライトのLED化進展による需要増加が期待されている。

 今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(7月31日に利益を増額修正)を据え置いて、売上高が前期比5.4%増の170億円、営業利益が同12.7%増の9億円、経常利益が同11.8%増の8億80百万円、純利益が同25.1%増の6億50百万円としている。配当予想(1月30日に増額修正)は前期比3円増配の年間8円(期末一括)としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比9.1%増収、同29.4%営業増益、同30.7%経常増益、同47.5%最終増益と好調だった。売上面では片面プリント配線板の海外事務器向けが減少したが、両面プリント配線板が直管型LED照明関連や自動車関連向けの好調で大幅増収となり、搬送用治具がスマートフォン関連向けの好調に事業譲受も寄与して大幅伸長した。増収効果、販売価格の適正化効果、原材料調達コストの低減効果、製造ライン自動化進展による生産性向上効果などが寄与して大幅増益だった。

 四半期別推移をみると、売上高は第1四半期(4月~6月)41億65百万円、第2四半期(7月~9月)44億41百万円、第3四半期(10月~12月)45億35百万円で、営業利益は第1四半期2億53百万円、第2四半期2億33百万円、第3四半期2億39百万円と順調に推移している。

 そして通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.3%、営業利益が80.6%、経常利益が85.3%、純利益が86.3%と高水準である。稼働率上昇、生産自動化進展、集中購買による原材料調達コスト低減などの効果で、通期業績見通しは再増額の可能性が高いだろう。

 需要は国内外の自動車関連やLED照明関連を中心に増加基調であり、中国では非日系企業からの新規受注も寄与して来期(16年3月期)から稼働率が大幅に上昇するようだ。中期的にも収益拡大基調が期待される。

 株価の動きを見ると、1月27日の高値587円から利益確定売りで一旦反落したが、2月3日と4日の505円から切り返して足元では540円近辺まで戻している。今期好業績見通しを評価する流れに変化はなく、自律調整が一巡したようだ。

 3月10日の終値534円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS45円35銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は1.5%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS338円63銭で算出)は1.6倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を回復した。また週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって切り返す動きだ。強基調を確認した形だろう。今期業績見通しは再増額の可能性が高く、予想PERには依然として割安感が強い。中期成長力も評価して1月高値587円を試す展開だろう。

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