LIFULLは自律調整一巡して上値試す、18年9月期実質大幅増収増益予想で中期成長も期待

 LIFULL<2120>(東1)は、不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営など不動産情報サービス事業を主力に、生活関連領域への事業展開を加速している。18年9月期(12ヶ月決算、17年9月期は6ヶ月決算)は実質大幅増収増益予想である。中期的にも収益拡大が期待される。株価は昨年来高値圏から反落したが、自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。

■不動産情報サービスが主力、生活関連領域への事業展開を加速

 17年4月に旧ネクストが現LIFULLに社名変更し、ブランド名も変更した。現社名のLIFULLは「世界中のあらゆるLIFE(暮らし、人生)をFULL(満たす)」という意味の造語である。

 日本最大級の掲載件数を誇る不動産・住宅情報総合サイト「LIFULL HOME‘S」運営が主力のHOME‘S関連事業、14年買収したスペインのTrovit社が展開する世界最大級のアグリケーションサイト「Trovit」運営などの海外事業、その他事業(LIFULL介護、LIFULL引越しなどの運営)を展開している。

 17年11月には東南アジアでIoT家具ブランドを運営するKAMARQ HOLDINGS(シンガポール)への出資を発表した。17年12月には外国人不動産投資家向け日本不動産投資ポータルサイト「Property LIFE」を開始した。18年1月には中国最大級の不動産仲介会社HO melinkと国際不動産投資分野で業務提携した。

 なお収益面では、不動産情報サービス事業を主力としているため、1~3月が繁忙期となる季節要因がある。

■世界一のライフデータベース&ソリューションカンパニーを目指す

 中期経営計画では「世界一のライフデータベース&ソリューションカンパニー」を目指し、目標数値に20年売上収益500億円台、EBITDA(償却前営業利益)率20%前後を掲げている。

 不動産情報サービス事業を主力として、M&Aも活用しながら周辺の生活関連領域への事業展開を加速する。中期的に加盟店数4万店舗(17年12月末2万4555店舗)を目指している。

■中古住宅市場活性化への取り組み加速

 中古住宅市場活性化への取り組みも加速している。17年1月JGマーケティング(現LIFULL Social Funding)を子会社化した。不動産投融資型クラウドファンディング事業を加速する。

 民泊関連では、17年6月楽天<4755>と共同で楽天LIFULL STAYを設立して国内民泊事業に参入、17年11月民泊・簡易宿泊所向けブランディングおよび運用代行サービス「Rakuten STAY」提供開始、17年12月楽天LIFULL STAYが世界最大のオンライン宿泊予約サイト運営のBooking B.V.と民泊事業で業務提携した。

 また3月7日には楽天LIFULL STAYが、韓国で先進的な宿泊施設予約プラットフォームを提供するYanolja社と、民泊事業における業務提携で合意した。

 そして楽天LIFULL STAYは、6月15日の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行に先立ち、3月15日から同法施行後に開設予定の民泊サイト「Vacation STAY」に掲載する民泊物件の登録受付を開始した。

 空き家の利活用では17年7月、国土交通省の全国版空き地・空き家バンク構築運営に関するモデル事業「LIFULL HOME‘S 空き家バンク」への自治体からの参加受付を開始した。全国の空き家バンクのプラットフォーム化を目指す。17年12月には岩手県釜石市および楽天LIFULL STAYとの3社で、空き家の利活用を通じた地域活性化連携協定を締結した。また3月16日には宮崎県日南市と空き家利活用を通じた地域活性化連携協定を締結した。

■18年9月期(12ヶ月決算)は実質大幅増収増益予想

 18年9月期(17年10月~18年9月の12ヶ月決算、IFRS)の連結業績予想は、売上収益が410億円、EBITDA(償却前営業利益)が60億16百万円、営業利益が50億円、親会社所有者帰属当期純利益が34億78百万円としている。配当予想は未定だが、配当性向20%を基準に実施するとしている。

 17年9月期が6ヶ月決算だったため前年同期間(16年10月~17年9月)と比較すると、売上収益は27.7%増収、EBITDAは54.0%増益となる。顧客数が順調に増加して実質大幅増収増益予想である。

 サービス別売上収益の計画はHOME‘S関連事業が24.3%増の334億41百万円、海外事業が44.8%増の48億34百万円、その他事業が45.9%増の27億23百万円としている。

 第1四半期は売上収益が81億28百万円、EBITDAが14億08百万円、営業利益が11億34百万円、親会社所有者帰属当期純利益が5億91百万円(前年同期は22百万円)だった。前年同一期間との比較で、売上収益が14.4%増収、EBITDAが60.3%増益だった。販管費の減少が寄与した。

 サービス別売上収益は、HOME‘S関連事業が顧客数の順調な増加で13.2%増の67億42百万円、海外事業が為替影響やLIFULL Tech Vietnamの新規連結で17.7%増の8億83百万円、その他事業がLIFULL介護の好調やLIFULL Social Fundingの新規連結で25.3%増の5億02百万円だった。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は、売上収益が19.8%、EBITDAが23.4%と概ね順調である。積極的な事業展開で好業績が期待される。中期的にも収益拡大基調だろう。

■株価は自律調整一巡して上値試す

 株価は2月26日の昨年来高値1135円から反落したが、950円近辺から切り返している。自律調整が一巡したようだ。

 3月19日の終値1040円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS29円30銭で算出)は35~36倍近辺、時価総額は約1235億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から切り返した。サポートラインを確認した形だ。自律調整一巡して上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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