加賀電子は下値固め完了感、18年3月期2桁営業増益予想で19年3月期も収益拡大期待

 加賀電子<8154>(東1)は半導体・電子部品・情報機器の販売、EMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。18年3月期は2桁営業増益・増配予想である。利益予想は3回目の増額余地がありそうだ。そして19年3月期も収益拡大を期待したい。株価は下値固め完了感を強めている。なお5月9日に18年3月期決算発表を予定している。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSも展開

 半導体・電子部品・情報機器の販売、およびEMS(電子機器の受託開発製造サービス)などを展開する独立系のエレクトロニクス商社である。

 17年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)75%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)19%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)5%だった。

 17年10月には、託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。サイコックスのSiC基板製造技術と住友金属鉱山の基板生産技術を融合させ、SiC基板の量産検証を促進する。

 18年2月にはウェアラブルコミュニケーションデバイスを開発・販売するBONX(東京都)への出資を発表した。ベンチャー企業への投資活動を活発化させ、新たなイノベーションを創出する。
 
 18年3月には、出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社が自社開発した前立腺癌の生検および治療用システム「ProBx」について、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得したと発表している。米国での販売は18年7月、日本での販売は19年前半を予定している。

 中期経営計画2018では、16年3月期~19年3月期を利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付けている。そして18年9月の会社設立50周年に向けた総決算として、経営目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。

 利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25~35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。自己株式取得は市場環境や資本効率を鑑みながら適宜検討するとしている。

■18年3月期2桁営業増益・増配予想、利益は3回目の増額余地

 18年3月期の連結業績予想(2月6日に利益を2回目の増額修正)は、売上高が17年3月期比2.1%増の2320億円、営業利益が16.3%増の80億円、経常利益が18.5%増の87億円、純利益が7.5%減の64億50百万円としている。

 純利益はグループ再編に伴う法人税等調整額減少が一巡して減益予想だが、主力の電子機器向けEMSビジネス、半導体・電子部品、住宅向け関連商材が好調に推移して2桁営業増益・経常増益予想である。

 配当予想(2月6日に2回目の増額修正)は、特別配当10円を含めて年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。17年3月期の年間60円(特別配当20円含む)との比較で10円増配となる。予想配当性向は29.8%となる。

 第3四半期累計は、売上高が前年同期比3.9%増の1740億47百万円、営業利益が27.7%増の66億13百万円、経常利益が29.0%増の70億93百万円、純利益が13.3%増の55億10百万だった。

 電子部品・情報機器事業が牽引して大幅増益だった。売上総利益率は13.9%で0.1ポイント上昇、販管費比率は10.1%で0,6ポイント低下した。特別利益では投資有価証券売却益5億91百万円、子会社株式売却益4億67百万円を計上した。

 電子部品事業は電子機器向けEMSビジネスや半導体の好調で11.0%増益、情報機器事業は住宅向けおよび商業施設向け関連商材の好調で96.5%増益、ソフトウェア事業はCGアニメーション制作などの受注低迷で69.5%減益、その他事業は国内アミューズメント業界向けゲーム機器事業などが堅調に推移して黒字化した。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が75.0%、営業利益が82.7%、経常利益が81.5%、純利益が85.4%と高水準である。利益予想は3回目の増額余地がありそうだ。そして19年3月期も収益拡大を期待したい。

■株価は下値固め完了感

 株価は17年10月高値から反落して上値を切り下げたが、直近安値圏2500円近辺で下値固め完了感を強めている。

 4月6日の終値2646円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS235円10銭で算出)は約11倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は約2.6%、そして前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS2401円00銭で算出)は約1.1倍である。時価総額は約759億円である。

 週足チャートで見ると2500円近辺が下値支持線となり、13週移動平均線突破の動きを強めている。出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  2. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…
  3. ■節約志向が市場を動かす?  日本の消費者は、節約志向と低価格志向を持続しており、これが市場に影響…
  4. ■投資家の心理を揺さぶる相場の波  日米の高速エレベーター相場は、日替わりで上り下りと忙しい。とく…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る