TACは戻り歩調、18年3月期2桁営業増益・連続増配予想

 TAC<4319>(東1)は「資格の学校」運営を主力としている。中期成長に向けて新事業領域への展開も強化している。18年3月期2桁営業増益・連続増配予想である。株価は地合い悪化の影響が一巡して戻り歩調だ。

■財務・会計分野を中心に「資格の学校」を運営、新規事業領域も展開

 財務・会計分野(簿記検定・公認会計士など)、経営・税務分野(税理士・中小企業診断士など)、金融・不動産分野(宅建・不動産鑑定士・FPなど)、法律分野(司法試験・司法書士など)、公務員・労務分野(社会保険労務士・国家総合職など)、その他分野(情報・国際、医療・福祉など)といった幅広い分野で「資格の学校」を運営している。また法人研修事業、出版事業、人材事業も展開している。

 17年3月期セグメント別売上高構成比(連結調整前)は個人教育事業60%、法人研修事業20%、出版事業16%、人材事業3%だった。

 M&Aも積極活用して新事業領域への展開も強化している。17年9月には一般社団法人日本金融人材育成協会を設立した。なお18年2月には子会社TAC医療の全事業を休止すると発表した。人材確保が難しく、人材確保のために要する費用が収益に見合わない状況が続くと判断した。

■四半期業績には季節変動要因

 四半期業績は資格講座の本試験実施・合格発表の時期との関係などで季節変動の特徴がある。第2四半期(7~9月)と第3四半期(10~12月)の公認会計士・税理士講座は、翌年受験のための受講申込が集中する時期となるため、現金ベース売上高が突出して多くなるとともに、翌四半期に向かって前受け金として繰り越されることから、発生ベース売上高の増加が少なくなる傾向がある。

 また第4四半期(1~3月)から第1四半期(4~6月)にかけては、夏・秋の本試験時期に向けて全コースが出揃う時期にあたり、稼働率の上昇から前受金戻入額が増加することを通じて発生ベース売上高が増加する傾向にある。こうした売上の傾向に対して、売上原価や営業費用は毎月一定額計上されるため、四半期ごとの営業利益が変動しやすい。

■18年3月期2桁営業増益・連続増配予想

 18年3月期連結業績予想は、売上高が17年3月期比2.3%増の209億円、営業利益が13.6%増の8億10百万円、経常利益が12.6%増の7億80百万円、純利益が10.2%減の4億40百万円としている。

 純利益は特別利益が一巡して減益予想だが、各事業とも堅調に推移し、適切な経費コントロールも寄与して2桁営業増益・経常増益予想である。配当予想は1円増配の年間5円(第2四半期末2円、期末3円)としている。連続増配予想で、予想配当性向は21.0%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比2.8%増の158億38百万円、営業利益が43.7%増の8億88百万円、経常利益が37.7%増の8億33百万円、純利益が24.6%増の5億37百万円だった。

 売上面は個人教育事業が2.7%増収、法人研修事業が4.3%増収、出版事業が0.4%増収、人材事業が6.2%増収と堅調だった。利益面では、人件費を中心に営業費用が増加したが、棚卸資産の廃棄に備えて設定する引当金等の純繰入額が減少したことも寄与して大幅営業増益だった。差引売上総利益率は42.2%で1.7ポイント上昇、販管費比率は36.6%で0.2ポイント上昇した。

 教育事業の受講者数は、個人が0.5%減の11万3308人、法人が11.4%増の6万8630人、合計が3.7%増の18万1938人だった。公務員・労務分野が8.9%増、金融・不動産分野が5.8%増、情報・国際/医療・福祉/その他分野が5.3%増、法律分野が2.2%増と好調だった。財務・会計分野は1.1%減、経営・税務分野は4.2%減だった。

 四半期業績が変動する季節要因があるが、通期ベースでも好業績が期待される。

■株価は戻り歩調

 株価は2月14日の直近安値290円から切り返している。地合い悪化の影響が一巡して戻り歩調だ。

 3月19日の終値320円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS23円78銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間5円で算出)は1.6%近辺、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS267円76銭で算出)は1.2倍近辺である。時価総額は約59億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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