ラクオリア創薬は売られ過ぎ感、疼痛と消化器管を主領域とする創薬ベンチャー

株式市場 銘柄

 ラクオリア創薬<4579>(JQ)は疼痛と消化管疾患を主領域とする創薬ベンチャーである。19年12月期黒字化を目指している。株価は地合い悪化も影響して7月の年初来安値に接近したが売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。

■疼痛と消化管を主領域とする創薬ベンチャー

 ファイザー日本法人の中央研究所を前身として、新規開発化合物の創出を目指す創薬ベンチャーである。炎症および神経性の疼痛と、胃食道逆流症や過敏性腸症候群を代表とする消化器疾患を主な領域として、適応症の追加などで研究開発対象領域の拡大も進めている。

 新規開発化合物の知的財産権を製薬会社に導出(使用許諾契約によるライセンスアウト)する収益モデルで、上市済み製品には、カンジダ症を適応症とするキャンディン系抗真菌薬のアニデュラファンギン(米国製品名Eraxis)、MRSA感染症を適応症とするグリコペプチド系抗MRSA抗菌薬のダルババンシン(米国製品名Dalvance)がある。

 パイプラインは消化器疾患領域で、胃食道逆流症を適応症とするカリウムイオン競合型アシッドブロッカーP-CAB(化合物コードRQ-00000004)が米国と日本でフェーズ1終了、中国でフェーズ1実施中、胃不全麻痺・機能性胃腸症・慢性便秘を適応症とするセロトニン受容体5-HT4部分作動薬(RQ-00000010)が英国でフェーズ1終了、米国で医師主導治験実施中、下痢型過敏性腸症候群を適応症とするセロトニン受容体5-HT2B拮抗薬(RQ-00310941)が英国でフェーズ1終了、胃不全麻痺・機能性胃腸症・術後イレウスを適応症とするモチリン受容体作動薬(RQ-00201894)が前臨床終了、癌に伴う食欲不振および悪液質症候群を適応症とするグレリン受容体作動薬(RQ-00433412)が前臨床検討中、疼痛領域で神経障害性疼痛(化学療法起因性冷アロディニア)を適応症とするTRPM8遮断薬(RQ-00434739)が前臨床である。

 子会社化テムリックは、癌領域に特化した創薬事業を展開している。パイプラインは、再発または難治性の急性前骨髄球性白血病(APL)を主適応症とするレチノイン酸受容体作動薬TM-411(一般名タミバロテン)である。

 18年3月には旭化成ファーマと、新規神経障害性疼痛治療薬候補のP2X7受容体拮抗薬に関するライセンス契約締結を発表した。今後は旭化成ファーマがRQ-00466479を有効成分とする新規治療薬の開発を前臨床試験から開始する。

■19年12月期黒字化目指す

 10月12日に、中国ZTEとの合弁会社設立契約の中止と18年12月期連結業績予想の下方修正を発表した。中国において5-HT4部分作動薬(RQ-00000010)と5-HT2B拮抗薬(RQ-00310941)を開発予定だったが、ZTEのグループ会社が米国政府から制裁を受け、合弁会社設立が遅延したため契約を合意解約した。契約終了によって一時金を受領できなくなり、18年12月期は赤字が拡大する見込みとなった。

 なお中期経営計画では、19年12月期に黒字化(売上高19億61百万円、営業利益1億82百万円、経常利益2億06百万円、純利益1億34百万円)を目指している。

■株価は売られ過ぎ感

 株価は地合い悪化も影響して7月の年初来安値1046円に接近したが、売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。10月25日の終値は1080円、時価総額は約220億円である。

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