【どう見るこの相場】「シンプル・イズ・ベスト!」の「昭和流」にタイムスリップしてヒット商品関連株にストレートにアプローチ

どう見るこの相場

 相変わらずややこしく危なっかしい相場が続いている。証券マンが株屋さんと呼ばれた名残りがまだ漂っていた昭和の時代は、もっともっとシンプルであった。師走相場が近付くと、お歳暮セール関連の百貨店株や年末・正月休暇が書き入れ時となる映画株、冬物衣料のコート株、翌年の歌会始めの「御題」関連株、干支関連株などの定番銘柄を買っていればそこそこ「餅代稼ぎ」にもつながり、可と自慢できるほどではなくとも不可にはならず年を越せたものだ。

 それが昨今は、米中貿易戦争や米国の「ねじれ議会」、米国の長期金利の乱高下、中国景気の先行き懸念、英国のEU(欧州連合)離脱の不透明化、イタリアの修正予算案のEU提出期限切れなどなど右顧左眄させられるファクターが錯綜、複雑怪奇で頭が痛くなる。しかも、市場内部要因でも海外ヘッジファンドの先物売買、アルゴリズム取引などに上下に振り回されて、その超高速取引にはフットワークがとても追い付かず、さらにソフトバンクグループ<9984>(東1)の通信子会社の大型新規株式上場の大きな壁まで聳えている。

 それでなくてもせわしなくなる師走である。平成最後の1カ月ぐらいは、もう少しシンプルに落ち着いて相場に向き合いたくなるのが、個人投資家の心情だろうと推察する。そうした投資家は、平成を飛び越え昭和にタイムスリップして、ヘッジファンドにもファンダメンタルズ分析からも遠く離れた個別株に焦点を当てて「シンプル・イズ・ベスト!」にトライするのも一興となるはずだ。そこで当コラムでは、行く年来る年のヒット商品に注目した。とにかく分かりやすくシンプルなのである。投資家個々に身近な消費関連だからストレートに株価感応度が響いてくるはずだ。

 折から『日経トレンディ』12月号では、「2018年ヒット商品ベスト30&2019年ヒット予測商品ベスト30」の特集をしている。同特集は、2018年ランキングについては、2017年10月から2018年9月までに発売・発表された商品・サービスを対象にしているが、これを参照にしつつ、今年10月以降に適時情報開示で明らかになったヒット商品、発売商品を含めて2019年に向けた有望関連株をリサーチし「昭和流」の投資スタイルの参考としたい。

 もちろん前週15日にRIZAPグループ<2928>(札ア)とリミックスポイント<3825>(東2)が揃ってストップ安したことは忘れてはならない。RIZAPはダイエット・フィットネス、リミックスポイントは仮想通貨といずれもヒット商品を抱え一時、人気独占状態となったが、両社とも業績が急悪化して売り物殺到となったもので、「人気は熱し易く、また冷め易し」とする相場格言を肝に銘じつつ慎重の上にも慎重を期すのが賢明となろう。

■女性専用「カーブス」に次ぎ男性専用店舗をテスト出店、「ワークマンプラス」は今期中に10店舗出店を計画

 第1の関連有望株として取り上げたいのは、RIZAPが連続ストップ安したのを反面教師に、敢えてフィットネス関連株である。コシダカホールディングス<2157>(東1)は、今年11月13日に男性専用の30分フィットネスジム「メンズ・カーブス」をテスト出店した。女性専用の「カーブス」は、今3月期中間期末で1928店舗、会員数85万6000名まで拡大し、同中間期の売上高構成比は約42%に高まり、営業利益の構成比は68%と本業のカラオケ事業を上回っているが、男性専用カーブスがヒットするようなら一段の業績高成長につながるはずだ。カラオケ事業も時節柄、忘年会・新年会のシーズン需要が期待できる。

