マルマエは11月27日付で東証1部に市場変更、19年8月期減益予想だが受注高水準

 マルマエ<6264>(東2)は半導体・FPD製造装置に使用される真空部品などの精密切削加工事業を展開している。11月27日付で東証1部に市場変更する。19年8月期は減価償却費増加などで減益予想だが、受注が高水準に推移して上振れ余地がありそうだ。株価は年初来安値圏だが、調整一巡して反発を期待したい。

■真空部品や電極などの精密切削加工事業

 半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密切削加工事業を展開している。

 半導体分野の需要拡大に対応するため、パイオニアプラズマディスプレイ鹿児島工場の一部を取得し、出水事業所として18年4月稼働した。電子ビーム溶接関連の生産も開始した。作業補助・介護ロボットの開発(鹿児島大学と共同研究)では、18年7月第二種医療機器製造販売業の許可を取得し、医療機器製造業の登録を行った。

 中期事業計画(19年8月期~21年8月期)では目標として、売上高80億円、営業利益24億円(営業利益率30%)、資産ベースROIC20%(18年8月期実績16.4%)、負債ベースROIC15%(18年8月期実績11.8%)、配当性向30%以上(年間最低配当額10円、ただし最終損益が赤字となる場合は見直しを行う)を掲げている。

 また21年8月期までに医療機器部門の事業化、自社FA技術構築による生産性革新も推進する。設備投資額は市場動向を見ながら判断するため、出水事業所が稼働した18年8月期の24.5億円をピークとして減少する見込みだ。

■19年8月期減益予想だが受注高水準

 19年8月期の非連結業績予想は売上高が18年8月期比6.8%増の49億円、営業利益が19.0%減の10億円、経常利益が19.1%減の9億80百万円、純利益が20.3%減の6億90百万円としている。配当予想は18年8月期と同額の年間20円(第2四半期末10円、期末10円)で、予想配当性向は37.8%となる。

 減価償却費や労務費の増加などで減益予想としているが、受注は高水準の見込みである。上振れを期待したい。

 なお月次の受注残高(速報値)を見ると、18年10月は半導体分野が5億71百万円(前月比5.8%減、前年同月比3.5%増)、FPD分野が1億58百万円(前月比7.9%増、前年同月比44.0%減)、その他分野が3百万円、合計が7億33百万円(前月比5.5%減、前年同月比12.7%減)だった。

 半導体分野は、一部デバイスメーカーのDRAM向け投資が先送りされているが、別メーカーの3D-NAND向け投資が順調に推移し、ロジック向け投資も再拡大し始めている。出水事業所稼働に伴って生産能力が向上し、出荷が増加するため、受注残高が一時的に低下する形になるが、対応品種拡大で受注増加を推進する。FPD分野は中小型パネル向けが停滞しているが、中国における大型液晶テレビ向け投資が堅調なため、大型パネル向け受注品種への転換を推進する。その他分野では太陽電池関連の新規受注増加を推進する。

■株主優待制度は毎年8月末時点で6ヶ月以上保有株主対象

 株主優待制度は、毎年8月末日現在、6ヶ月以上継続して1単元(100株)以上(17年3月1日付株式2分割後)保有株主を対象として、クオカード1000円分を贈呈する。

■株価は調整一巡して出直り期待

 株価(18年1月1日付で東証マザーズから東証2部に市場変更)は10月30日に689円まで下押して年初来安値圏だ。ただし11月21日には東証1部への市場変更を好感して大幅反発している。調整一巡して反発を期待したい。

 11月21日の終値は786円、今期予想PER(会社予想EPS52円86銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想年間20円で算出)は約2.5%、前期実績PBR(前期実績BPS393円21銭で算出)は約2.0倍、時価総額は約103億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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