【編集長の視点】キュービーネットHDは期末の初配当の催促と研修施設開校の先取りが相乗して7連騰

株式評論家の視点

 キュービーネットホールディングス<6571>(東1)は、前週末25日に1円高の2040円と7営業日続伸して引け、今年4月11日につけた上場来高値2266円を視界に捉えた。同社株は、今2019年6月期の配当について、今年3月23日の新規株式公開(IPO)時には配当は実施するものの、配当金額が未定としていたが、期末接近とともに配当催促の動きを強めて直近IPO株買いが増勢となった。また、今年7月には同社の4拠点目の研修施設を福岡に開校予定で、これを先取りして来2019年6月期業績への期待を高めていることや、国内大手証券が、強気の投資判断、目標株価を格付けしたことも、買い手掛かりとなっている。

■IPO後の初配当は連結配当20%を目標に実施意向

 同社の今2018年6月期の配当は、今年3月の東証第1部へのIPO時に配当は予定しているものの、具体的な配当金額は未定としていた。ただ配当方針としては、連結配当性向20%を目標に掲げており、6月26日の配当権利付き最終日に向け上場記念配当、株主優待制度も含めて株主還元策の早期開示が待たれている。

 一方、研修施設の開校は、低価格(1000円)で短時間(10分)のヘアカット専門店「QBハウス」を全国展開している同社には、成長戦略として実際に店内でカットを行う店舗スタッフ(理美容師)の採用、スキルアップは不可欠で、このため東京、大阪に続いて今年7月に福岡に4拠点目の研修施設を開校する。前期に開校した名古屋の研修施設の効果で研修生が約30%増加しており、同社の国内総店舗542店舗のうち、西日本は150店舗にとどまる空白地域が多く、今後、新規出店を積極化するベースとなってくる。

 業績も好調に推移しており、今2018年6月通期業績は、売り上げ190億9000万円(前期比6.2%増)、営業利益17億1400万円(同14.1%増)、経常利益16億3100万円(同15.0%増)、純利益11億円(同7.5%増)と連続の過去最高更新が予想されている。続く次期2019年6月期業績は、国内での積極的な新規出店やアジア地域、米国への海外展開加速、新業態店「FaSS」の寄与などから続伸が有力となる。国内大手証券では、来期の営業利益を18億2000万円と観測している。

■上場来調整幅の半値戻しをクリアし「半値戻しは全値戻し」で上場来高値奪回が加速

 株価はIPO以来、低調に推移してきた。初値は、公開価格2250円を下回る2115円でつけ、いったん上場来高値2266円へ買い直され公開価格を上回ったものの、その後は、相次ぐ全般相場の波乱展開に影響されて下値を探り、前年同月比で連続プラスとなった月次売上高発表で小戻す場面を交えながら上場来安値1654円まで調整した。同安値からは売られ過ぎとして底上げ、国内大手証券の強気の投資判断、目標株価も加わって最高値から最安値への調整幅の半値戻しまでリバウンドした。直近IPO株人気を再燃させ相場格言の「半値戻しは全値戻し」通りに上場来高値奪回が加速しよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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