【編集長の視点】PCNETは続落も2Q大幅続伸業績を手掛かりに値ごろ株買いが下値に継続

パシフィックネット<PCNET、3021>(東1)は、前日29日に13円安の724円と続落して引けた。同社株は、昨年12月25日に突っ込んだ昨年来安値530円から約56%高と大きく底上げをしており、目先の利益を確定する売り物が続いた。ただ25日移動平均線を下値抵抗線として意識して下げ渋っており、今年1月15日に発表された今2019年5月期第2四半期(2018年6月~11月期、2Q)累計業績で、期初予想が上方修正され大幅に増益率を伸ばしたことを手掛かりに値ごろ株買いも交錯した。今年5月1日の新元号施行によりパソコンシステムの関連改修需要が期待されることも、側面支援材料視されている。

■LCM事業へのビジネスモデル転換でストック収益が業績を押し上げ

 今期2Q累計業績は、売り上げが期初予想より若干下ぶれたが、利益は上ぶれ、売り上げ19億5300万円(前年同期比10.7%減)、営業利益1億1700万円(同82.4%増)、経常利益1億1600万円(同83.7%増)、純利益6300万円(同66.3%増)と大幅続伸して着地した。同社は、使用済みのIT機器の引取回収・リユース販売事業(フロー収益)に依拠していた収益構造をIT機器の新規導入から運用管理、排出までのライフサイクルをワンストップで支援するLCM(ライフサイクルマネジメント)サービス事業(ストック収益)にバージョンアップするビジネスモデルの転換を中期経営計画「SHIFT2021」に基づき推進しており、LMS事業の2Q累計売り上げが、前年同期より8.7%、セグメント利益が、同64.8%増と伸び、昨年2月末に株式を取得し完全子会社化したケンネットの観光業界向けのイヤホンガイドが、インバウンド需要を背景に販売・レンタル数量とも拡大したことなどが寄与した。

 LCM事業の好調な推移は、Windows7のサポートが、2020年1月に終了予定で、この入れ替えが活発化しているためだが、なおWindows10への入れ替えは遅れ気味で、さらに今年4月の「働き方改革」関連法案の施行なども加わって企業のIT投資が拡大することが予想されており、中期経営計画では最終年度の2021年5月期には売り上げ55億円、経常利益5億円、純利益3億3000万円の達成を目標にしている。

 同計画初年度の今2019年5月期業績は、売り上げ41億円(前期比7.5%減)、営業利益3億1000万円(同30.3%増)、経常利益3億円(同26.0%増)、純利益2億円(同26.5%増)と見込んでおり、新ビジネスモデル効果で高成長が続くことになる。なお今期配当も、年間21円(前期実績20円)と連続増配を予定している。

■25日線水準でエネルギーを蓄積し新元号関連人気もオンして昨年10月高値を目指す

 株価は、昨年10月にLCM事業強化のためにマイクロソフト社向けのテクニカルサービスで日本トップクラスの実績を持つテクノアライアンス社(東京都千代田区)の株式を取得・完全子会社化したことで昨年来高値に迫る1293円まで買い進まれたが、昨年末には日経平均株価が一時、1万9000円台を割る急落となったことにツレ安し昨年来安値530円へ突っ込んだ。同安値からは今期2Q累計業績の上方修正と、新元号の公表が、改元の1カ月前の今年4月1日に決まり、ITシステムの改修需要期待が高まったことが相乗して825円まで5割高し、足元ではこの急騰幅の3分の1押しの25日移動平均線水準で下値を探りつつ、エネルギーを蓄積している。値ごろ妙味のあるバリュー株として再騰は有力で825円高値抜けから昨年10月高値1273円奪回を目指そう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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