【編集長の視点】ラクーンは1Qの連続2ケタ増益決算を手掛かりに値ごろバリュー株買いが再燃して反発

 ラクーン<3031>(東1)は、前日11日に4円高の629円と3営業日ぶりに反発して引け、今年8月9日につけた年初来安値494円からの底上げに再発進した。今年8月30日に発表した今2019年4月期第1四半期(2018年5月~7月期、1Q)決算が、連続2ケタ増益で着地したことから、今期通期純利益が、連続の2ケタ増益で過去最高更新と予想され、配当も、連続増配が有力視されている確度が高まり、さらに今年9月5日にはBtoB後払い決済サービス「Paid」の導入企業が3000社を突破したことを記念した特設ページを公開したことも加わり、値ごろ妙味に着目しバリュー株買いが再燃した。テクニカル的にも、5日移動平均線が、下から25日移動平均線を上抜き、その25日線が、今度は下から75日移動平均線を上抜き短期線、中期線ともゴールデン・クロスを示現したことから上昇トレンドの加速も期待されている。

■EC事業の海外流通額が46%増と伸びPaid事業の導入企業も3000社を突破

 同社の今期1Q業績は、前年同期比9.3%増収、25.7%営業増益、27.7%経常増益、30.3%純益増益と大きく続伸した。EC事業、フィナンシャル事業ともに好調に推移したことが要因となった。EC事業では、主力の「スーパーデリバリー」の会員小売店数が、前期末に比べて7254店舗、出展企業数が41社、商材掲載数が2万8642点それぞれ増加し、国内流通額が前年同期比0.2%増と続伸するとともに、海外流通額が、安価な航空輸送サービス「ECMS EXPRESS」の対応国が、台湾、香港の2カ国から韓国、タイ、シンガポール、マレーシアまで拡大したことで同46.7%増と急拡大し、総流通額は、同5.2%増と続伸した。

 フィナンシャル事業では、「Paid」の導入企業数が3000社を突破し取扱高が、同15.5%増と好調に推移して、大企業に比べて生産性や信用度、資金繰りに課題を抱える中小企業の経営を支援し、保証事業の保証残高も、今年6月から自社ブランドの事業用家賃保証サービスの提供を開始したことも加わり、前期末比6.5%増の177億9151万円と続伸した。両事業の好調な推移により人件費の増加を吸収し2ケタ増益につながった。

 今2019年4月期通期業績は、期初予想に変更はなく売り上げ27億900万円(前期比6.4%増)、営業利益5億1300万円(同17.2%増)、経常利益5億800万円(同17.7%増)、純利益3億3000万円(同16.6%増)と見込み、純利益は、前期の過去最高を連続更新する。なお今期配当は、期初見通し通りに未定としているが、東洋経済会社四季報最新号では、5.2円~5.5円(前期実績5.2円)と増配含みと観測されており、1Q好決算を受けて増配の確度が高まったとみられている。

■年初来安値からストップ高を交えて36%高し「半値戻しは全値戻し」の年初来高値奪回を加速

 株価は、米国の中国への相次ぐ制裁関税発動やトルコショックによる世界的株安の波及で突っ込んだ年初来安値494円から森永製菓<2201>(東1)の「Paid」導入でストップ高し、さらにGMOペイメントゲートウェイ<3769>(東1)との業務提携、今期1Qの好決算と続いて36%高、年初来高値878円から同安値までの調整幅の半値戻し目前となり、高値固めを続けた。5日線、25日線、75日線がそれぞれゴールデン・クロスを示現したここからは、相場格言の「半値戻しは全値戻し」で勢いをつけ、年初来高値奪回を加速させよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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