CRI・ミドルウェアは昨年来高値更新、19年9月期利益横ばい予想だが1Q大幅増益で通期上振れ余地

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 CRI・ミドルウェア<3698>(東マ)は、音声と映像のミドルウェア「CRIWARE」を開発・許諾販売している。19年9月期は先行投資負担で利益横ばい予想だが、第1四半期は大幅増益だった。通期予想に上振れ余地がありそうだ。さらにWeb動画や監視カメラ分野などへの事業展開を加速して中期成長期待が高まる。株価は急伸して昨年来高値更新の展開となった。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。

■ミドルウェア「CRIWARE」を開発・許諾販売

 音声と映像のミドルウェア「CRIWARE」を主力として開発・許諾販売している。音声・映像データを圧縮する技術、および優れた再生技術を強みとしている。

 18年9月期の事業分野別売上構成比は、ゲーム分野が58%、組み込み分野(遊戯機、家電、業務用機器、車載など)が23%、医療・ヘルスケア分野が7%、新規分野(動画圧縮、Web動画など)が10%、およびウェブテクノロジ(18年5月子会社化)が3%だった。なおゲーム分野における「CRIWARE」契約タイトル数は18年9月末時点で累計4577となった。

 重点戦略として、スマホゲーム分野は中国におけるブランド認知度向上やシェア拡大を推進するとともに、新規注力分野としてWeb動画、監視カメラ、映像配信、車載分野などへの展開を推進している。18年3月にはイスラエルのTerafenceと資本業務提携し、IoTサイバーセキュリティソリューションの海外展開を開始した。また2月7日には中国に子会社を設立(19年3月予定)すると発表した。

■19年9月期利益横ばい予想だが1Q大幅増益で通期上振れ余地

 19年9月期連結業績予想は、売上高が18年9月期比15.8%増の19億円、営業利益が2.1%増の4億10百万円、経常利益が1.5%増の4億20百万円、純利益が2.4%増の2億91百万円としている。スマホ向けが好調に推移し、ウェブテクノロジの通期連結も寄与して2桁増収だが、研究開発体制整備などの先行投資負担で利益横ばい予想としている。

 第1四半期は、売上高が前年同期比54.7%増の4億74百万円で、営業利益が8.0倍の1億35百万円、経常利益が7.8倍の1億38百万円、純利益が6.5倍の95百万円だった。主力の「CRIWARE」ライセンス売上が好調に推移して大幅増収増益だった。

 ゲーム分野は16.0%増収だった。国内ライセンス売上がスマホ向けを中心に好調だった。料金体系改定効果も寄与した。組み込み分野は18.9%増収だった。車載・家電・IoT関連が好調だった。医療・ヘルスケア分野は4.6倍増収だった。前期受注のクリニック向け大型開発案件が順調だった。前期第4四半期から新規連結したウェブテクノロジの売上も寄与した。

 通期の事業別売上高の計画は、ゲーム分野がスマホ向けや「Nintendo Switch」向けの拡販で4.5%増の9億85百万円、組み込み分野が業務用エンターテインメント機器関連の開発サイクルの影響で5.7%減の3億55百万円、医療・ヘルスケア分野がクリニック向け大型システム開発案件の継続受注で24.2%増の1億40百万円、新規分野がWeb動画ミドルウェアの新規契約や監視カメラ関連の提案強化で13.3%増の1億80百万円、ウェブテクノロジが2億40百万円としている。

 通期は、中国市場でのシェア獲得など中期成長に向けた先行投資負担で利益横ばい予想だが、第1四半期が大幅増益だったことを考慮すれば、通期予想に上振れ余地がありそうだ。さらにWeb動画や監視カメラ分野などへの事業展開を加速して中期成長期待が高まる。

■株価は昨年来高値更新の展開

 株価は急伸して昨年来高値更新の展開となった。18年12月高値3450円を突破し、2月13日には3575円まで上伸した。自律調整を交えながら上値を試す展開が期待される。2月13日の終値は3520円、今期予想連結PER(会社予想連結EPS60円55銭で算出)は約58倍、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS483円63銭で算出)は約7.3倍、時価総額は約175億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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