翻訳センターは自律調整交えながら上値試す、19年3月期増収増益予想

 翻訳センター<2483>(JQ)は日本最大規模の言語サービス会社である。専門性の高い企業向け翻訳サービスを主力として、通訳や国際会議運営なども展開している。19年3月期増収増益予想、そして5期連続増配予想である。株価は年初来高値圏だ。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。

■企業向け翻訳サービスが主力

 医薬、工業・ローカライゼーション、特許、法務・金融分野など専門性の高い企業向け翻訳サービスを主力として、派遣、通訳、語学教育、コンベンションなどにも展開している。

 フュートレック<2468>から17年10月みらい翻訳の株式13%取得、17年11月メディア総合研究所の株式100%取得(子会社化)した。みらい翻訳は精度の高い機械翻訳技術の開発、メディア総合研究所は翻訳事業・システムソリューション事業を展開している。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は翻訳事業72%(医薬分野26%、工業・ローカライゼーション分野21%、特許分野18%、金融・法務分野7%)、派遣事業11%、通訳事業9%、語学教育事業2%、コンベンション事業5%、その他3%だった。収益面では下期の構成比が高い季節特性がある。

 翻訳事業は専門性の高い産業翻訳に特化し、登録者数(翻訳センター単体ベース)が約4200名、対応可能言語が約80言語、取引社数が約4600社、年間受注件数が約5万6000件と国内最大規模である。翻訳サービスの需要は、企業のグローバル展開も背景として知的財産権関連、新薬開発関連、新製品開発関連、海外展開関連、IR・ディスクロージャー関連を中心に拡大基調である。

 中期経営計画では目標数値に21年3月期売上高136億円、営業利益13億円、営業利益率10%以上、純利益8億50百万円、ROE15%以上を掲げている。

■19年3月期増収増益予想

 19年3月期の連結業績予想は、売上高が18年3月期比13.0%増の120億円、営業利益が12.2%増の9億円、経常利益が10.8%増の9億円、純利益が5.8%増の6億円としている。配当予想は6円増配(18年4月1日付株式2分割換算後)の年間35円(期末一括)としている。5期連続増配予想で予想配当性向は19.6%となる。

 第1四半期は、売上高が前年同期比19.2%増の28億86百万円、営業利益が37.3%増の1億69百万円、経常利益が37.1%増の1億72百万円、純利益が40.2%増の1億34百万円だった。

 主力の翻訳事業が12.6%増収(特許が2.1%増収、医薬が13.0%増収、工業・ローカライゼーションがメディア総合研究所の新規連結も寄与して29.9%増収、金融・法務が3.9%減収)と好調に推移して全体を牽引した。コンベンション事業の「第8回太平洋・島サミット」などの受託・運営も寄与した。

 通期ベースでも、主力の翻訳事業が牽引して増収増益予想である。翻訳事業の持続的成長を目指すとともに、翻訳支援ツールや機械翻訳などの活用も積極化する。第1四半期の進捗率は売上高24.1%、営業利益18.8%である。やや低水準の形だが、下期の構成比が高い収益特性のためネガティブ要因とはならない。通期ベースでも好業績が期待される。

■株価は年初来高値圏、自律調整交えながら上値試す

 株価(18年4月1日付で株式2分割)は10月1日に年初来高値3350円まで上伸した。その後一旦反落したが自律調整の範囲だろう。

 10月3日の終値は3135円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS178円10銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間35円で算出)は約1.1%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1169円33銭で算出)は約2.7倍、時価総額は約106億円である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインだ。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■更新前のスーパーコンピュータの約4倍の計算能力  富士通<6702>(東証プライム)は2月21日…
  2. ■両社の資源を有効活用しSDGsに貢献  伊藤忠商事<8001>(東証プライム)グループのファミリ…
  3. ■純正ミラーと一体化し、左後方の視界を広げる  カーメイト<7297>(東証スタンダード)は、純正…
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■投資と貯蓄の狭間で・・・  岸田内閣の「資産所得倍増プラン」は、「貯蓄から投資へ」の流れを目指し…
  2. ■「ノルム(社会規範)」解凍の序章か?植田新総裁の金融政策正常化  日本銀行の黒田東彦前総裁が、手…
  3. ■「日経半導体株指数」スタート  3月25日から「日経半導体株指数」の集計・公表がスタートする。東…
  4. ■投資家注目の適正株価発見ツール  日銀の価格発見機能が不全になる可能性がある中、自己株式取得が新…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る