インフォコムは高値更新の展開、19年3月期営業増益・増配予想

 インフォコム<4348>(JQ)は、ITサービスや電子コミック配信サービスを主力として、IoT領域の事業創出も積極推進している。19年3月期営業増益・増配予想である。8月21日には東京証券取引所本則市場(市場第一部)への市場変更申請を行っている。株価は上場来高値更新の展開だ。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。なお10月29日に第2四半期決算発表を予定している。

■ITサービス事業とネットビジネス事業を展開

 帝人<3401>グループで、ITサービス(医療機関・製薬企業・介護事業者向けヘルスケア事業、一般企業向けSIのエンタープライズ事業、ERPソフト「GRANDIT」や緊急連絡・安全確認サービスなどのサービスビジネス事業)、および一般消費者向けネットビジネス(子会社アムタスの電子コミック配信サービス、eコマース、女性向けや音楽系デジタルコンテンツの提供)を展開している。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比はITサービス54%、ネットビジネス46%、営業利益構成比(連結調整前)はITサービス42%、ネットビジネス58%である。収益面では、ITサービス事業は年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。
■新中期経営計画で成長加速

 17年2月策定の新中期経営計画(18年3月期~20年3月期)では、基本方針を成長の追求、および成長を支える経営基盤の継続強化としている。

 成長の追求では電子コミックとヘルスケアを重点事業としてM&Aを積極推進し、AIやIoTを活用したビジネス展開も推進する。成長を支える経営基盤の継続強化では品質管理の継続強化とサービス品質向上、業務プロセス改革による効率化と社会との協業強化、人財育成強化を推進する。

 経営目標数値には、20年3月期売上高600億円~800億円(SI・サービス160億円、ヘルスケア140億円、電子コミック300億円、およびM&A200億円)、EBITDA(営業利益+償却費)70億円~100億円、重点事業(電子コミックとヘルスケア)比率70%、ROE10%以上、配当性向30%を掲げ、M&A戦略投資枠200億円を掲げている。

 18年3月には電子書籍事業大手パピレス<3641>の株式を取得(議決権割合9.83%)した。18年6月にはAI与信エンジン搭載の通信販売事業者向け後払い決済与信サービス「at score」を発表した。18年7月にはヘルスケア分野において、SOMPOホールディングス<8630>と「シニアポータル構想」の共同推進で合意した。サービス第一弾としてSOMPOケアの介護施設利用者向け「買い物代行サービス」の実証実験を開始する。

■19年3月期営業増益・増配予想

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比9.2%増の500億円、営業利益が11.5%増の65億円、経常利益が9.5%増の65億50百万円、純利益が3.0%減の45億円としている。配当予想は2円増配の年間40円(第2四半期末10円、期末30円)で、予想配当性向は24.3%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比5.2%増の104億64百万円で、営業利益が3.9%増の6億77百万円、経常利益が6.3%増の7億20百万円、純利益が11.4%増の4億79百万円だった。電子コミック配信サービスの好調が牽引して増収増益と順調だった。

 ITサービスはSI案件の剥落で5.1%減収となり、先行投資負担も影響して営業損失が拡大した。ネットビジネスは電子コミック配信サービス(17.9%増収)が牽引して14.4%増収、20.7%営業増益だった。

 通期ベースでは、純利益が固定資産売却益の一巡で微減益予想だが、ヘルスケア分野や電子コミック配信サービスが牽引して増収・営業増益予想である。ITサービスは売上高が6.2%増の260億円で営業利益が9.8%増の27億円、ネットビジネスは売上高が12.8%増の240億円で営業利益が13.1%増の38億円としている。

 通期予想に対する第1四半期の進捗率は低水準の形だが、ITサービス事業は年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性があるためネガティブ要因とはならない。電子コミック配信サービス「めちゃコミック」の月間売上高は18年7月に20億円を突破して過去最高を更新している。通期ベースで好業績が期待される。

■株主優待制度は毎年9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月30日現在で1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。連結子会社ドゥマンが運営する食品通信販売サイト「オーガニックサイバーストア」で利用可能なポイント(1ポイントを1円として利用)を保有株数と保有年数に応じて贈呈する。

■株価は上場来高値更新の展開

 株価は上場来高値更新の展開で10月1日には3870円まで上伸した。10月1日の終値は3815円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS164円56銭で算出)は約23倍、今期予想配当利回り(会社予想年間40円で算出)は約1.0%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1032円15銭で算出)は約3.7倍、時価総額は約1099億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインの形だ。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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