Eストアーは調整一巡して戻り試す、18年3月期減益予想だが上振れ余地

 Eストアー<4304>(JQ)はECの総合支援会社である。中期成長に向けてマーケティングサービス事業に経営資源を傾注している。18年3月期は人件費増加などで減益予想だが、第3四半期累計が高進捗であり、通期予想に上振れ余地がありそうだ。株価は調整一巡して切り返しの動きを強めている。戻りを試す展開が期待される。

■ECの総合支援会社

 ECの総合支援会社である。ヤフーショッピングや楽天市場といったECモール店ではなく、企業のEC本店向けを中心に販売・決済・顧客管理などのECサイトシステムをASP型で提供し、制作・運営代行や各種マーケティング代行サービスまで総合的に展開している。ワンストップサービスが強みである。

 17年3月期の売上高構成比は、ストック(ECシステム月額利用料)が41%、フロウ(店舗売上に連動する受注・決済手数料)が41%、マーケティング(店舗販促支援アウトソーシングに係る役務提供料)が17%、メディア・その他が1%だった。

■中期成長戦略でマーケティングサービス事業に経営資源を傾注

 中期成長戦略として、顧客EC店舗の販促を支援するマーケティングサービス事業に経営資源を傾注させ、顧客EC店舗の業績拡大に努めている。さらに新たな収益ブロックとして、ABテスト「Estore COMPARE」やメールCRM「Estore QUERY」など、マーケティングシステム事業(バックストアー群)を本格化させる方針だ。

 一方で販売システム事業はECサイト提供が過当競争化しているため、販売システム支援業者ではなくEC総合支援業者への転換を目指し、戦略的に新規顧客獲得をECでのポテンシャルが見込める優良顧客に偏重させている。このため顧客店舗数が減少し、ストックの売上構成比も低下する。ただし受注単価は上昇傾向である。またフロウとマーケティングの売上構成比が上昇する。

 17年3月期末のECシステム「ショップサーブ」顧客店舗数は1万1590店舗で16年3月期末比1001店舗減少したが、17年3月期の1顧客店舗当たり業績は692万円で16年3月期比9.5%成長した

■18年3月期減益予想だが、3Q累計高進捗で通期上振れ余地

 18年3月期の非連結業績予想は売上高が17年3月期比4.5%増の49億90百万円、営業利益が1.0%減の4億03百万円、経常利益が1.1%減の3億97百万円、純利益が3.8%減の2億74百万円としている。配当予想は未定としている。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比6.8%増の38億15百万円、営業利益が27.4%増の4億19百万円、経常利益が38.1%増の4億46百万円、純利益が38.3%増の3億05百万円だった。マーケティングの大幅伸長が牽引して増収増益だった。

 ストックは顧客店舗数を戦略的に減少させているため5.4%減の14億04百万円だった。フロウは受注単価上昇などで4.2%増の15億43百万円だった。マーケティングは受託受注が増加して49.0%増の8億41百万円と大幅伸長した。非注力分野のメディア・その他は40.1%減の26百万円だった。

 売上総利益率は28.9%で4.3ポイント低下した。原価率の高いマーケティング売上高の構成比上昇が影響した。販管費比率は18.0%で6.0ポイント低下した。人材や販売促進の投資が計画通りに進まなかった。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が76.5%、営業利益が104.0%、経常利益が112.3%、純利益が111.3%と高水準である。遅れている投資を第4四半期に実行するが、通期予想に上振れ余地がありそうだ。

■株価は調整一巡して戻り試す

 株価は1月の昨年来高値1312円から反落したが、調整一巡して900円近辺から切り返しの動きを強めている。

 3月22日の終値1019円を指標面で見ると、今期予想PER(予想EPSは純利益予想と自己株式除く発行済株式総数から算出した53円08銭を利用)は19~20倍近辺、前期実績PBR(前期実績BPS227円30銭)で算出は4.5倍近辺、時価総額は約105億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線がサポートラインの形だ。調整一巡して戻りを試すが期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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