ヤマシタヘルスケアホールディングスは売り一巡感、18年5月期大幅増益予想

 ヤマシタヘルスケアホールディングス<9265>(東1)は、九州を地盤とする医療機器専門商社の純粋持株会社である。18年5月期は年度後半に機器需要回復が見込まれるため大幅増益予想である。株価は地合い悪化の影響で水準を切り下げたが売り一巡感を強めている。

■九州を地盤とする医療機器専門商社、17年12月純粋持株会社へ移行

 山下医科機械が17年12月1日付で純粋持株会社ヤマシタヘルスケアホールディングスを新設して新規上場した。

 山下医科器械は九州を地盤とする医療機器専門商社で、医療機器の販売・メンテナンスおよび医療材料・消耗品などの販売を主力としている。またイーピーメディックは整形インプラントを製造販売している。中期成長に向けて九州最大の需要地である福岡県での市場シェア拡大を最重点戦略としている。

 収益面では医療機関の設備投資関連で、第2四半期(9月~11月)および第4四半期(3月~5月)の構成比が高い特性がある。利益還元については安定的な配当の継続を基本方針とし、配当水準として連結配当性向30%を基準としている。

■光通信と資本業務提携

 17年6月医療機器販売のトムス(広島県)を子会社化した。17年9月にはパナソニックヘルスケアとの合弁会社パナソニックメディコム九州(出資比率49%で持分法適用関連会社)について、全株式をパナソニックヘルスケアに譲渡して合弁を解消した。

 また17年9月には光通信<9435>と資本業務提携契約を締結した。光通信の九州地区における医科向け「EPARK」事業を共同展開するため、第三者割当による自己株式処分で山下医科機械の4万7533株を光通信に割り当てるとともに、光通信の「EPARK」事業を展開するイーディライトの第三者割当増資を引き受けた。

■18年5月期大幅増益予想、年度後半に機器需要回復

 今期(18年5月期)連結業績予想(持株会社の予想として12月1日公表、山下医科機械として7月11日公表した数値と同じ)は、売上高が前期(山下医科機械の17年5月期実績)比9.4%増の574億30百万円、営業利益が28.7%増の2億40百万円、経常利益が19.1%増の3億07百万円、そして純利益が7.9倍の1億53百万円としている。配当予想は9円増配の年間19円(期末一括)としている。予想配当性向は31.0%となる。

 第2四半期累計(山下医科機械の実績)は、売上高が前年同期比13.5%増の276億28百万円、営業利益が36百万円の赤字(前年同期は6百万円の黒字)、経常利益が60.3%減の13百万円、純利益が2.1倍の19百万円だった。

 SPD事業の拡大、17年6月子会社化したトムスの新規連結などで増収だが、病院施設新築移転等の大型案件が予想を下回り、全体的な利益率の低下、物流コストの増加などで各利益は計画を下回った。

 医療機器販売業の売上高の内訳は、一般機器分野が大型設備案件減少で12.0%減の34億55百万円、一般消耗品分野がSPD契約施設における医療機器消耗品の増加で7.8%増の106億18百万円、低侵襲治療分野がIVE等の内視鏡処置用医療材料の増加で14.8%増の77億56百万円、専門分野(新規連結のトムス含む)が整形消耗品や透析材料の増加で60.2%増の50億23百万円、情報・サービス分野が電子カルテシステムの増加で23.2%増の6億12百万円だった。

 通期ベースでは年度後半に機器需要回復が見込まれるため大幅増益予想である。純利益は減損損失および投資有価証券評価損の一巡も寄与する。設備需要回復して収益改善が期待される。

■株価は売り一巡感

 株価は地合い悪化の影響で水準を切り下げたが、2月15日安値1444円から切り返して売り一巡感を強めている。

 2月28日の終値1494円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の今期連結EPS61円24銭で算出)は24~25倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間19円で算出)は1.3%近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2334円02銭で算出)は0.6倍近辺である。時価総額は約38億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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