クレスコは調整一巡して戻り歩調、18年3月期増収増益予想で19年3月期も収益拡大期待

 クレスコ<4674>(東1)はビジネス系ソフトウェア開発を主力として、カーエレクトロニクス関連などの組込型ソフトウェア開発も展開している。受注が高水準に推移して18年3月期増収増益予想である。そして19年3月期も収益拡大が期待される。株価は調整一巡して戻り歩調だ。なお5月8日に18年3月期決算発表を予定している。

■ビジネス系ソフトウェア開発が主力で組込型ソフトウェア開発も展開

 ビジネス系ソフトウェア開発(アプリケーション開発、基盤システム構築)事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売)も展開している。

 17年3月期セグメント別売上高構成比は、ソフトウェア開発事業83%(金融・保険分野40%、公共・サービス分野22%、流通・その他分野20%)、組込型ソフトウェア開発事業17%(通信システム分野2%、カーエレクトロニクス分野7%、情報家電等・その他分野9%)、その他事業(商品・製品販売等)0%だった。

 17年12月には持分法適用関連会社のエル・ティー・エス<6560>が東証マザーズに新規上場し、同社株式を一部売却して関連会社に該当しないこととなった。18年1月にはシステム開発のネクサスを子会社化した。18年3月には子会社メディア・マジックが商号をメクゼスに変更した。18年4月1日には子会社のアイオスとアプリケーションズの経営統合が完了した。アイオスが存続会社である。
 収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる季節特性がある。配当に関しては、特別損益を零とした場合に算出される当期純利益の40%相当額をメドとした配当を継続的に実現することを目指している。

■中期成長に向けて先端技術への取り組み強化

 中期成長に向けた重点施策として、コア事業(システム基盤、アプリケーション開発、組み込み)を組み合わせたビジネスの推進、デジタル変革をリードする先端技術(AI、Robotics、IoT)の研究・拡大、品質・生産性の徹底的追求、サービスビジネスの推進、グループシナジー強化およびM&A・アライアンスの推進、開発体制の拡充(ニアショア、オフショア、ビジネスパートナー)、積極的な情報発信(PR、IR)などを推進している。

 オリジナル製品・サービスでは、IoTの「KEYAKI」、AIの「Minervae」、クラウドの「Creage」を3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。

 17年11月には、眼疾患をスクリーニングする人工知能エンジン「Minervae SCOPE」を、医療機器メーカー向けに研究用として提供開始した。17年12月には歯科用電子カルテのオプテック向けに、歯科のカルテを学習訓練させたAI型電子カルテシステムと歯科診療所向けアシスタントロボットを開発した。

■18年3月期増収増益予想、19年3月期も収益拡大期待

 18年3月期連結業績予想は、売上高が17年3月期比7.5%増の332億円、営業利益が10.8%増の30億円、経常利益が6.6%増の32億80百万円、純利益が9.2%増の22億30百万円としている。受注が高水準に推移して増収増益予想である。

 第3四半期累計は売上高が前年同期比8.8%増の244億59百万円、営業利益が19.7%増の22億97百万円、経常利益が22.5%増の26億83百万円、純利益が15.7%増の17億20百万円だった。受注が高水準に推移して大幅増益だった。売上総利益率は18.8%で0.4ポイント上昇、販管費比率は9.6%で0.6ポイント低下した。

 ソフトウェア開発事業は売上高が11.0%増の204億15百万円で、営業利益が15.0%増の25億円だった。金融保険分野が大型案件一巡で3.1%減収だったが、公共・サービス分野が人材・旅行・物流関連の好調で15.6%増収、そして流通・その他分野が31.8%増収となって全体を牽引した。

 組み込み型ソフトウェア開発事業は売上高が2.8%増の39億68百万円で、営業利益が3.6%増の6億49百万円だった。通信システム分野が6.5%減収、カーエレクトロニクス分野が5.5%減収だったが、情報家電・その他分野が11.8%増収と好調だった。

 通期会社予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が73.7%、営業利益が76.6%、経常利益が81.8%、純利益が77.1%である。第4四半期の不透明感が強いとして通期会社予想を据え置いたが上振れ余地がありそうだ。そして19年3月期も収益拡大が期待される。

 配当予想(3月15日に前回予想比で普通配当4円増額修正と創立30周年記念配当10円の実施を発表)は年間72円(第2四半期末29円、期末43円=普通配当33円+記念配当10円)としている。17年3月期との比較では17円増配となる。予想配当性向は34.7%となる。

■株価は調整一巡して戻り歩調

 17年12月、第三者割当による行使価額修正条項付第4回新株予約権(潜在株式数20万株)、行使価額修正選択権付第5回新株予約権(潜在株式数20万株)、および第6回新株予約権(潜在株式数20万株)の発行を発表した。2月26日には第4回新株予約権の権利行使がすべて完了した。

 株価は水準を切り下げる展開だったが、3月8日の直近安値3145円から切り返し、4月9日には3775円まで上伸した。調整一巡して戻り歩調だ。

 4月10日の終値3675円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想連結EPS207円63銭で算出)は約18倍、前期推定配当利回り(会社予想の年間72円で算出)は約2.0%、前々期実績連結PBR(前々期実績連結BPS1224円66銭で算出)は約3.0倍である。時価総額は約441億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。出直りが期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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