【編集長の視点】Jトラストは直近安値から3連騰、一部報道を織り込み大幅続伸業績を見直し中間配当の権利取りも増勢

 Jトラスト<8508>(東2)は、前日19日に21円高の688円と3営業日続伸して引け、今年9月12日につけた直近安値645円からの出直りを鮮明化させた。同社株の直近安値への下落は、9月1日付けの日本経済新聞で、アパートの施工・管理会社のTATERU<1435>(東1)が、建設資金の借入希望者の預金通帳残高を水増するなど銀行の融資審査書類を改ざんしたと報道されて株価がストップ安と急落したことにツレ安したものだが、同社も、この一部報道に関して直ちに業績に影響はないとコメントを発表しており、売られ過ぎ修正買いが増勢となった。その今2019年3月期は、大幅続伸と予想されていることも見直され、さらに9月相場入りとともに、中間配当の権利取りの買い物も相乗している。さらに米国の10年物国債利回りが3%台にタッチ、東京市場終了後の9月18日に3%台に乗せ約4カ月ぶりの高水準となったことも、利ザヤ拡大期待を高め側面支援材料視されている。

■独自の厳格な審査を実施し保証物件の入居率は98%と高水準で貸倒は皆無

 TATERUの融資書類改ざん問題については、同社連結子会社・日本保証の保証残高にはTATERUの取扱物件のアパートローン保証も含まれている。ただし日本保証は、提携先の金融機関とは別に、高い資産の質を維持するために独自に厳格な審査を行っている。具体的には、保証対象物件は、高入居率が維持できる主に東京首都圏、大阪、名古屋、福岡に立地する物件や、駅最寄り物件、新築物件に限定し、審査も、主に物件による回収可能性に注目して実施、仮に預金額が改ざんされて申し込まれてとしても融資実行までに頭金が用意されていないと融資が実行されないスキームとなっている。2014年4月に開始したアパートローン保証は、保証物件の入居率が98%超で推移し、現時点まで貸倒実績は皆無となっており、このため同社業績への影響はないとした。
 その今2019年3月期業績は、営業収益833億7800万円(前期比9.3%増)、営業利益70億7300万円(同3.0倍)、純利益53億1800万円(前期は7億3100万円の赤字)と大幅続伸を見込んでいる。韓国及びモンゴル金融事業が好調に推移し、東南アジア金融事業では、債権回収部門を強化して貸倒引当金戻入益の計上などで業績を回復させ、さらに米国カリフォルニア州進出、カンボジアの商業銀行子会社化などのグローバル展開の強化も寄与する。今年9月7日に発表した足元の今年8月の月次データでは、日本金融業の債務保証残高は、前年同月比60.4%増と過去最高を伸ばし、韓国金融事業の銀行業における貸出金残高は、同21.3%増、営業貸付金残高も、同18.4%増、東南アジア金融事業の銀行業における貸出金残高は同14.4%増と好調に推移した。なお今期配当は、年間12円(中間配当6円)を安定継続する。

■年初来高値から直近安値への調整幅の3分の1戻しを奪回し半値戻しを目指す

 株価は、前期配当の権利を落とした年初来安値616円から今期業績の大幅続伸予想、カンボジアの商業銀行子会社化、さらに月次データの順調推移の好材料が続いて6月に年初来高値1006円まで6割高した。同高値後は、何度も世界同時株安に巻き込まれて利益確定売りが優勢となり、今期第1四半期業績の増減マチマチの着地で735円安値、TATERU問題へのツレ安では655円安値と調整、売られ過ぎとして底上げに転じてきた。PERは13倍台、25日移動平均線からは5%超のマイナスかい離となお売られ過ぎ水準にあり、年初来高値から直近安値への調整幅の3分の1戻しの772円奪回から半値戻しの830円を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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