ベステラは売られ過ぎ感、19年1月期1Q実質増収増益で通期も増収増益予想

 ベステラ<1433>(東1)はプラント解体に特化したオンリーワン企業で、次世代プラント解体工法「3D解体」実現に向けたロボット開発も推進している。19年1月期(連結決算に移行)第1四半期は実質増収増益だった。そして通期も増収増益予想である。株価は安値更新の展開だが売られ過ぎ感を強めている。

■鋼構造プラント設備解体のオンリーワン企業

 製鉄所・発電所・ガスホルダー・石油精製設備など鋼構造プラント設備の解体工事に特化したオンリーワン企業である。

 製鉄・電力・ガス・石油・石油化学業界(製鉄所・発電所・石油精製・石油化学設備など)向けを主力とするプラント解体工事、および特定化学物質・アスベスト・ダイオキシン・土壌汚染などの環境関連対策工事を展開している。16年10月には東京都から解体工事業の許可を受けた。

 大手企業のエンジニアリング子会社を中心とした優良な顧客基盤、豊富な工事実績に基づく効率的な解体マネジメント、解体工事会社としては類のない特許工法・知的財産の保有(特許取得14件、特許申請中5件)を強みとしている。

 主要顧客はJFEグループ、新日鐵住金グループ、戸田建設、東京エネシス、IHIグループなどである。特許関連では、04年球形ガスホルダー解体「リンゴ皮むき工法」の特許を取得、07年火力発電所等の「ボイラ解体方法」の特許を取得、10年遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」を開発した。

 関連事業として、建設技能労働者不足に対応した人材派遣・紹介・育成サービス、プラント解体事業における事前調査等の強化を目的とした3D計測・データサービスも展開している。18年3月若手技術者育成教育支援サービスや人材サービスを展開するヒロ・エンジニアリングを子会社化した。

 収益計上基準は工事進行基準と工事完成基準がある。収益面では顧客の設備投資計画の影響を受け、工事完成時期や完成工事利益率によって四半期業績が変動する。また完成工事高は顧客の設備投資計画に応じた季節性があり、第4四半期の割合が高くなる特性がある。

■プラント解体需要は中期的に増加予想

 企業の事業再編や設備集約、産業競争力強化法やエネルギー供給構造高度化法など余剰設備の再編に向けた国の政策を背景として、1960年代の高度成長期に建造されたプラントの老朽化に伴う解体工事が増加すると予想されている。

 19年1月期~21年1月期の「中期経営計画2019」(ローリング方式で毎年改定)では、数値目標に20年1月期売上高64億円(電力21億円、製鉄17億円、石油・石油化学18億円、ガス・他8億円)、営業利益5億24百万円、経常利益5億20百万円、純利益3億70百万円、売上高営業利益率8.2%、EPS44円、R12.0%を掲げている。配当性向の目安は40%とする。

 重点戦略として、収益構造改革(受注案件数・規模の拡大、工法の充実、元請工事の拡大、ストック型の安定的受注の拡大など)、人事構造改革、3D事業の価値の追求(パーフェクト3D拡販など3D解体分野の拡充、3D技術とロボティクスの融合など)、M&A戦略などを推進する。

■次世代解体工法「3D解体」実現に向けてロボット開発を推進

 ロボット工法については、遠隔操作による溶断ロボット「りんご☆スター」を開発して工事実績を積み上げ、新アタッチメント開発による用途拡大を進めている。また東京工業大学との産学連携による群移動体型ロボット「群龍」や、京都大学および山口大学との共同研究による監視ロボットを開発している。さらに次世代プラント解体工法「3D解体」実現に向けたロボット開発を推進する。

 17年6月には出願した特許「三次元画像表示システム、三次元画像表示装置、三次元画像表示方法およびプラント設備の三次元画像表示システム」と「作業用ロボットおよび作業用ロボットを用いた警報システム」が出願公開されたと発表している。審査を経て正式に登録される。

■19年1月期(連結決算に移行)1Q実質増収増益で通期も増収増益予想

 19年1月期(連結決算に移行)連結業績予想は、売上高が51億円、営業利益が4億22百万円、経常利益が4億06百万円、純利益が2億86百万円としている。18年1月期非連結業績との比較で、売上高が13.4%増収、営業利益が9.3%増益、経常利益が8.8%増益、純利益が8.7%増益の増収増益予想となる。

 第1四半期連結業績は売上高が10億52百万円、営業利益が72万円、経常利益が74百万円、純利益が46百万円だった。前年同期の非連結業績との比較で売上高は23.6%増収、営業利益は11.5%増益だった。

 計画どおりに工事が進捗した。一部の進行基準工事の利益を保守的に見積もったため売上総利益率は計画より若干下回ったが、増収効果で吸収して実質的に増収増益だった。期首繰越工事高22億18百万円に対して、受注工事高が4億85百万円、完成工事高が10億23百万円となり、期末繰越工事高(受注残高)は16億79百万円となった。

 配当予想は18年1月期と同額の年間15円(第2四半期末5円、期末10円)としている。予想配当性向は43.8%となる。

■株主優待制度は1月末に実施

 株主優待制度は、毎年1月31日現在100株以上300株未満保有株主に対してクオカード1000円分、300株以上保有株主に対してクオカード2000円分を贈呈する。

■株価は売られ過ぎ感

 なお4月13日発表の自己株式取得(取得株式総数の上限15万株、取得価額総額の上限2億円、取得期間18年4月17日~18年6月15日)は6月15日に終了した。取得株式数は12万8700株、取得価額総額は1億9993万6100だった。

 株価は安値更新の展開で、6月19日には1377円まで調整した。6月19日の終値1387円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS34円25銭で算出)は約40倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間15円で算出)は約1.1%、前期実績PBR(前期実績の非連結BPS279円12銭で算出)は約5.0倍である。時価総額は約116億円である。

 週足チャートで見ると13移動平均線が戻りを押さえる形だが、やや売られ過ぎ感を強めている。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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