クリーク・アンド・リバー社は売り一巡して反発期待、19年2月期増益・連続増配予想で2Q累計順調

 クリーク・アンド・リバー社<4763>(東1)は、クリエイティブ分野を中心にエージェンシー事業、プロデュース事業、ライツマネジメント事業を展開し、事業領域拡大戦略を加速している。増収基調に変化はなく、19年2月期はグループ拠点移転・統合関連費用を吸収して増益・連続増配予想である。第2四半期累計は微増益にとどまったが概ね順調だった。株価は地合い悪化も影響して水準を切り下げたが、売り一巡して反発を期待したい。

■クリエイティブ分野中心にエージェンシー事業やプロデュース事業を展開

 クリエイティブ分野(映画・TV番組・ゲーム・Web・広告・出版等の制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、プロデュース(制作請負・アウトソーシング)事業、ライツマネジメント(著作権管理)事業を主力としている。

 18年2月期のセグメント別売上構成比は、日本クリエイティブ分野71%、韓国クリエイティブ分野4%、医療分野13%、その他12%だった。なお19年2月期から、その他のセグメントを会計・法曹分野、その他(IT分野のエージェンシー事業、新規事業など)に変更した。
 収益面では医療分野の売上と利益が季節要因で第1四半期と第2四半期に偏重するため、全体としても上期の構成比が高い特性がある。また韓国クリエイティブ分野のうちTVマーケット関連事業は新設会社に承継し、18年2月期第2四半期から持分法適用関連会社とした。連結売上高が剥落するが利益への影響は小さい。主力の日本クリエイティブ分野は売上・営業利益とも拡大基調である。新規事業分野は人件費などの費用が先行するが順次収益化を見込んでいる。

■事業領域拡大戦略を加速

 M&Aも積極活用して事業領域拡大戦略を加速し、新規エージェンシー事業では建築、ファッション、シェフ、プロフェッサー、ドローン、舞台芸術、新規サービスではJURISTERRA、プロフェッショナルメディア、VR Japan、Idrasys、エコノミックインデックスを展開している。

 AI・ロボット関連では、17年10月台湾インツミットが開発したAIプラットフォーム「SmartRobot」の日本での独占販売を開始、18年1月台湾インツミットに出資、台湾インツミットと共同でAIを用いたシステム開発を行う新会社Idrasysを設立した。

 ファッション分野では17年12月、プライベートワークス社代表取締役社長白井崇文氏と共同で、ファッションやライフスタイル関連のインフルエンサー・マネジメント事業およびメディア事業を行う新会社forGIFTを設立している。

 18年3月には、東大発バイオベンチャーのCO2資源化研究所(UCDI)に出資した。UCDIは革新的なバイオ技術で水素と二酸化炭素から菌体を培養し、Biofeeds(バイオフィーズ:飼料蛋白素材)やバイオ燃料の資源化を目指して研究開発している。18年7月には、シリコンスタジオから新設分割でゲームコンテンツ開発・運営事業を承継したスタジオリボルバーを子会社化(商号をクレイテックワークスに変更)した。

■19年2月期増益・連続増配予想で2Q累計順調

 19年2月期の連結業績予想は、売上高が18年2月期比10.5%増の295億円、営業利益が8.0%増の19億50百万円、経常利益が6.9%増の19億50百万円、純利益が4.2%増の11億50百万円としている。配当予想は1円増配の年間12円(期末一括)で、予想配当性向は22.1%となる。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比4.5%増の148億18百万円、営業利益が1.5%増の12億64百万円、経常利益が0.2%増の12億56百万円、純利益が0.6%増の7億38百万円だった。

 売上面では、韓国事業を持分法適用関連会社化した影響を除くと実質12%増収となり、日本クリエイティブ分野が牽引して概ね計画水準だった。利益面では、本社移転費用や計画外だったクレイテックワークス子会社化の影響で営業微増益にとどまった。なお新規事業の売上高は5.7億円、営業利益は1.4億円の赤字(前年同期は1.1億円の赤字)だった。

 日本クリエイティブ分野は売上高が14.3%増の107億24百万円で営業利益が20.4%増の6億49百万円だった。ゲームやWebの派遣・請負を中心に順調で、制作スタジオなどが寄与して利益率も向上した。韓国クリエイティブ分野は売上高が7百万円で営業利益が11百万円の赤字(前年同期は5百万円の黒字)だった。

 医療分野は売上高が0.9%増の23億27百万円で営業利益が4.1%減の6億38百万円だった。医師紹介が堅調だが、販管費が増加した。会計・法曹分野は売上高が3.3%増の9億40百万円で営業利益が40.9%減の43百万円だった。会計士・弁護士紹介が堅調だが、販管費が増加した。その他は売上高が37.5%増の8億19百万円で営業利益が41百万円の赤字(前年同期は37百万円の赤字)だった。

 通期ベースでも日本クリエイティブ分野が牽引して増収増益予想である。韓国事業の持分法適用関連会社化の影響は9億円の減収要因である。コスト面では積極的な人材投資で人件費が増加し、18年10月のグループ拠点移転・統合関連費用も計上するが、増収効果や売上総利益率改善効果で吸収する。なお移転関連費用は第2四半期累計で80百万円を計上した。下期には一時費用として3億円、家賃・償却費増加として2億円を見込んでいる。

 韓国事業では下期からゲーム配信による収益計上を予定している。新規分野では新規エージェンシー事業のファッション、シェフ、プロフェッサー、新規サービスのプロフェッショナルメディアの黒字化を見込んでいる。新規サービスのJURISTERRA、VR Japan、Idrasys、エコノミックインデックスは投資が継続する見込みだ。

 第2四半期累計の進捗率は売上高50.2%、営業利益64.8%である。医療分野の偏重で上期の構成比が高い特性を考慮しても順調だろう。好業績を期待したい。

■株価は売り一巡して反発期待

 株価は10月4日の年初来高値1340円から反落し、その後は地合い悪化も影響して水準を切り下げ、10月26日には953円まで下押す場面があった。ただし売られ過ぎ感を強めている。

 10月26日の終値は994円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS54円29銭で算出)は約18倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は約1.2%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS305円41銭で算出)は約3.3倍、時価総額は約225億円である。売り一巡して反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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