加賀電子は富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化、業界NO.1企業と収益性向上を目指す

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 加賀電子<8154>(東1)は独立系エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器を販売する商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを主力としている。富士通エレクトロニクスを19年1月子会社化する。電子部品事業の規模拡大で業界NO.1企業を目指し、さらに中期的にはEMSビジネス拡大による収益性向上を目指す方針だ。株価は急反発している。戻りを試す展開が期待される。

■独立系エレクトロニクス商社でEMSビジネスも展開

 独立系エレクトロニクス商社で、半導体・電子部品・情報機器を販売する商社ビジネス、および電装基板製造受託サービスのEMSビジネスを主力としている。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、電子部品事業(半導体、一般電子部品、EMSなどの開発・製造・販売)73%、情報機器事業(パソコン・周辺機器、家電、写真・映像関連商品などの販売)20%、ソフトウェア事業(CG映像制作、アミューズメント関連商品の企画・開発)1%、その他事業(エレクトロニクス機器の修理・サポート、アミューズメント機器の製造・販売、スポーツ用品の販売など)6%だった。

■中期計画で19年3月期経常利益100億円目標

 中期経営計画2018は、利益重視経営の確立と「次世代の加賀電子」として飛躍するための準備期間と位置付け、目標値に19年3月期売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8%以上を掲げている。利益配分に関する基本方針は、連結配当性向25~35%を確保しつつ安定的な配当を実施するとしている。

 成長戦略には「5つの重点テーマ」として、EMSビジネスの事業規模拡大に向けた海外拠点拡充、車載関連分野(ADAS、DMS、ハイブリッド車、電気自動車など)における市場ニーズへの対応、IoT分野(LPWA市場開拓やAIを活用したクラウドビジネス)への展開強化、M&A活用によるグループ経営基盤・収益基盤の強化、ベンチャー企業・事業への投資(3年間で50億円)を掲げている。

 17年10月には託児機能付ワーキングスペース運営のママスクエア、AI・IoTワンストップサービスのスカイディスク、産業用ドローン開発のスカイロボットへ出資した。また住友金属鉱山<5713>とSiC(シリコンカーバイド)基板開発の子会社サイコックスの株式51%譲渡契約および合弁契約を締結した。18年2月にはウェアラブルコミュニケーションデバイス開発のBONXに出資した。

 18年3月には、出資先の米HARMONUS(ハーモナス)社の前立腺癌生検および治療用システム「ProBx」が、米国食品医薬品局(FDA)から承認を取得した。日本での販売は19年前半を予定している。18年6月には、IoTを活用したスマート・セキュリティ・サービス「Secual」を展開するSecualに出資した。

 18年8月には、ソフトバンクグループで保育クラウドサービス「hugmo」を展開するhugmoに出資した。そして9月19日には、hugmoとバイオシルバーが開発した園児向けマット型IoTセンサーを、総販売店として10月1日から販売開始すると発表した。

■富士通エレクトロニクスを子会社化

 9月10日に富士通エレクトロニクスを子会社化すると発表した。富士通セミコンダクターから2019年1月に富士通エレクトロニクス株式70%を取得して子会社化し、その後2020年12月に15%、2021年12月に15%を段階的に取得して2022年1月に完全子会社化する。なお国内外における競争法に基づく関係当局の承認等を条件としている。

 本件買収によって売上高5000億円級の企業グループとなる。そして取り扱い商材の拡大や顧客基盤の共有により、電子部品事業の規模を拡大して「業界NO.1企業」を目指す。

 また短期的な目標は商社ビジネスの量的拡大だが、商社ビジネスの拡大をEMSビジネスの成長につなげることで、中期目標としてEMSビジネス拡大による収益性向上(利益額の拡大と利益率の向上)を実現し、さらにグローバル競争に勝ち残るため「世界に通用する企業」を目指す方針だ。

■19年3月期は中期計画目標値の達成目指す

 19年3月期連結業績予想は、第2四半期決算時に次期中期経営計画と併せて公表予定としているが、電子部品事業を中心に受注環境が良好であり、中期経営計画最終年度の目標値(売上高2900億円、経常利益100億円、ROE8.0%以上)の達成を目指すとしている。

 配当予想は年間70円(第2四半期末30円、期末40円)としている。18年3月期と同額だが、18年3月期は特別配当10円(第2四半期末5円、期末5円)を含んでいるため、普通配当ベースでは増配となる。

 なお富士通エレクトロニクスの子会社化が19年3月期連結業績に与える影響については確定後に公表するとしている。買収価額は総額205億円の見込みで、買収資金は自己資金および新規ブリッジローンによって調達予定としている。そしてブリッジローンは今後、様々な長期資金調達への切り替えを検討する。のれん計上額や無形固定資産償却等は買収完了後に公表予定だが、買収価額と純資産が概ねイコールのため影響額は軽微の見込みとしている。

■株価は急反発

 株価は8月21日の年初来安値1967円で売り一巡し、富士通エレクトロニクス子会社化も好感して急反発している。9月21日には2418円まで上伸した。

 9月21日の終値は2417円、今期予想配当利回り(会社予想の年間70円で算出)は約2.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2571円79銭で算出)は約0.9倍、時価総額は約694億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線を突破して先高観を強めている。戻りを試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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