【アナリスト水田雅展の銘柄分析】キーウェアソリューションズは16年3月期の収益改善期待で続伸

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 システム受託開発やシステムインテグレーションのキーウェアソリューションズ<3799>(東2)の株価は、2月の年初来安値369円から3月23日の650円まで上伸した。下値を切り上げて強基調に転換した形だ。マイナンバー制度関連のシステム開発需要や16年3月期の収益改善期待で続伸展開だろう。なお5月12日に15年3月期の決算発表を予定している。

 システム受託開発事業(公共システム開発、ネットワークシステム開発)、経営とITの総合コンサルティング事業(システムインテグレーション、ITサービス、サポートサービス)、その他事業(機器販売など)を展開している。

 主要顧客は、筆頭株主であるNEC<6701>グループ向けが約4割を占め、NTT<9432>グループ、JR東日本<9020>グループ、三菱商事<8058>グループ、日本ヒューレット・パッカードなどが続いている。NECと連携して医療分野や流通・サービス業分野へ事業領域を広げ、ERP(統合業務パッケージ)関連やセキュリティ関連も強化している。

 15年1月には経済産業省「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業」の「職場における健康投資に関する効果指標および投資環境整備(健康データのオープン化・小規模事業所)」に、職域健康投資コンソーシアムとして参画した。また総務省「新たなワークスタイルの実現に資するテレワークモデルの実証」プロジェクトにモデル企業として選ばれ、15年1月から実証を開始している。

 3月4日には、自治体向けに農作物の品質・生産性向上や栽培技能の継承を支援する農業ICTサービス「OGAL(オーガル)」シリーズの提供を開始すると発表した。圃場に設置した各種センサーから収集した環境情報を遠隔からリアルタイムでモニタリングできるクラウド型サービスで、14年6月に宮城県亘理町いちごファームが導入して研究利用が開始されている。

 そして3月27日には慶応義塾大学SFC研究所が農業ICTの普及と農業情報標準化に向けて設立したアグリプラットフォームコンソーシアムに参画したと発表している。政府が取り組む農業分野IT施策方針「農業情報創成・流通促進戦略」などを踏まえて、産学連携により国の農業IT施策の実地検証を行うとしている。

 前期(15年3月期)の連結業績見通し(1月30日に減額修正)は売上高が前々期比6.0%減の161億70百万円、営業利益が非開示、経常利益が0億円(前期は3億67百万円の黒字)、純利益が1億30百万円の赤字(同2億40百万円の黒字)で、配当予想(1月30日に減額修正)は無配(前期は期末一括の年間10円)としている。

 複数の不採算案件の影響、見込んでいた大型案件の失注・延期・凍結による受注の減少、競争激化による全体としての採算性低下などが影響して赤字転落の見通しだ。このため14年11月から実施している常勤役員、執行役員および常勤監査役の役員報酬の一部返上を15年3月まで継続した。

 第3四半期累計(4月~12月)は前年同期比6.1%減収で、各利益とも赤字だった。ただし四半期別の推移を見ると、売上高は第1四半期(4月~6月)33億34百万円、第2四半期(7月~9月)39億19百万円、第3四半期(10月~12月)40億67百万円、営業利益は第1四半期3億24百万円の赤字、第2四半期1億95百万円の赤字、第3四半期70百万円の黒字である。営業損益は第1四半期をボトムとして改善基調だ。

 今期(16年3月期)は不採算案件の一巡、15年から本格化するマイナンバー制度(社会保障・税番号制度)導入関連のシステム開発需要、販管費の抑制などの効果で収益改善が期待される。さらに国・地方を通じた行政情報システムの改革、20年東京夏季五輪に向けたITインフラ投資などで受注拡大が期待される。中期的にも収益は改善基調だろう。

 株価の動きを見ると、2月3日の年初来安値369円から切り返して、3月23日には650円まで上伸する場面があった。その後は戻り一服の形だが、下値を着実に切り上げている。戻り歩調に変化はないようだ。4月3日の終値は613円だった。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となった。また週足チャートで見ると52週移動平均線を突破した。さらに13週移動平均線が26週移動平均線を上抜くゴールデンクロスが接近している。強基調に転換した形であり、マイナンバー制度関連のシステム開発需要や16年3月期の収益改善期待で続伸展開だろう。

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