【アナリスト水田雅展の銘柄分析】トレックス・セミコンダクターは売られ過ぎ感、中期成長力を評価して切り返しのタイミング

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 アナログ電源IC専門メーカーのトレックス・セミコンダクター<6616>(JQS)の株価は、2月の株式4分割発表後も反発力が鈍く調整局面だ。ただし売られ過ぎ感も強めている。指標面に割高感はなく、ウェアラブル端末のテーマ性や中期成長力を評価して切り返しのタイミングだろう。

 アナログ電源ICに特化して開発・販売する国内唯一の専業メーカーで、入力電圧を希望の出力電圧に変換するVR(電圧レギュレータ)、出力電圧が常に一定となるように制御するDC/DC(コンバータ)、入力電圧を監視して設定電圧以下となった時にアラームを出すVD(電圧検出器)を主力製品としている。

 小型化と低消費電力化に20年以上の実績を持ち、世界トップクラスの技術力を誇っている。超小型・薄型化と高放熱を両立する独自の超小型パッケージ技術「USP」などをベースとして、顧客の電子機器開発ニーズに対してソリューション提案できる「超小型電源ICに特化したアナログCMOSのプロフェッショナル集団」が特徴だ。

 生産面では一部製品の後工程だけをベトナム工場で対応し、大半の生産を外部に委託するファブレスメーカーであることも高収益に繋がっている。技術力や収益力の高さに加えて、財務面の健全性の高さも特徴だ。今期(15年3月期)第3四半期累計(4月~12月)末の自己資本比率は81.8%と高水準である。

 中期的な売上成長や一段の高収益化に向けて、注力領域をスマートフォン、デジタルカメラ、パソコン、デジタル家電などの民生用機器分野から、ヘルスケアやGPS関連などのウェアラブル機器分野、カーナビゲーション、モニタカメラ、ETC車載器、パワーウインドウなどの車載機器分野、ロボット、スマートメーター、監視カメラなどの産業機器分野に広げて新製品開発を強化している。

 14年4月には世界的なパワー半導体メーカーである米IXYS社と相互販売提携契約を締結した。米IXYS社の製品は大きな電力を扱う分野で強みを持っているため、電力制御機器や太陽光発電関連など当社の産業機器分野の品揃え拡充に活用する一方で、米IXYS社の販売網を活用して当社製品の拡販に繋げる方針だ。

 また2月26日には、当社製品の「XCL(コイルと電圧・電流制御ICの一体型micro DC/DCコンバータ)」が、メガネ型ウェアラブル端末に採用されたと発表している。今後、時計型や指輪型のウェアラブル端末への採用も増加するとしている。

 今期(15年3月期)の連結業績見通し(11月14日に売上高と営業利益を減額)は売上高が前期比5.4%増の99億円、営業利益が同0.4%増の14億20百万円、経常利益が同12.0%増の15億円、そして純利益が同18.9%減の11億円としている。下期の想定為替レートは1ドル=108円である。配当予想(5月13日公表)は記念配当20円を含む年間100円(第2四半期末50円、期末50円)で、前期比60円増配としている。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比5.0%増収、同6.3%営業減益、同23.5%経常増益、同23.4%最終減益だった。期前半に国内の家電・情報機器分野およびアジアのPC機器分野の売上が低迷した影響で営業減益、税金費用の増加で最終減益だったが、為替のドル高・円安進行に伴う為替差益計上が寄与して経常利益は増益だった。

 なお四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)22億87百万円、第2四半期(7月~9月)24億78百万円、第3四半期(10月~12月)26億18百万円、営業利益は第1四半期2億47百万円、第2四半期3億20百万円、第3四半期4億55百万円である。営業利益は期前半がやや低調だったが、車載機器向けや産業機器向けの売上構成比上昇も寄与して改善基調だ。

 通期見通しに対する第3四半期累計の進捗率は売上高が74.6%、営業利益が72.1%、経常利益が89.3%、純利益が80.1%である。車載機器向けや産業機器向けが好調に推移し、為替のドル高・円安進行も寄与して増額の可能性もあるだろう。

 中期経営計画では目標値として17年3月期売上高120億円強、営業利益20億円強を掲げている。民生用機器分野は価格競争が激化しているため、需要変動幅が比較的小さく利益率が比較的高い産業機器分野、車載機器分野、医療機器分野、ウェアラブル機器分野を中心に拡販を推進する方針だ。

 17年3月期の売上構成比の計画は、既存の民生用機器分野37.7%、産業機器分野33.7%、車載機器分野14.0%、その他(ウェアラブル機器分野など)14.6%としている。ウェアラブル機器分野は16年3月期から本格拡大する見通しだ。

 アナログ電源ICの市場規模は17年に向けて年平均6.6%の成長が予想され、寡占企業が少ないため技術優位性を武器として当社の市場シェア拡大余地が大きいと考えられる。中期的に収益拡大基調で一段の高収益化が期待されるだろう。

 なお2月13日に株式分割を発表し、15年3月31日を基準日(効力発生日15年4月1日)として1株を4株に分割する。

 株価の動き(4月1日付株式4分割の遡及修正後)を見ると、2月13日の株式4分割発表後も反発力が鈍く調整局面が続いている。水準を切り下げて3月30日には1466円まで調整する場面があった。ただし売られ過ぎ感も強めている。

 3月30日の終値1480円を指標面(4月1日付の株式4分割を考慮した換算後)で見ると、今期予想連結PER(会社予想連結EPS104円19銭で算出)は14~15倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は1.7%近辺、そして前期実績PBR(前期実績連結BPS858円28銭で算出)は1.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえて調整局面だが、日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が15%程度まで拡大して売られ過ぎ感を強めている。指標面に割高感はなく、ウェアラブル端末のテーマ性や中期成長力を評価して切り返しのタイミングだろう。

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