エイトレッドは自律調整一巡感、18年3月期2桁営業増益で19年3月期も2桁営業増益予想

 エイトレッド<3969>(東マ)はワークフローを電子化する「ワークフローシステム」を開発・販売している。導入企業・クラウド利用数が順調に増加して18年3月期は2桁増営業増益だった。そして19年3月期も2桁営業増益予想である。株価は自律調整一巡感を強めている。好業績を見直して反発を期待したい。

■ワークフローシステムを開発・販売で国内首位

 ソフトクリエイトホールディングス<3371>の連結子会社で、ワークフローを電子化する「ワークフローシステム」を開発・販売している。

 ワークフローというのは、企業における稟議書、経費精算申請書、各種届け出書などの作成~申請~回覧~承認~保存~履歴管理のように、企業内における業務・事務処理手続きの一連の流れ・プロセスのことである。

 このワークフローをコンピュータに組み入れて、従来の紙文書での手書き・回覧作業を、パソコン・スマホ入力で電子文書化することによって、業務負担の軽減、ペーパーレス化、回覧に要する時間の短縮、書類の紛失防止など、業務効率化・迅速化やセキュリティ向上を実現するシステムが「ワークフローシステム」である。

 主力製品は、パッケージ型の小規模・中規模企業向けX-point(エクスポイント)、中規模・大規模企業向けAgileWorks(アジャイルワークス)、クラウド型の小規模企業向けX-point Cloud(エクスポイントクラウド)である。

 03年X-point販売開始以来、スモールビジネスから大手企業まで2000社を超えるパッケージ製品導入実績を誇り、国内ワークフローシステム市場において6年連続シェア1位(株式会社ミック経済研究所調べ)を獲得している。

 17年5月にはクラウドアプリプラットフォームのATLED Work Platformの提供を開始した。ワークフローシステムが標準搭載されたマルチテナント型クラウドアプリケーションプラットフォームである。

 販売面では第2位株主であるSCSK<9719>など、幅広い顧客層をカバーする大手SIとのパートナー関係を構築している。

■ワークフローシステムの市場は拡大基調

 ワークフローシステム市場は、09年度から15年度まで年平均13.5%(株式会社ミック経済研究所調べ)と高成長を続けている。しかし依然としてワークフローシステムによる電子文書化を導入せず、紙・手書きベースでの業務・事務処理に依存している企業が多いため潜在市場は大きい。また在宅勤務やテレワークといった働き方改革の推進、企業不祥事防止のための内部統制強化の流れなども背景として、市場は拡大基調が期待される。

 こうした事業環境に対応し、中期成長戦略として営業の強化、アライアンスパートナーの開拓、製品機能の強化、クラウド対応の拡大などの施策を推進する方針だ。

■導入企業増加してストック型収益比率も上昇基調

 17年3月期の製品別売上高は、X-pointが16年3月期比3.1%減の4億72百万円、AgileWorksが32.7%増の3億22百万円、X-point Cloudが46.0%増の1億66百万円だった。

 ストック売上高(サービス&サポート)の比率は53.9%で2.4ポイント上昇した。また17年3月期末のパッケージ導入社数は16年3月期末比362社増加の2026社、クラウド利用ユーザー数は7555増加の2万4280となった。導入企業が増加してストック型収益比率も上昇基調である。

■18年3月期2桁営業増益、19年3月期も2桁営業増益予想

 18年3月期の非連結業績は、売上高が17年3月期比15.1%増の11億07百万円、営業利益が12.6%増の3億24百万円、経常利益が16.4%増の3億24百万円、純利益が17.1%増の2億22百万円だった。

 導入企業・クラウド利用数が順調に増加して2桁増収だった。パッケージソフトは8.3%増の8億60百万円(フロー売上高が2.1%増の4億27百万円、ストック売上高が15.1%増の4億33百万円)だった。X-pointはクラウドサービスの拡大で減少したが、AgileWorksが大幅伸長した。クラウドサービスは47.7%増の2億46百万円(フロー売上高が13.5%増の28百万円、ストック売上高が53.8%増の2億17百万円)だった。新規導入企業数が順調に増加した。

 コスト面では積極的な人員採用で人件費などが増加したが、増収効果で吸収して2桁営業増益だった。売上総利益率は74.6%で0.2ポイント低下、販管費比率は45.3%で0.5ポイント上昇した。

 19年3月期の非連結業績予想は、売上高が18年3月期比13.8%増の12億60百万円、営業利益が16.9%増の3億79百万円、経常利益が11.0%増の3億60百万円、純利益が7.2%増の2億39百万円としている。引き続き導入企業・クラウド利用数が順調に増加して2桁営業増益予想である。

 18年3月期の配当は第2四半期末15円50銭、期末5円17銭とした。17年12月17日付株式3分割後に換算すると年間10円34銭となり、17年3月期の換算後の年間9円49銭に対して85銭増配となる。また19年3月期の配当予想は年11円(第2四半期末5円50銭、期末5円50銭)で、18年3月期換算後の年間10円34銭に対して66銭増配となる。予想配当性向は31.3%である。

■株主優待制度は9月末と3月末の年2回実施

 株主優待制度は年2回、毎年9月末および3月末時点の株主を対象として、保有株式数に応じてオリジナルQuoカードを贈呈する。

■株価は自律調整一巡感、好業績を見直し

 株価は3月の戻り高値圏1200円近辺から反落し、19年3月期2桁営業増益予想を好感する動きも限定的だったが、自律調整の範囲だろう。

 4月27日の終値1081円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS35円15銭で算出)は約31倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間11円で算出)は約1.0%、前期実績PBR(前期実績のBPS212円47銭で算出)は約5.1倍である。時価総額は約73億円である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線を割り込んだが、好業績を見直して反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■テレワークとオフィスワークの融合でイノベーション創出を目指す  エキサイトホールディングス(エキ…
  2. ■内閣府発注の大型プロジェクトを15億3800万円で落札  QPS研究所<5595>(東証グロース…
  3. ■働く車や人気キャラクターのおもちゃで、考える力、社会性、創造性を育む  日本マクドナルドホールデ…
2024年5月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ピックアップ記事

  1. ■アップトレンドを迎える業界のダークホースたち  今週の当コラムは、全面業績相場のなかややディフェ…
  2. ■自分流の業績相場にダークホース?!上方修正実績のある舶用機器関連株の決算発表からマーク  「ゴー…
  3. ■4月雇用は予想を下回り、長期金利低下しNY株価は上昇  米国労働省が発表した4月雇用統計だが、景…
  4. ■藤田観光など上方修正済み銘柄が狙い目、決算発表前に高値予約しておくのも有効  大型連休の好調な需…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る