メディカル・データ・ビジョンは上場来高値更新の展開、18年12月期大幅増収増益予想

 メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)は、医療分野のビッグデータ関連ビジネスを展開している。民間最大級の大規模診療データベースを活用して治験事業などにも進出している。18年12月期大幅増収増益予想である。株価は上場来高値更新の展開だ。目先的な過熱感を冷ますための自律調整を交えながら、上値を試す展開が期待される。

■医療分野のビッグデータ関連ビジネスを展開

 医療分野のビッグデータ関連ビジネスとして、医療機関向けに医療情報システムを開発・販売するデータネットワークサービス、および製薬会社向けに各種データ分析ツール・サービスを販売するデータ利活用サービスを展開している。

 データネットワークサービスで医療機関向けに医療情報システムを販売するとともに、2次利用許諾を得た患者の医療・健康関連情報を集積する。そして集積した各種情報を分析し、データ利活用サービスとして主に製薬会社向けに提供するビジネスモデルだ。

 データネットワークサービスは営業の主軸をDPC分析「EVE」から、病院向け経営支援「Medical Code」にシフトしている。また新規分野として、病院向けデジタルソリューション「CADA-BOX」の導入を推進している。患者自身が診療情報の一部を保管・閲覧できるWEBサービス「カルテコ」と、患者が自由に支払条件を設定できる医療費後払いサービスの「CADA決済」を、電子カルテと連動させて活用するサービスだ。データ利活用サービスはオーダーメード調査・分析サービス「アドホック」を主力としている。

 17年12月期末の導入病院数は、EVEが16年12月期末比8増加の799病院、Medical Codeが41増加の265病院、CADA-BOXが5病院(稼働済み3病院、導入準備2病院)となった。

 また18年1月末の大規模診療データベース実患者数は17年12月末比20万人増加の2137万人となった。民間最大級の大規模診療データベースを活用してOTC医薬品・H&BC製品の製造販売、SMO事業などの新規分野への事業展開も推進している。

 収益源は医療機関からのシステム利用料・メンテナンス費用、および製薬会社からのサービス対価(システム利用料含む)で、17年12月期事業別売上構成比はデータネットワークサービス49%、データ利活用サービス51%だった。またデータ利活用サービスにおいて下期偏重の特性がある。

■成長の第4フェーズで17年12月期から投資回収

 中期成長イメージでは17年12月期~19年12月期を、成長の第4フェーズとして投資回収期に位置付けている。患者のリアルタイムデータ、地域医療の診療データ・画像データなども統合してデータ利活用ビジネスの急拡大を図り、売上高の増加とともに投資回収を開始する方針だ。

 重点取り組みとして、2次医療圏344病院へのCADA-BOX導入、データ基盤のさらなる拡大、データ利活用ビジネスの拡大、M&Aを含めた他社との協業を推進する。データ利活用の新領域では治験分野を推進する。

 17年1月医師向け会員型サービスのDoctorbookを子会社化、17年2月OTC医薬品・H&BC製品製造販売のMDVコンシューマー・ヘルスケア設立、17年6月SMO業務のコスメックスを子会社化、17年11月テクマトリックス<3762>と業務提携してCADA-BOXに新機能を追加した。

 18年1月には、国内最大級の人間ドック・健診予約ポータルサイト「MRSO」を運営するマーソ社と資本業務提携した。カルテコとMRSOを連携したサービスを共同開発する。

■18年12月期大幅増収増益予想

 18年12月期連結業績予想は、売上高が17年12月期比45.7%増の47億円、営業利益が40.5%増の7億99百万円、経常利益が41.6%増の8億円、純利益が38.7%増の4億91百万円としている。データネットワークサービス、データ利活用サービスとも伸長して、大幅増収増益予想である。

 データネットワークサービスでは、CADA-BOXの24病院への導入、Medical Codeの拡大に取り組む。データ利活用サービスでは、データを活用した治験事業(コスメックス社)の本格的展開開始、健診・検診データを活用したセカンドオピニオンサービス(Doctorbook社)の開始、アドホック調査サービスのさらなる拡大に取り組む。

■株主優待制度は12月末に実施

 株主優待制度は毎年12月31日現在の100株(1単元)以上保有株主に対してクオカード1000円分を贈呈する。配当は患者のリアルタイムデータ集積によるデータ利活用サービスの拡大に目途がついた段階で検討していく方針だ。

■株価は上場来高値更新の展開

 株価は18年12月期大幅増収増益予想を好感する形で急伸した。その後も上場来高値更新の展開となって水準を切り上げている。3月9日には4150円まで上伸した。

 3月16日の終値4065円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS24円58銭で算出)は165倍近辺、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS158円17銭で算出)は26倍近辺である。時価総額は約813億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線も上向きに転じて先高観を強めている。目先的な過熱感を冷ますための自律調整を交えながら、上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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