【2019年株式市場大予測】年末高に向かう可能性あり=シニアアナリスト・水田雅展

シニアアナリスト:水田雅展

2019年は前半が調整色でも年末高に向かう可能性

 2019年の株式相場もトランプ米大統領の言動に敏感な1年となりそうだ。米中貿易戦争・IT覇権争いの動向が最大の焦点となり、前半は世界経済減速を警戒して調整色を強めそうだ。ただし米大統領選の前年は米国株が上昇するというアノマリーもあり、政策期待で年末高に向かう可能性があるだろう。

米中の貿易戦争・IT覇権争いの動向が最大の焦点

2019年の最大の焦点は米中の貿易戦争・IT覇権争いの動向だろう。米中関係の緊張が高まれば、世界経済への悪影響が警戒されて、株式相場は世界的にリスクオフの動きで調整色を強めることになる。

米中が互いに関税を引き上げる貿易戦争は、2018年12月1日の米中首脳会談で、猶予措置として「90日間の一時休戦」に入り、2019年3月1日までの期限内に交渉が進展するかが当面の注目点となっている。

そして2019年1月前半には次官級会合が実施される見込みだ。閣僚級ではなく次官級のため大きな進展は望めないとの見方もあるが、次官級会合を経て米中の緊張緩和の方向に向かえば株式相場にとって好材料となる。

ただし、中国が2019年1月から米国製自動車への報復関税を3ヶ月停止すると表明し、また米国産大豆の輸入を再開するなど、一定の譲歩の姿勢をアピールしているとはいえ、新冷戦とも呼ばれるIT覇権争いが背景にあり、中国も国家戦略に掲げた「中国製造2025」に向けて簡単には譲歩しないと考えられる。したがって基本的には容易に解決できる問題ではない。

米国を中心に中国の通信機器大手ファーウェイの製品を排除する動きも広がっており、米中間の緊張の高まりは株式相場にとって最大の波乱要因となる。(日本インタビュ新聞社・シニアアナリスト:水田雅展)

米中貿易戦争以外にも波乱要因

米中の貿易戦争・IT覇権争い以外にも、政治の不安定化や金融政策の不透明感など、世界経済に悪影響を及ぼしかねない懸念材料や波乱要因に事欠かない。

米国では2018年の年末商戦が好調に推移して需要鈍化懸念が一旦後退したが、2019年は2018年の法人税減税の効果が一巡し、個人消費や企業業績への悪影響が懸念される。

またFRBの金融政策の不透明感も懸念材料となる。2019年はFRBの利上げ一時休止や打ち止め観測もあるが、景気減速を反映したものと解釈される可能性がある。トランプ政権の主要高官の解任・辞任が相次いでいるという人事問題も懸念材料だ。

欧州では、英国のブレグジット(EU離脱)協定が2019年3月末までに英国下院で承認されなければ、合意なき離脱の悪影響が警戒される。またドイツのメルケル首相が2021年の任期満了をもって首相を退くと表明しており、求心力の低下や政治の不安定化が警戒される。さらにフランスではマクロン政権の支持率が低下し、反マクロン機運が高まっている。

こうした欧州主要国の政治の不安定化は経済に悪影響を及ぼしかねず、状況次第ではEU解体まで警戒される可能性もあるだろう。

さらに米国によるイラン制裁、ロシアとのINF(中距離核戦力)全廃条約からの離脱、シリアからの米軍撤退などで、地政学リスクの高まりが警戒される可能性があるだろう。

日本では参院選と消費税率引き上げが注目イベント

日本では2019年7月(見込み)の参院選と、2019年10月の消費税率引き上げが注目イベントとなる。

消費税率引き上げについては、経済への悪影響を緩和するため、実質減税とも言える期間限定5%ポイント還元などの政策が実施される見込みであり、景気の一定の下支え効果が期待される。

参院選では前回圧勝の反動で自民党が議席数を減らす可能性も指摘されているが、安倍首相の悲願である憲法改正発議に向けて、与党(あるいは憲法改正発議賛成派)で3分の2の議席数を確保することが必須となる。このため様々な政策が発動される可能性が高いだろう。米中貿易戦争による日本経済への悪影響が警戒される一方で、消費税率引き上げ対策とともに政策期待が高まることになる。

ただし3分の2の議席数を維持できなかった場合は、安倍首相の求心力が低下し、安倍首相のレームダック化やポスト安倍を巡る動きが早まり、政治の不安定化に繋がる可能性もあるだろう。

また現実味が薄いものの、米国FRBや欧州ECBの金融引き締めの動きから取り残された日銀が、異次元金融緩和策からの出口戦略を検討することになれば、日本株を需給面で支えてきた日銀のETF買い終了・売却に対する警戒感を強めることになる。

米大統領選の前年は米国株が上昇するアノマリー

このように2019年の株式相場は世界経済減速に対する警戒感を強めそうだが、一方で米大統領選の前年は米国株が上昇するというアノマリーがある。選挙対策として政策期待が高まるためだ。

1950年以降で米大統領選の前年となった17回の年間騰落の勝敗を見ると、NYダウ平均株価は16勝1敗、S&P500指数は15勝2敗という圧倒的な勝率を残している。この数字は無視できない。

このため2019年は、米中貿易戦争や世界景気減速に対する警戒感で前半に調整色を強めても、2020年の米大統領選に向けて政策期待が高まり、年末高に向かう可能性があるだろう。

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