【小倉正男の経済コラム】中国経済の変調とマーケット

小倉正男の経済コラム

■中国からの半導体需要に変調

 昨2018年は、年初から一貫して、米中貿易摩擦の影響で中国経済の成長が鈍化するといわれ続けてきた。

 ところが、日本企業の半導体など電子部品、半導体製造装置、あるいは液晶製造装置などに対する中国からの需要は旺盛そのものだった。すくなくとも18年秋までは変調らしいものはなかった。

 「米中貿易摩擦と言われているが、いまのところ需要は強くて悪い兆候は何も出ていない」
 菱電商事などエレクトロニクス商社筋は、18年秋にはそう話していたものだ。

 ところが、2019年の最新時点では、「半導体など電子部品、半導体製造装置などにも需要にやや鈍化の傾向が出てきている。18年秋以降のことだが、変調というのか、これまでにない変化が出ている」としている。

 「ただ、米中貿易摩擦は、通商協議で一転解決する可能性もある。先行きは何ともわからない」
 米中貿易摩擦で中国が経済成長を鈍化させるのか、あるいは問題解決で一転して成長路線に復するのか、不透明感を拭えない。

■化粧品にも従来にない陰りの兆し

 化粧品なども中国向けは、絶好調が続いてきている。ただ、これも18年秋以降は、これまでのような急成長にはややストップがかかっているという見方が出てきている。

 中国向け越境Eコマースに化粧品を卸しているある準大手の化粧品企業は、こう話している。
 「17年は凄まじい勢いで伸びた。それまでは中国向けEコマースなどで化粧品を販売するなんて思いもよらないことだった。18年も大きく伸びてきたが、後半になって少し軟化の気配が出てきた」

 だが、化粧品の中国向け販売については、期待は依然として大きい。
 「中国は、中間所得層のボリュームが、日本の4倍もある。急成長の時期は終わったのかもしれないが、成長はまだまだ続くとみられる」

 日本の化粧品は、中国ではあこがれに近い評価を受けている。需要が簡単に腰折れすることはないが、少し陰りの兆しが出てきたことは注目される。

■マーケットは摩擦解決に楽観的?

 皮肉というか不思議ともいえるのは、株式マーケットの動きである。米中貿易摩擦の影響の兆しが出てきているのに製造業企業の見直しが行われている。

 これは米中貿易摩擦が、通商協議などで事態の解決に向かっているということなのか。あるいはマーケットはそれを読んでいるのか。なんともはっきりしないのだが、それがマーケットの判定&解釈だといわれることになりそうだ。

 18年前半など米中貿易摩擦の影響はまったくなく、実体経済は絶好調だった。
 だが、一方のマーケットといえば、その頃は米中貿易摩擦の悪影響が先行きに出ると悲観的な見方に覆われていたものだった。

 いまはまったくその逆で実体経済に悪影響が出ているが、マーケットはそれほど悲観的ではない。

 もっともマーケットの中身はといえば、ハゲタカめいた外資系機関投資家だったりするわけだから神聖視するわけにもいかない。判定&解釈は、そのマーケットが握っているというのだから、ややこしいというしかない。

(小倉正男=「M&A資本主義」「トヨタとイトーヨーカ堂」(東洋経済新報社刊)、「日本の時短革命」「倒れない経営~クライシスマネジメントとは何か」(PHP研究所刊)など著書多数。東洋経済新報社で企業情報部長、金融証券部長、名古屋支社長などを経て現職。2012年から当「経済コラム」を担当。東経オンライン、国際商業オンライン、サンケイIRONNAなどにコンテンツ執筆)

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