【どう見るこの株】住友電設は小幅続落も2Q最高業績を見直し今3月期通期業績の上ぶれ期待を高め売られ過ぎ訂正買いが交錯

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■年初来安値を前に下値抵抗力の強さを示す

 住友電設<1949>(東1)は、前日26日に3円安の1676円と小幅続落して引けた。この日の日経平均の日中値幅が581円超と値動きが荒く、一時、心理フシ目の1万9000円を下回ったことから同社株にも目先の利益を確定する売り物が続いた。ただ、前場寄り付き段階では1705円と反発し、この日の安値1648円は長大下ヒゲでつけており、10月26日に突っ込んだ年初来安値1590円を前に下値抵抗力の強さを示した。

 今年10月31日に開示した今2019年第2四半期(2018年4月~9月期、2Q)累計決算が、期初予想を上ぶれ連続増益で着地し2Q累計業績として過去最高を更新したことから、今3月期通期業績の上ぶれ期待を高めて下値に売られ過ぎ訂正買いが交錯した。来年6月28日から地盤の大阪でG20サミット(主要20カ国・地域首脳会議)が開催され、今年11月24日には2025年万国博覧会が、大阪市此花区の夢洲を会場に開催されることが決定したことも、関連株人気として底流している。

■受注高続伸、豊富な手持工事高を背景に2Q業績は過去最高が続き通期予想業績に対して高進捗

 同社の今期2Q累計業績は、期初の減益転換予想に対して利益が8億円~12億円超上ぶれ、売り上げ724億400万円(前期比6.0%増)、営業利益54億4300万円(同4.3%増)、経常利益57億2300万円(同4.6%増)、純利益37億3300万円(同3.1%増)と増益をキープして過去最高を更新、市場コンセンサスも上回った。受注高が、一般電気工事や情報通信工事の寄与で747億5500万円(同0.4%増)と続伸し、売り上げも、大型手持案件の工事が順調に進捗、一般電気工事が441億8000万円(同2.7%増)、情報通信工事が92億4600万円(同11.1%増)と伸びたことなどが寄与した。

 今3月期通期業績は、期初予想に変更はなく、売り上げ1470億円(前期比0.1%増)、営業利益88億円(同10.8%減)、経常利益93億円(同10.6%減)、純利益60億円(同12.3%減)と見込み、売り上げは続伸するものの利益は前期の過去最高から減益転換する。国内の建設需要は首都圏再開発や東京オリンピック関連工事、情報通信、環境分野の投資拡大で堅調に推移するものの、施工体制の確保に課題があるとして慎重に予想しているものだ。

 ただ同社はもともと業績を保守的に予想する傾向があって、現に前期業績も、期初予想を上ぶれ増益率を伸ばして着地しており、今期2Q累計利益も、今期通期予想利益に対して61~62%の進捗率と目安の50%を上回り、今期2Q期末の手持工事高も、940億1900万円(前期2Q期末比7.1%増)と豊富なことから前期と同様の上ぶれ期待を高めている。東洋経済会社四季報最新号では今期通期純益を68億円、市場コンセンサスでは74億円と観測している。

 また同社の配当は、前期に年間50円(前々期実績42円)と7期連続の増配となり、今期配当は横並びの50円を予定しているが、業績が上ぶれ着地すれば、前期と同様に連続増配を伸ばす可能性も高まってくる。

■PER9倍台、PBR0.9倍と割り負け25日線から10%超の下方かい離の売られ過ぎ訂正に再発進

 株価は、中間配当の権利落ちと米中貿易戦争激化による世界同時株安が重なって年初来安値1590円に突っ込み、売られ過ぎ訂正で底上げし今期2Q好決算で2000円大台を奪回、さらに大阪万博開催決定が加わり2150円の戻り高値まで35%高、足元では、日経平均株価の2万円台割れにツレ安して再び下値を探ったが、年初来安値を前に下げ渋っている。

 バリュー的にもPERは9倍台、PBRは0.9倍、配当利回りは2.98%と割り負け、テクニカル的にも25日移動平均線から10%超の下方かい離と売られ過ぎを示唆しており、1株純資産(1843円)水準の25日線を上抜き、10月の戻り高値2150円奪回から年初来高値2518円を目指そう。

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