 アールビバン<7523>(JQS)は、今年11月9日に今2019年3月期業績の上方修正を発表したが、この要因の一つにホットヨガスタジオ「アミーダ」の出店費用が予算内に収まったことを上げている。「アミーダ」は、今期第2四半期末の店舗数が26店舗でセグメント利益がようやく黒字転換したところだが、売り上げは前年同期より94%増と大きく伸びており、本業の版画販売の順調推移やデリバティブ評価益による業績大幅増益から高値評価が続きそうだ。

 『日経トレンディ』を参考にすると、2019年ヒット予測ランキングの第1位にランクされる「ワークマンプラス」と同29位の「ムーミンの森」が要注目となる。「ワークマンプラス」は、ワーキングウエア販売のチェーン店最大手のワークマン<7564>(JQS)が、低価格で高機能なカジュアルウエアに特化して新規開拓した新業態店で、今年9月5日に1号店、11月8日に2号店をオープン、11月22日には3号店出店を予定し、今2019年3月期末には10店舗の開業を計画している。1号店開店時にはレジに長蛇の行列ができるほど盛況でマスコミにも大きく報道されており、ワーキングウエアとカジュアルウエアの両輪経営が相乗効果を上げて業績を押し上げる見込みだ。

 「ムーミンの森」は、フィンテック グローバル<8789>(東マ)の子会社ムーミン物語が、世界的な人気キャラクター「ムーミン」の世界を実現する「ムーミンバレーパーク」として開発しており、来年2019年3月16日を開業予定日に準備作業を進めている。国内のムーミン市場は、女性層を中心に年々高成長、2015年現在で370億円に達しているだけに、開業とともに高人気化が予想されている。同テーマパークの譲渡先・リース先となった興銀リース<8425>(東1)、内外装工事を請け負った乃村工藝社<9716>(東1)ともども、株価注目度を高めよう。

■「ゾフルーザ」は米国で製造販売承認を取得し「サバ缶ダイエット」ブームは「イワシ缶」に波及

 以上、小型4銘柄に加えて主力株でも、ヒット商品関連株が浮上しそうだ。まず注目は塩野義製薬<4507>(東1)で、同社は今年10月25日に米国食品医薬品局(FDA)からインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」の製造販売承認を取得したことを発表した。すでに国内では今年2月23日に厚生労働省の製造販売承認を取得し、3月14日に発売しており、まったく新しい作用機序で1回の経口投与で抗ウイルス効果を発揮し、鳥インフルエンザにも耐性があり、既存薬に対して比較優位性を示しているだけに、シーズン・ストック人気も上乗せとなって株価を牽引することになりそうだ。

 『日経トレンディ』関連では、2018年ヒット商品ランキングの第26位にランクされた「サバ缶」関連株が外せない。「サバ缶」は健康志向の高まりで「サバ缶ダイエット」がブームとなって関連レシピがネット上に溢れ、市場規模は228億円に高成長し、トップの「ツナ缶」を上回った。極洋<1301>(東1)とマルハニチロ<1333>(東1)とがトップシェアを争っており、「サバ缶」ブームは、サバが不漁だったことも手伝い「イワシ缶」まで波及しているだけにヒット継続も期待できそうだ。

 同じく同特集の2018年ヒット商品ランキングの24位にランクされたソースネクスト<4344>(東1)のAI音声通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」も、今年9月7日に2代目モデル「POCKETALK W」を発売し、明石家さんまを起用したテレビCMを大々的に放映、音声翻訳機のシェアは97.5%としており、世界的なスポーツイベントのラグビー・ワールドカップが、来年2019年、東京オリンピック・パラリンピックが2020年に開催されるだけになお高成長が見込まれる。同社から子会社が、「POCKETALK W」の製造を受託したネオス<3627>(東1)、独自のウエアラブル音声翻訳端末「ili(イリー)」を展開しているフュートレック<2468>(東2)にも再び人気が波及しそうだ。(本紙編集長・浅妻昭治)

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