【編集長の視点】綿半HDは決算発表を前に連続の過去最高業績期待を高め内需株買いが膨らみ続伸

 綿半ホールディングス<3199>(東1)は、前日25日に60円高の3920円と続伸して引け、今年4月23日につけた配当権利落ち後の直近安値3775円から出直る動きを強めた。同社株は、大型連休明け直後の今年5月11日に3月期決算の発表を予定しており、これを先取りして2018年3月期業績の上ぶれ着地、続く2019年3月期業績の連続過去最高更新を期待し、内需関連のバリュー株買いが増勢となった。

■中期計画の目標数値を1年前倒しで早期達成し次期2019年3月期は創業421周年目

 同社が、目下集計中で5月11日に開示予定の前2018年3月期業績は、売り上げ1013億5100万円(前期比9.2%増)、営業利益20億3900万円(同3.6%増)、経常利益21億900万円(同5.8%増)、純利益12億5900万円(同6.3%減)と予想されていた。この3月期通期業績に対して、今年1月30日に発表された前期第3四半期業績(2017年4月~12月期、3Q)決算は、前年同期比12.6%増収、16.4%営業増益、20.0%経常増益、10.5%純益増益で着地し、利益進捗率は、86%~90%と目安の75%を大きく上回った。

 2016年9月に連結子会社化した綿半Jマートのフル寄与のほか、特売ではなく年間を通して商品を低価格で提供する同社独自の「EDLP(エブリデー・ロー・プライス)戦略」に基づき、昨年11月に日用品・食品の700品目を値下げし、既存店舗を食品・ガーデニングを強化する高収益力の都市型スーパーセンターにリニューアル、さらに昨年1月に設立した共同仕入会社綿半パートナーズをベースにグループ共同仕入れ、原価低減、物流拠点統合などを図る「EDLC(エブリデー・ロー・コスト)戦略」を並行して進め相乗効果を発揮したことなどが要因となった。

 この3Q業績の高利益進捗率から、2018年3月期通期業績の上ぶれ着地期待を高めている。同社は推進中の中期経営計画で2019年3月期の目標数値を売り上げ1000億円、経常利益22億円と設定しているが、1年前倒しで早期達成すると観測されている。また、次期2019年3月期の業績動向については、5月11日の3月期決算発表時の業績ガイダンスを待たなくてはならないが、続伸が有力視されている。同社は、2018年3月期配当を慶長3年(西暦1598年)に創業した創業420周年の記念配当5円を上乗せして年間31円(前期実績26円)に増配したが、次期が創業421周年となるためだ。東洋経済会社四季報最新号では、経常利益を23億5000万円と観測している。

■25日線水準の4000円台をクリアして弾みをつけ最高値へキャッチアップ

 株価は、今年1月に発表した2018年3月期3Qの高利益進捗率業績と記念増配を評価して上場来高値4875円まで急伸し、第一波、第二波と続いた世界同時株安の影響で3560円安値まで調整、期末の配当・優待制度の権利取りで4310円までリバウンドし、3895円で権利を落とした。権利落ち後は、3775円安値まで再び下値を探ったが、25日移動平均線から6%超の下方かい離は売られ過ぎとして底上げに転じた。米国の長期金利上昇で全般相場の先行き不透明感が強まるなか、内需系のディフェンシブ株買いが増勢となり、25日線水準の4000円台奪回で弾みをつけ上場来高値4875円へのキャッチアップを目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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