18日のFOMCでドル安(円高)に転換の可能性、輸出関連から内需株の出番も=犬丸正寛の相場展望

犬丸正寛

犬丸正寛の相場展望 日経平均は快調に上値を追っている。昨年11月14日に1万7500円水準に乗せたあと今年2月9日まで1万7000~1万8000円でもち合っていたのがウソのような上げっぷりである。

この間、伝えられているように個人投資家と外国人投資家の売り越し基調に対し、年金資金のほぼ一手買いの姿である。しかも、年金資金は上値を追って買っているという。押し目は買うが、上値買いは慎重とみられていた年金がどうして上値買いなのだろうか。

察するに、アメリカに代わって日本の景気牽引役の出番ということが背景にあるように思われる。アメリカは2008年11月から2014年10月までの期間に3回の量的金融緩和を行い、景気回復を軌道に乗せ、今度は景気過熱予防から利上げが接近している。

これを嫌ってNYダウは波乱の状況にある。日本の相場まで下落したのでは世界同時株安の連鎖になりかねない心配がある。欧州は、去る9日から1日30億ユーロの量的金融緩和に踏み切ったところであり、なんとしても世界同時株安による世界不況突入は避けたいところだろう。

そこで、日本の年金・GPIFの買い出動ということではなかろうか。アメリカのマーケットが予防的利上げを織込んで落ち着くまでは日本に機関車役を求めるということだろう。

日経平均がNYダウに対し上ザヤの続いていることでも、こうした見方を裏付けることはできるだろう。日経平均の上ザヤは今年1月27日から始まり、1月中は4営業日、2月は12営業日、そして3月は10営業日すべてにおいて日経平均の上ザヤが続いている。まさに、日本の機関車役といえる動きである。

一方、東証1部出来高は13日(金)のSQ日以外は1日20億株前後の薄商いとなっている。当然といえば当然だろう。年金資金が上値を追って買う以上、短期はともかくも中長期的に値上がりの期待できる銘柄で、しかも日経平均上昇に効果の見込める銘柄にマトを絞っているからとみられるからである。

即ち、その銘柄とは日経平均及びJPX日経400に採用となっている好内容銘柄である。ROE及び1株利益が高く営業増益などの好内容銘柄である。これらの銘柄は現政権が安定さえしていれば先高が予想される上に増配銘柄も多いことから今3月期の配当も手にすることができる。とくに、新指数のJPX日経400は国策的ともいえる指数であり、年金の投資対象としては文句をつけられる心配のない銘柄といえる。

しかし、これらの銘柄は個人投資家にとっては大きく下げる場面では買いに出ても積極的に上値を買うスタンスではない。もともと、個人投資家は中低位銘柄や新興系の人気銘柄を好むところがある。

3月の配当落ちまでは、こうした高ROE等の値ガサ優良株の展開が続くものとみられる。売り物薄の中を日経平均はするすると値を上げ2万円へ近づく可能性はありそうだ。

ただ、NYダウは、18日のFOMCで利上げ有無等の見通しがはっきりすれば材料出尽くし感から出直ることが予想されそうだ。同時にドル高(円安)からドル安に振れる可能性もあり日本株は輸出関連から内需関連に物色の矛先が移る可能性はありそうだ。

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