【編集長の視点】鴻池運輸は安寄りのあと反発、株式分割の権利取りが底流し割安修正期待も再燃

編集長の視点

 鴻池運輸<9025>(東1)は、寄り付きの21円安から切り返し6円高の2504円と4営業日ぶりに反発し、今年1月5日につけた上場来高値2654円を視界に捉えている。

 前日の米国ニューヨーク・ダウ平均株価の332ドル安の急落を受けて、きょう11日の東京市場も3営業日続落してスタート、同社株にも目先の利益を確定する売り物が先行した。ただ下値には、同社株が今年3月31日を基準日に株式分割を予定し、しかも、今3月期純利益が連続の過去最高更新と予想されPER評価で割安で、さらにPBRも1倍以下となっていることから、株式分割の権利を取る買い物も交錯している。前日の米国市場で原油先物(WTI)価格が、1バーレル=48.29ドルで引けフシ目の50ドル台を再び割ったことも燃料価格の低下期待を高めサポート材料視されよう。

■今期純利益は鉄鋼業界向け請負業務続伸などで連続して過去最高更新

株式分割は、投資単位当たりの金額を引き下げ、同社株式の流動性の向上や投資家層の拡大を図ることを目的に1株を2株に分割する。今年3月に株式分割を予定している銘柄は、現在のところ全市場で同社株を含めて30銘柄に達している。このうちオリエンタルランド<4661>(東1)は、前日に反落したが、きょう11日はすかさず反発して始まり上場来高値を意識しており、同じ東証1部株として連想を強めよう。とくに鴻池運輸は、30銘柄のなかで割安株として際立っていることが人気化材料となりそうだ。

これは、今3月期業績を売り上げ2437億円(前期比6.3%増)、経常利益94億円(同17.4%増)、純利益54億円(同23.6%増)と予想、純利益が、連続して過去最高を更新することが要因となっている。鉄鋼業界向けの生産工程内外での各種請負業務が好調に推移し、国内物流事業では食品・コンビニ業界向けが続伸、昨年3月に子会社化した九州産交産業の寄与で医療物流事業も上ぶれることなどが要因となっている。

■PER13倍台、PBR0.8倍の割安修正で値幅効果も

株価は、今期第2半期(2Q)累計業績が期初予想を上ぶれて着地し、これに原油価格が大きく下落し燃料価格の負担減思惑も加わって上場来高値まで400円高、この半値押し水準から株式分割を歓迎して再騰した。PERは13倍台、PBRは0.8倍とまだ割安であり、下値は、権利取りと最高値抜けの上値挑戦の値幅取りの両建て対応妙味を示唆している。(本紙編集長・浅妻昭治)

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