木は庭に植えず山に植えよ=犬丸正寛の相場格言

■木は庭に植えず山に植えよ

 気に入った苗木を買ってきて、身近な庭に植えると、毎日眺めて、まだ大きくならないのかと気をもむばかりです。ところが、山に植えると、いつも眺めることはできないので、時折、行ってみると、いつの間にか大きく育っていることに驚くということから、大事なものを育てるときは、ゆったりとした気持ちでのぞむのがよいという教えです。

 株式投資においても大いに役立つ言葉です。これぞと思って、信念をもって買った銘柄なら、日々の株価を見て一喜一憂するのではなく、山に植えた木のようにしばらく見ないでいれば、気がついたときには大きく値上がりしているということです。

 筆者が小さい頃、祖母から、「モチは女に焼かせ、魚は旦那に焼かせよ」、という言葉を教わった記憶があります。どうしてと聞くと、祖母は、「モチは焦げないように頻繁にひっくり返さなくてはいけないので女に向いている、魚は頻繁にひっくり返すものではないから、どっしりとした旦那さん向き」、ということを言っていたように思います。お腹がすいて、早く魚が焼けないかと、ひっくり返してばかりいた筆者をみて、祖母がたしなめる意味で言ってくれたと思います。子供ながらに、男はどっしりしていなくてはいけないのだと、感じたのです。

 株式投資においては、もちろん、モチを焼くこともあれば、魚を焼くような投資方法もあります。大切なことは、自分はモチを焼いているのか、魚を焼いているのかをはっきりと自覚しておくことです。株式投資でモチを焼くことは短期投資法、魚を焼くことは長期投資法で、これをごっちゃにすると儲けるどころか損をすることになります。情報が頻繁に流れ、しかも手数料の安くなったネット取り引きでは、モチを焼くような素早さが必要だと思います。しかし、長期投資法の人がモチを焼くような気持ちではうまくいかないと思います。

 昔は、今のように情報量が多くなく、当然、ネット取り引きもなく、手数料も高い時代でしたから長期投資が善しとされてきました。相場の位置を確認し、景気と企業業積の先行きを見通したうえで、長期投資にのぞむのが一般的でした。まさに、木を庭に植えるのではなく、山に植えて、一喜一憂せず、忘れているくらいがよいというやり方でした。現在でも十分に参考となる言葉だと思いますが、昔と現在では、長期投資の期間が昔は10年くらいでしたが、現在は2,3年程度となっていることは気をつけなくてはいけないところです。

 経営においても昔と違って、製品のライフサイクルが短くなっていますのでスピード経営が求められています。とくに、社会資本が充実し、耐久消費財の普及率が100%近くに高まり、そして人々の好みが多様化している今の豊かな社会では、ゆったりとした経営では間に合わない点もあると思います。モチを焼くのに向いている女性の感性が必要といえるのではないでしょうか。役員にもっと女性を据える時代に思われます。

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