【アナリスト水田雅展の銘柄分析】ソーバルは14年9月高値に接近、16年2月期増収増益期待

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 エンジニアリング事業のソーバル<2186>(JQS)の株価は、1日に979円まで上伸して14年9月高値1049円に接近してきた。4月10日に15年2月期の決算発表を予定している。指標面に割高感はなく、16年2月期の増収増益に対する期待も高まる。上値を試す展開だろう。

 エンジニアリング事業(組み込みソフトの開発、ウェブ/スマホアプリの開発、ハードウェアの設計・開発など)、その他事業(RFID製品の開発・製造など)を展開している。

 前々期(14年2月期)の主要顧客別売上構成比はキヤノン<7751>グループが66.0%、ソニー<6758>グループが9.5%、富士通<6702>グループが8.6%、NTT<9432>グループが3.9%、その他が12.0%だった。優良な大口顧客を抱えていることが特徴だ。
 
 12年9月にオムロン<6645>向けが主力のモバイルコンピューティングテクノロジーズ(現MCTEC)を子会社化するなど、M&Aも活用して顧客や分野の多様化、新規事業の開拓、そして人材の確保を進めている。

 3月31日にはアンドールシステムサポート社(東京都)の株式を取得して子会社化(株式譲渡は5月1日予定)すると発表した。同社は車載システム開発、生産ラインや物流搬送設備などの制御システム開発に強みを持ち、子会社化することで組み込み用ソフトウェア・ハードウェアの受託開発分野の業容拡大に繋がるとしている。また同社の大阪支社を当社グループの関西圏進出の拠点と位置付けて積極的な事業展開を推進する。

 なお3月11日には、東洋経済の「有給休暇取得率の高い会社トップ300社」最新版(15年版)において、サービス業で13年版、14年版に続き3年連続2位となったと発表している。エンジニアのライフワークバランスの充実は技術力やサービスの向上に欠かせないとしている。

 前期(15年2月期)の連結業績見通し(14年4月10日公表)は、売上高が前々期比1.1%増の67億円、営業利益が同4.2%増の5億40百万円、経常利益が同5.9%増の5億47百万円、純利益が同5.9%増の3億20百万円、配当予想が配当性向35%を目標として同5円増配の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。

 第3四半期累計(3月~11月)は前年同期比6.2%増収、同3.6%営業増益、同4.1%経常増益、同3.9%最終増益だった。エンジニアリング事業で主要顧客の研究開発関連プロジェクトの受注が高水準に推移している。そして通期見通しに対する進捗率は売上高78.0%、営業利益82.2%、経常利益82.1%、純利益80.3%と高水準だった。

 四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(3月~5月)17億74百万円、第2四半期(6月~8月)16億86百万円、第3四半期(9月~11月)17億65百万円で、営業利益は第1四半期2億01百万円、第2四半期70百万円、第3四半期1億73百万円だった。第2四半期の営業利益は本社移転費用計上という一時的要因が影響したが、これを除けば概ね順調に推移している。

 今期(16年2月期)もエンジニアリング事業の受注が高水準に推移して増収増益基調だろう。新規顧客開拓による業容拡大、アンドールシステムサポート社の新規連結、エンジニアの技術力向上、受託案件の作業効率化、各種ノウハウ・情報共有の徹底などの効果も寄与する。

 製造業では技術者不足が深刻化しているため、新製品開発関連などで優秀な技術者に対するニーズが一段と高まっている。人材確保が課題だが、プロジェクトマネージャーの育成、エンジニアの技術力向上、そしてM&Aなども寄与して中期的に収益拡大基調だろう。

 株価の動きを見ると、2月期末の配当権利落ちとなった2月25日の直近安値903円から切り返しの動きを強めている。4月1日は979円まで上伸して14年9月高値1049円に接近してきた。自律調整が一巡して16年2月期の増収増益を期待する動きだろう。

 4月1日の終値971円を指標面で見ると、前期推定連結PER(会社予想の連結EPS73円57銭で算出)は13~14倍近辺、前期推定配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は2.7%近辺、前々期実績PBR(前々期実績の連結BPS559円59銭で算出)は1.7倍近辺である。

 週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって1月と2月の戻り高値を突破した。強基調の形だ。指標面に割高感はなく、15年2月期決算発表が接近して16年2月期の増収増益に対する期待も高まる。中期成長力を評価して14年9月高値1049円を試す展開だろう。

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