クレスコは調整一巡して出直り期待、19年3月期も増収増益予想

 クレスコ<4674>(東1)はビジネス系ソフトウェア開発を主力として、カーエレクトロニクス関連などの組込型ソフトウェア開発も展開している。受注が高水準に推移して18年3月期は8期連続増収増益だった。そして19年3月期も増収増益予想である。株価は戻りの鈍い展開だが、調整一巡して出直りを期待したい。

■ビジネス系ソフトウェア開発が主力で組込型ソフトウェア開発も展開

 ビジネス系ソフトウェア開発(アプリケーション開発、基盤システム構築)事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売)も展開している。

 18年3月期セグメント別売上高構成比は、ソフトウェア開発事業83%(金融・保険分野36%、公共・サービス分野23%、流通・その他分野24%)、組込型ソフトウェア開発事業16%(通信システム分野2%、カーエレクトロニクス分野6%、情報家電等・その他分野9%)、その他事業(商品・製品販売等)0%である。

 18年1月にはシステム開発のネクサスを子会社化した。18年3月には子会社メディア・マジックが商号をメクゼスに変更した。18年4月には子会社のアイオスとアプリケーションズを統合した。

 収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる季節特性がある。配当に関しては、特別損益を零とした場合に算出される当期純利益の40%相当額をメドとした配当を継続的に実現することを目指している。

■中期成長に向けて先端技術への取り組み強化

 中期成長に向けた重点施策として、コア事業(システム基盤、アプリケーション開発、組み込み)を組み合わせたビジネスの推進、デジタル変革をリードする先端技術(AI、Robotics、IoT)の研究・拡大、品質・生産性の徹底的追求、サービスビジネスの推進、グループシナジー強化およびM&A・アライアンスの推進、開発体制の拡充(ニアショア、オフショア、ビジネスパートナー)、積極的な情報発信(PR、IR)などを推進している。

 オリジナル製品・サービスでは、IoTの「KEYAKI」、AIの「Minervae」、クラウドの「Creage」を3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。

 17年11月には、眼疾患をスクリーニングする人工知能エンジン「Minervae SCOPE」を、医療機器メーカー向けに研究用として提供開始した。17年12月には歯科用電子カルテのオプテック向けに、歯科のカルテを学習訓練させたAI型電子カルテシステムと歯科診療所向けアシスタントロボットを開発した。

■18年3月期増収増益、19年3月期も増収増益予想

 18年3月期の連結業績は、売上高が17年3月期比7.9%増の333億28百万円、営業利益が14.2%増の30億91百万円、経常利益が13.4%増の34億92百万円、純利益が7.8%増の22億02百万円だった。受注が高水準に推移して8期連続増収増益だった。売上総利益率は18.9%で0.3ポイント上昇、販管費比率は9.6%で0.2ポイント低下した。

 ソフトウェア開発事業は売上高が8.4%増の277億24百万円で、営業利益が11.5%増の34億31百万円だった。金融保険分野はメガバンク向け大型案件の一巡で4.9%減収だったが、公共・サービス分野が人材・旅行・物流関連の好調で14.7%増収、流通・その他分野が28.1%増収となって全体を牽引した。

 組み込み型ソフトウェア開発事業は売上高が4.1%増の54億58百万円で、営業利益が9.5%増の9億05百万円だった。通信システム分野が1.7%減収、カーエレクトロニクス分野が2.3%減収だが、情報家電・その他分野が10.3%増収と好調だった。

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比6.5%増の355億円、営業利益が6.1%増の32億80百万円、経常利益が2.5%増の35億80百万円、純利益が9.7%増の24億16百万円としている。受注が高水準に推移して9期連続増収増益予想である。

 18年3月期の配当は期末の創業30周年記念配当10円を含めて、17年3月期比17円増配の年間72円(第2四半期末29円、期末43円=普通配当33円+記念配当10円)とした。19年3月期の配当予想は記念配当10円を落として、年間64円(第2四半期末32円、期末32円)とした。18年3月期との比較で8円減配だが、普通配当ベースでは2円増配となる。予想配当性向は29.0%となる。

■株価は調整一巡して出直り期待

 17年12月、第三者割当による行使価額修正条項付第4回新株予約権(潜在株式数20万株)、行使価額修正選択権付第5回新株予約権(潜在株式数20万株)、および第6回新株予約権(潜在株式数20万株)の発行を発表した。2月26日には第4回新株予約権の権利行使がすべて完了した。

 株価は戻りの鈍い展開で、19年3月期増収増益予想にもネガティブ反応の形となった。増益率鈍化や減配予想が嫌気された可能性がありそうだ。ただし目先的な売り一巡感を強めている。

 5月18日の終値3530円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS220円84銭で算出)は約16倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間64円で算出)は約1.8%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1379円38銭で算出)は約2.6倍である。時価総額は約424億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線突破の動きを強めている。調整一巡して出直りを期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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