テクマトリックスは売られ過ぎ感、19年3月期2Q累計が計画超で通期増益・連続増配予想

 テクマトリックス<3762>(東1)は、セキュリティ関連製品販売やクラウドサービス提供などの情報サービス事業を展開し、クラウドサービスに注力している。19年3月期第2四半期累計は計画超の増収・大幅増益だった。通期も増収増益・連続増配予想である。株価は第2四半期累計業績にネガティブ反応となり、その後の地合い悪も影響して水準を切り下げたが、売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。

■クラウドサービスに注力

 セキュリティ関連製品販売やクラウドサービス提供などの情報サービス事業を展開し、クラウドサービスに注力している。

 18年3月期のセグメント別売上高構成比は、情報基盤事業(ネットワーク・セキュリティ関連ハードウェアの販売)が67%、アプリケーション・サービス事業(医療・CRM・EC・金融を重点分野とするクラウドサービス提供およびシステム受託開発)が33%、営業利益構成比は情報基盤事業が82%、アプリケーション・サービス事業が18%だった。収益面では情報サービス関連のため、年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性がある。

 クラウドサービスでは、コンタクトセンター向け顧客情報・対応履歴一元管理CRMシステム「Fastシリーズ」や、医療情報クラウドサービス「NOBORI」などを展開している。18年3月期末の「NOBORI」契約施設数は800施設、画像保管患者数は2154万6250人、保存検査件数は1億1564万1249件だった。

 連結子会社は、医療情報クラウドサービスのNOBORI、遠隔画像診断関連ITサービスの医知悟、ITシステム基盤コンサルティングのクロス・ヘッド、沖縄県内におけるIT人材教育やデータセンターサービスの沖縄クロス・ヘッド、システム開発のカサレアルの5社である。なお子会社NOBORIについては、18年4月に三井物産<8031>が出資して共同で事業展開している。

 18年10月には、AIを活用した医療画像診断支援技術を提供するエルピクセルに出資した。

■中期経営計画で21年3月期営業利益27億円目標

 中期経営計画「GO BEYOND 3.0」では、目標数値に21年3月期売上高280億円、営業利益27億円を掲げている。セグメント別には、情報基盤事業の売上高が185億円で営業利益が17億50百万円、アプリケーション・サービス事業の売上高が95億円で営業利益が9億50百万円としている。

 事業戦略としては、クラウド関連事業の戦略的・加速度的推進、セキュリティ&セイフティ(安心と安全)の推進、資本・業務提携や大学・研究機関との連携など事業運営体制の多様化、全領域におけるサービス化の加速、AI利用を含むデータの利活用、BtoC(消費者向けビジネス)への参入、海外市場での事業の加速、グループを横断した人財・技術の有効活用など事業運営基盤の強化、M&Aの活用を掲げている。

■19年3月期2Q累計大幅に増益で通期も増益・連続増配予想

 19年3月期連結業績予想は、売上高が18年3月期比4.2%増の245億円、営業利益が15.6%増の22億円、経常利益が5.6%増の21億70百万円、純利益が6.3%増の13億90百万円としている。配当予想は3円増配の年間23円(期末一括)で、予想配当性向は28.7%となる。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比9.9%増の121億17百万円、営業利益が69.7%増の9億44百万円、経常利益が27.4%増の8億88百万円、純利益が30.8%増の5億85百万円だった。計画超の増収・大幅増益だった。

 情報基盤事業は13.3%増収で49.6%増益だった。セキュリティ関連などが好調に推移した。アプリケーション・サービス事業は2.7%増収で4.5倍増益だった。医療情報クラウドサービス「NOBORI」の累積契約施設数が増加し、CRM分野、ソフトウェア品質保証分野が堅調に推移し、インターネットサービス分野の事業構造転換進捗による損益改善も寄与した。

 通期ベースでも、情報基盤事業、アプリケーション・サービス事業とも伸長して、増収増益予想である。売上高の計画は情報基盤事業が2.9%増の163億円、アプリケーション・サービス事業が6.9%増の82憶円としている。医療情報クラウドサービス「NOBORI」の契約施設数の目標は1000施設としている。

 第2四半期累計の進捗率は売上高49.5%、営業利益42.9%だが、年度末にあたる第4四半期の構成比が高い特性があり、第2四半期累計が計画超だったことも考慮すれば、通期ベースでも好業績が期待される。

■株主優待制度は毎年9月末の株主対象

 株主優待制度は毎年9月30日現在の500株以上保有株主を対象として実施している。

■株価は売られ過ぎ感

 18年7月発行の第1回行使価額修正条項付新株予約権(2万5000個=250万株)は、18年10月末時点の未行使個数が1万9352個=193万5200株となった。

 株価は第2四半期累計業績にネガティブ反応となり、その後の地合い悪も影響して水準を切り下げた。11月15日には1688円まで下押した。ただし25日移動平均線に対するマイナス乖離率が15%程度に拡大して売られ過ぎ感を強めている。反発を期待したい。

 11月16日の終値は1693円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS78円62銭で算出)は約22倍、今期予想配当利回り(会社予想の年間23円で算出)は約1.4%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS339円40銭で算出)は約5.0倍、時価総額は約377億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■更新前のスーパーコンピュータの約4倍の計算能力  富士通<6702>(東証プライム)は2月21日…
  2. ■両社の資源を有効活用しSDGsに貢献  伊藤忠商事<8001>(東証プライム)グループのファミリ…
  3. ■純正ミラーと一体化し、左後方の視界を広げる  カーメイト<7297>(東証スタンダード)は、純正…
2024年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■投資と貯蓄の狭間で・・・  岸田内閣の「資産所得倍増プラン」は、「貯蓄から投資へ」の流れを目指し…
  2. ■「ノルム(社会規範)」解凍の序章か?植田新総裁の金融政策正常化  日本銀行の黒田東彦前総裁が、手…
  3. ■「日経半導体株指数」スタート  3月25日から「日経半導体株指数」の集計・公表がスタートする。東…
  4. ■投資家注目の適正株価発見ツール  日銀の価格発見機能が不全になる可能性がある中、自己株式取得が新…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る