メディカル・データ・ビジョンの第3四半期は増収減益となり新規事業が計画を下回る

■業績予想を下方修正したがIR開示克明で株価への影響は短期集中型の見方

 メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)が11月12日に発表した2018年12月期・第3四半期の連結業績(18年1~9月、累計)は、保有する医療ビッグデータ(大規模診療データベース)が患者数に換算して18年10月末現在で遂に2500万人(国民5人に一人分)を超え、アドホック調査(製薬会社などの要望に応じ、より具体的でピンポイントな分析を行う事業)などが好調に推移し、売上高は前年同期比14.0%増加して24.03億円となった。

 ただ、経常利益は前年同期の1.68億円から0.18億円の赤字となり、純利益も同じく0.75億円から1.42億円の赤字になった。子会社MDVコンシューマー・ヘルスケア株式会社が開発して参入した高保湿プレミアムスキンケア製品シリーズに大幅な販売計画の遅れが発生し、商品評価損1.3億円を計上したことや、戦略事業の「CADA-BOX」(カーダ・ボックス、患者自身が診療情報の一部を保管・閲覧できるWEBサービス「カルテコ」と医療費後払いサービス「CADA決済」を電子カルテと連携させて活用する医療機関向けの新サービス)の導入医療機関が当初見通しに比べて遅れていること、などが影響した。

 このため、今期・12月通期の連結業績見通しを下方修正し、売上高は18年2月に発表した従来見通しを25.5%(約12億円)減額して35.0億円の見込み(前期比では8.5%の増加)とし、経常利益は同じく74.0%(約5.9億円)減額して2.08億円の見込み(前期比では63.2%減)に見直し、純利益はゼロ(収支均衡)に修正した。

 連結売上高の下方修正幅12億円のうち、高保湿プレミアムスキンケア製品のMDVコンシューマ・ヘルスケアの影響額は4.62億円。「CADA-BOX」(カーダ・ボックス)の導入に関する影響額は約4.4億円、病院向け経営支援システムを主力としたパッケージ商品の導入に関する影響額は約2.0億円、その他1億円。

 業績見通しを下方修正したため、13日の株価は下方圧力がかかる可能性があるが、業績発表では、上記の数字以外にも克明なIR開示が見られ、利益面での事業別の影響数字や解説もあった。このため、調査筋からは、株価は下押しても短期集中型で通過する可能性がいわれている。

 医療ビッグデータ(大規模診療データベース)の規模は公的機関も含めて国内トップ級であり、現在も毎月拡大中。これを活用した主事業は好調に推移している。(HC)

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