【アナリスト水田雅展の銘柄分析】フォーカスシステムズはマイナンバー制度関連物色で動意、収益改善基調も評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 システム構築・運用のフォーカスシステムズ<4662>(JQS)の株価が動意づいている。17日は前日比104円(11.20%)高の1033円まで急伸する場面があった。マイナンバー制度関連を物色する流れに乗った可能性がありそうだ。収益改善基調も評価して1月の戻り高値1080円、さらに14年10月高値1210円を目指す展開だろう。

 公共関連・民間関連のシステム構築・保守・運用・管理サービスを主力として、セキュリティ機器関連事業も展開している。民間関連事業では関東圏・近畿圏に加えて、東海圏にも拠点展開して営業を強化している。

 顧客別に見るとNTTデータ<9613>関連、および日本IBM関連を主力として、CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)<4739>関連、沖電気<6703>関連、ソフトバンク<9984>関連が続いている。

 今期(15年3月期)の業績(非連結)見通し(5月8日公表)は、売上高が前期比2.5%増の145億円、営業利益が同1.4%増の9億円、経常利益が同横ばいの8億50百万円、純利益が同9.7%増の5億円、配当予想が前期と同額の年間20円(期末一括)としている。

 今後の事業展開を睨んで技術者の採用・育成などへ積極投資するため、今期の営業利益は微増の見通しとしている。ただし需要面で見ると、公共関連事業は政府発信の「世界最先端IT国家創造宣言」関連、民間関連事業は企業のITインフラ投資関連、セキュリティ機器関連事業は官公庁のサイバー犯罪対策関連を中心として高水準に推移する見通しだ。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比8.7%増収、同11.2%営業増益、同7.2%経常増益、同25.0%最終増益と好調に推移した。公共関連事業、民間関連事業、セキュリティ機器関連事業とも順調に推移し、特に公共関連事業は前期第4四半期(14年1月~3月)以降の回復傾向が顕著なようだ。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)35億83百万円、第2四半期(7月~9月)37億03百万円、第3四半期(10月~12月)35億90百万円で、営業利益は第1四半期99百万円、第2四半期1億96百万円、第3四半期2億40百万円である。営業損益の改善基調を鮮明にしている。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高75.0%、営業利益59.5%、経常利益58.4%、純利益62.6%で利益進捗率がやや低水準だが、第4四半期(1月~3月)の構成比が高い公共関連事業が増加基調であることなどを考慮すれば順調な水準だろう。通期ベースでも収益改善が期待される。

 株価の動きを見ると、概ね900円近辺でモミ合う展開だったが、3月16日に終値で前日比29円(3.23%)高と動意付き、17日は前日比104円(11.20%)高の1033円まで急伸する場面があった。NTTデータを主要顧客としているため、マイナンバー制度関連を物色する流れに乗った可能性がありそうだ。

 3月17日の終値980円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS72円22銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間20円で算出)は2.0%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS726円46銭で算出)は1.3倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると13週移動平均線近辺から切り返してサポートライン確認の形となった。短期調整が一巡し、収益改善基調も評価して1月の戻り高値1080円、さらに14年10月高値1210円を目指す展開だろう。

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