巴工業は調整一巡して戻り歩調、18年10月期微減益予想だが保守的

 巴工業<6309>(東1)は、遠心分離機械などの機械製造販売事業、合成樹脂や化学工業薬品などの化学工業製品販売事業を展開している。18年10月期は微減益予想だが保守的な印象が強い。上振れ余地がありそうだ。株価は調整一巡して戻り歩調だ。1倍割れの低PBRも見直し材料だろう。

■機械製造販売事業と化学工業製品販売事業を展開

 遠心分離機械を中心とする機械製造販売事業、合成樹脂や化学工業薬品などを中心とする化学工業製品販売事業を2本柱として、中国・深圳ではコンパウンド加工事業も展開している。

 17年10月期のセグメント別売上構成比は機械製造販売事業25%、化学工業製品販売事業75%、営業利益構成比は機械製造販売事業24%、化学工業製品販売事業76%だった。また地域別売上構成比は日本79%、アジア17%、その他4%だった。

 収益面では、機械製造販売事業が設備投資関連のため、第2四半期(2月~4月)および第4四半期(8月~10月)の構成比が高くなりやすい特性がある。

■18年10月期微減益予想だが保守的で上振れ余地

 18年10月期の連結業績予想は、売上高が17年10月期比4.2%増の428億円、営業利益が4.5%減の21億円、経常利益が5.4%減の21億円、純利益が4.9%減の14億30百万円としている。配当予想は17年10月期と同額の年間45円(第2四半期末22円50銭、期末22円50銭)としている。予想配当性向は31.4%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比12.1%増の95億17百万円、営業利益が4.8倍の3億73百万円、経常利益が6.3倍の3億74百万円、そして純利益が2億52百万円(前年同期は1百万円の赤字)だった。

 機械製造販売事業、化学工業製品販売事業とも好調に推移して大幅増益だった。売上総利益率は21.4%で1.7ポイント上昇した。収益性の高い商材の伸長が寄与した。販管費比率は17.5%で1.3ポイント低下した。営業外費用では為替差損が減少した。

 機械製造販売事業は売上高が31.0%増の15億96百万円で、営業利益が94百万円の赤字(前年同期は3億10百万円の赤字)だった。国内官需向け部品、国内民需向け機械、装置・工事などが伸長し、営業赤字が大幅に縮小した。化学工業製品販売事業は売上高が9.0%増の79億21百万円で、営業利益が20.4%増の4億67百万円だった。電子材料分野の半導体製造用途向け搬送用商材、工業材料分野の自動車向け材料、化成品分野の紫外線硬化樹脂、香港拠点の樹脂販売、深?のコンパウンド事業が伸長した。

 通期のセグメント別の計画は、機械製造販売事業の売上高が12.0%増の114億70百万円で営業利益が4.1%増の5億50百万円、化学工業製品販売事業の売上高が1.6%増の313億30百万円で営業利益が7.2%減の15億50百万円としている。

 機械製造販売事業、化学工業製品販売事業とも堅調に推移して増収だが、化学工業製品販売事業における電子材料分野の減収や化成品分野の商材一部消失の影響で、各利益は微減益予想としている。ただし第1四半期の大幅増益を考慮すると保守的な印象が強い。上振れ余地がありそうだ。

■株主優待制度は10月末に実施、ワインを贈呈

 株主優待制度は毎年10月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。優待内容はワイン(当社関連会社取扱商品)1本を贈呈する。

■株価は調整一巡して戻り歩調

 株価は第1四半期大幅増益を好感して3月2日に2280円まで急伸する場面があった。その後は買いが続かず急反落したが、2000円近辺から切り返している。調整一巡して戻り歩調だ。

 4月6日の終値2101円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS143円31銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間45円で算出)は約2.1%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2706円72銭で算出)は約0.8倍である。時価総額は約221億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線突破の動きを強めている。低PBRも見直して戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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