【どう見るこの相場】200日線から大幅マイナスかい離銘柄には「二百十日の風鎮め」を期待してリターン・リバーサルも一法

どう見るこの相場

 近頃は「二百十日」とか「野分」などの気象用語をとんと聞かなくなった。「二百十日」は、立春から210日目の台風襲来の特異日で、風が吹き荒れ、これを前に全国各地では「おわら風の盆」のような風鎮めの祭りも行われてきた。しかし、無理もない。日本列島は、このところ異常気象続きで、「災害は忘れたころにやってくる」どころか、「災害は忘れる間もなくやってくる」ほどに台風が頻発し、しかも生命の危険にかかわる短時間の集中豪雨など激甚災害を各地に引き起こしているからだ。悠長な気象用語など廃語に近い扱いになっているのかもしれない。

 「二百十日」は、兜町流に引き直すとほぼ200日移動平均線に該当する。この長期移動平均線を売買のタイミングを判断するテクニカル分析に活用したのが「グランビルの法則」である。移動平均線と株価のかい離の仕方や方向性を見極めることにより株価の先行きを予測しようとするもので、4つの買い法則(買い信号)と4つの売り法則(売り信号)で構成される。今回の当コラムのテーマは、この4つの買い法則のうち、下向きになった200日線よりもさらに株価が下方に大幅にかい離した銘柄が、本当に自律反発をしてくれるのか、実際の銘柄選別に応用できるのか試してみることにある。

 全般相場は、足元の前週末24日に日経平均株価が、4日続伸し週間で4週間ぶりに上昇したが、東証第1部の売買代金は、6日連続で2兆円台を割り、なお「夏休み」状態である。その後商いが始まった24日の米国市場では、S&P500種株価指数とナスダック総合株価指数が揃って最高値を更新した。週明けの東京市場が、この米国市場に追随できれば大歓迎で、東京市場は一気に夏休み明けとなり活況相場が戻ってくるベスト・シナリオが想定される。しかし、米中の貿易戦争が泥沼化し、トルコ問題が新興国に一段と悪循環し、さらにはトランプ米大統領自身の「ロシアゲート問題」が政治リスクを高めることがないとは保証の限りではない。とすれば、取り越し苦労になるかもしれないが、ワース・シナリオ、ワースト・シナリオにも備えることは必須となる。この先の「二百十日」が到来する9月1日から始まる9月相場も、「二百十日の風鎮め」を期待することから始めなければならないかもしれないのである。

 そこで、すべての悪材料を予め織り込んだともいうべき200日移動平均線から大幅にマイナスかい離した銘柄を取り上げ、ランキングのワースト100に入った銘柄に「グランビルの法則」が通用するのか応用編としてリサーチしてみた。すると確かに大幅かい離銘柄のなかには、PER・PBR、配当利回りの投資尺度面からみて、大きく売られ過ぎを示唆し買い信号を点滅させている銘柄も見受けられたのである。「二百十日の風鎮め」を前提にして、大きく下げた株ほど大きく戻るとする「リターン・リバーサル」対応も一考余地がありそうだ。

■中心銘柄はテクニカル的な自律反発をファンダメンタルズがサポート

 というのも、前週にこの「リターン・リバーサル」を実現した第1号銘柄が登場し、市場の注目を集めたからだ。200日線から一時、約40%超もマイナスかい離していたアルバック<6728>(東1)である。同社株は、今年8月8日に6月期決算を発表し、今2019年6月期予想業績が市場コンセンサスを下回るとして、長大陰線を引いて年初来安値3735円まで790円安した。ところが、外資系証券が投資判断を「ニュートラル」から「オーバーウエート」に引き上げたことを直接の引き金にして400円超幅の棒上げをした。(本紙編集長・浅妻昭治)

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