フェローテックホールディングスの第2四半期は、太陽電池関連事業等の不振を半導体等装置関連事業がカバーし、増収2ケタ増益

 フェローテックホールディングス<6890>(JQS)の第2四半期は、太陽電池関連事業等の不振を半導体等装置関連事業がカバーし、増収2ケタ増益となった。
 19年3月期第2四半期連結業績は、売上高452億30百万円(前年同期比5.2%増)、営業利益50億69百万円(同12.7%増)、経常利益48億66百万円(同26.1%増)、純利益28億25百万円(同22.9%増)であった。

■半導体等装置関連事業は大幅増収増益

 半導体等装置関連事業においては、主力の真空シールは、密封空間を保持する機能部品であり、半導体の微細化投資や有機ELパネルの投資が緩やかに継続され、付随する金属加工製品と共に堅調に推移した。一方、石英製品やセラミックス製品など半導体のウエーハプロセスに使用されるマテリアル製品は、サーバーやスマートフォン用途、自動車用途の電子部品需要は旺盛であり、デバイスメーカー各社の装置稼働率は一定水準で推移したため販売は好調であった。また、装置部品洗浄(半導体製造装置、液晶パネル製造装置等の部品洗浄)は、安徽省銅陵市に5拠点目となる工場を建築中であり、年明けに竣工を予定している。マテリアル製品と装置部品洗浄は、半導体製造装置の稼働率に連動する。なお、8インチウエーハ加工は、量産が再開され月産8万枚レベルに達しており、現在、顧客の認定評価待ちの状態。この結果、半導体等装置関連事業の売上高は270億30百万円(同24.6%増)、営業利益は50億59百万円(同40.0%増)となった。

■世界の太陽光パネルの設置は拡大しているが、新興国が中心のため価格競争が発生

 ところが、太陽電池関連事業については、世界の太陽光パネルの設置は拡大しているが、新興国が中心のため価格競争が発生し、同社グループのシリコン製品価格も影響を受けた。さらに5月末に中国政府の固定買取制度の見直しの発表が追い打ちとなり、市場価格が急落したため一時製造を停止させ生産調整を行い、不採算の在庫を処分する等不振であった。
 今後の対策としては、顧客のOEM製品に特化し、稼働率を調整の上、人員は半導体インゴット工場へ移籍するなどリストラクチャリングを進める。また、在庫の一部は建築中の新工場屋根に太陽光パネルを設置する自社消費策も計画している。シリコン結晶製造装置及び消耗品の石英坩堝は、半導体用途への移管が進んでおり、これまで継続してきた事業構造改革をさらに進める。
この結果、太陽電池関連事業の売上高は51億66百万円(同48.2%減)、営業利益△10億29百万円(前年同期は△6億68百万円)となった。

■電子デバイス事業は北米市場での乗用車の販売台数が前年比で十数%減少

 電子デバイス事業については、主力の自動車温調シート向けサーモモジュールは、北米市場での乗用車の販売台数が前年比で十数%減少し、顧客の在庫調整により影響を受けた。その他の用途では、移動通信システム、医療検査装置、バイオ関連機器、家電製品などは、概ね計画のとおりに推移した。パワー半導体用基板は、顧客からの受注が増加したことから増産体制構築のため江蘇省東台市に新工場を竣工した。磁性流体は、北米の自家用車販売台数が減少したことから、カーオーディオ・スピーカー用途が、やや軟調に推移した。
この結果、電子デバイス事業の売上高は58億79百万円(同6.8%減)、営業利益は12億31百万円(同19.5%減)となった。

■通期連結売上高予想を60億円下方修正するが、利益面は当初予想通り

 第2四半期は、主力の半導体装置関連事業が好調であったことから、他の2事業の不振をカバーしたが、通期業績予想については、太陽電池関連事業の売上高が当初予想を下回る見込みとなったことから、通期連結業績予想の売上高を60億円下方修正した。しかし、利益面については、当初予想を見込んでいる。

 その結果、19年3月期通期連結業績予想は、売上高920億円(前期比1.5%増)、営業利益98億円(同16.2%増)、経常利益85億円(同18.7%増)、純利益53億円(同97.9%増)を見込んでいる。

 株価は最安値圏であることから、株価の反発が予想される。

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