米国際貿易委員会(USITC)の衝撃、日本への影響も顕在化

日インタビュ新聞ロゴ

★世界の株式市場にマイナス

コラム(株式投資情報ブログ) 米国際貿易委員会(USITC)は18年11月に「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の経済影響に関する公聴会を開催。鉄鋼協会、鉄鋼製造業者協会はUSMCAへの強い支持を表明。鉄鋼協会のデンプシー氏は、「USMCAは米国の鉄鋼製造業者にとって有益な協定」と述べ、特に自動車に用いられる鉄鋼の70%以上を北米産とする原産地規則は「米国産鉄鋼の需要を増加させる」と評価した。

 鉄鋼製造業協会(電炉メーカー団体)のベル代表は「NAFTAでは企業が原産地規則の抜け穴を利用し、海外から部品をカナダやメキシコに送り、両国で組み立てることで自動車を無税で米国に輸出できる」と現協定の問題点を指摘し、「USMCAの新たな原産地規則はこれらの抜け穴を封じ、米国の鉄鋼業界の競争力を強化する」と述べた。

 19年は、USMCAの具体的な適用開始で日本の鉄鋼、自動車・部品メーカーへの影響も顕在化する。中間選挙で上院多数派を維持した19年のトランプ政権は「米国第一」「保護主義」のスローガンを降ろさず、トランプ米大統領は同盟国に協調的なマティス国防長官を実質12月に解任され、トランプ政権発足時の主要閣僚はすべて去り、トランプ氏に忠誠を誓う閣僚で固めた。

 イラン、ロシア、中国への経済制裁同様に容赦なく日本、ドイツ、メキシコ、カナダなど同盟国との貿易赤字解消に向けて全力を傾け、20年の大統領再選への橋頭保構築を目指し、具体的な成果獲得に動くだろう。下院多数派の民主党など眼中にあるまい。

★日本では国際優良株や景気敏感株より内需関連株が注目

 19年度暫定予算案でメキシコ国境の壁建設費用で共和・民主が対立、すでに昨年12月22日から一部閉鎖されている。19年1月3日からの議会でも紛糾すれば政府機関閉鎖は長期化、職員は自宅待機、無給と米国ばかりか世界の株式市場にマイナスである。日本国内の株式市場では、国際優良株や景気敏感株より内需関連株が注目となる。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■離職率低下と顧客満足向上を実証、省人化潮流に逆行する人材重視戦略  「丸亀製麺」主力のトリドール…
  2. ■ビーム整形と出力平準化技術を融合し大気揺らぎを克服  NTT<9432>(東証プライム)と三菱重…
  3. ■航続距離650キロを実現、日野が新型FCV大型トラック投入  日野自動車<7205>(東証プライ…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  2. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  3. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  4. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…
  5. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  6. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る