ヤマシタヘルスケアホールディングスは底値圏、19年5月期減益予想の織り込み完了

 ヤマシタヘルスケアホールディングス<9265>(東1)は、九州を地盤とする医療機器専門商社の純粋持株会社である。19年5月期減益予想だが、第1四半期の赤字が縮小(前年同期の山下医科器械の連結業績との比較)したことを考慮すれば、やや保守的だろう。株価は19年5月期減益予想の織り込み完了してほぼ底値圏だろう。

■九州を地盤とする医療機器専門商社

 山下医科機械が17年12月1日付で純粋持株会社ヤマシタヘルスケアホールディングスを新設して新規上場した。

 子会社の山下医科器械は九州を地盤とする医療機器専門商社で、医療機器の販売・メンテナンスおよび医療材料・消耗品の販売を展開している。なお山下医科器械の子会社だったイーピーメディック(整形インプラントの製造販売)およびトムス(医療機器販売、17年6月子会社化)を、18年6月1日付で持株会社の100%子会社とした。
 17年9月には光通信<9435>と資本業務提携している。光通信の九州地区における医科向け「EPARK」事業を共同展開するため、第三者割当による自己株式処分で山下医科機械の4万7533株を光通信に割り当てるとともに、光通信の「EPARK」事業を展開するイーディライトの第三者割当増資を引き受けた。

 収益面では医療機関の設備投資関連で、第2四半期(9月~11月)および第4四半期(3月~5月)の構成比が高い特性がある。利益還元については安定的な配当の継続を基本方針とし、配当水準として連結配当性向30%を基準としている。

■中期経営計画で21年5月期経常利益6億円目標

 18年7月策定の新中期経営計画では、基本方針を「継続的な収益構造の確立に向けた事業会社の構造改革、および企業買収等によるヘルスケア領域でのグループ力向上を図る」として、目標値には21年5月期売上高605億円、営業利益5億30百万円、経常利益6億円を掲げている。

■19年5月期減益予想

 19年5月期連結業績予想は、売上高が18年5月期比1.5%増の595億48百万円、営業利益が17.7%減の3億07百万円、経常利益が18.9%減の3億64百万円、純利益が9.1%減の2億円としている。配当予想は18年5月期比2円減配の年間24円(期末一括)で、予想配当性向は30.0%となる。

 第1四半期は売上高が142億76百万円、営業利益が29百万円の赤字、経常利益が11百万円の赤字、純利益が63百万円の赤字だった。前年同期の山下医科器械の連結業績との比較で見ると、売上高は一般消耗品分野や低侵襲治療分野を中心に好調に推移して5.3%増収となり、各利益は赤字が縮小した。

 第1四半期の進捗率は低水準の形だが、第2四半期および第4四半期の構成比が高い特性があるため、ネガティブ要因とはならない。通期は診療報酬改定に伴う医療材料の販売価格引き下げ要求の高まりなどを考慮して減益予想としているが、第1四半期の赤字が縮小したことを考慮すればやや保守的だろう。

■株主優待制度は5月末の株主対象

 株主優待制度は毎年5月31日現在の1単元(100株)以上保有株主を対象に、保有株式数および継続保有期間に応じて、オリジナルクオカードを贈呈する。

■株価は底値圏

 株価は9月20日に1391円まで下押す場面があった。その後も安値圏1400円台で推移している。ただし19年5月期減益予想の織り込みが完了してほぼ底値圏だろう。

 10月10日の終値は1407円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS78円51銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間24円で算出)は約1.7%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS2457円18銭で算出)は約0.6倍、時価総額は約36億円である。反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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