【アナリスト水田雅展の銘柄分析】マルマエは下値を着実に切り上げ、収益改善基調を評価

【アナリスト水田雅展の銘柄分析

 精密部品加工のマルマエ<6264>(東マ)の株価は、2月の年初来高値から反落して調整局面だが下値を着実に切り上げている。15年8月期業績に再増額の可能性があり、4月13日発表予定の第2四半期累計(9月~2月)業績に対する期待感も高まる。収益改善基調を評価して高値圏を目指す展開だろう。

 半導体・FPD(フラットパネルディスプレー)製造装置に使用される真空部品や電極などの精密加工事業を展開し、新規分野として光学装置分野などの精密加工も強化している。

 1月23日に事業再生計画(11年7月に事業再生ADR成立)の終結を発表した。16年10月末日の最終弁済をもって終了する計画だったが、強固な収益体質の確立と財務体質の改善に目途がついたため、終了期間を前倒しして15年1月末日をもって事業再生計画を終結した。

 なお残存債務については金融機関から新たに通常の借入を行ったうえで弁済する。債務の株式化を行ったA種優先株式については、分配可能額が積み上がる早い時期に買い戻しを行う方針としている。

 今期(15年8月期)の業績(非連結)見通し(2月9日に増額修正)は、売上高が前期比23.0%増の19億50百万円、営業利益が同12.4%増の3億円、経常利益が同11.8%増の2億85百万円、純利益が同2.3%減の2億95百万円としている。

 半導体分野の受注・出荷検収が好調であり、FPD分野の受注も回復傾向を強めている。その他分野の出荷検収も順調だ。増収に伴って売上原価率の一段の改善が期待され、通期見通しに再増額の可能性があるだろう。収益は改善基調だ。

 15年2月度の月次受注残高(速報値)を見ると、半導体分野が1億63百万円、FPD分野が62百万円、その他分野が42百万円、合計が2億69百万円(前月比1.2%増加、前年同月比1.0%減少)だった。その他分野は出荷検収が順調に進んだため受注残高が減少したが、半導体分野は受注(受注残高は前月比6.8%増、前年同月比2.3倍増)および出荷検収とも増加基調だ。またFPD分野の受注残高は前月比13.9%増、前年同月比7.4倍増と回復が本格化している。

 株価の動きを見ると、15年8月期業績見通しの増額修正を好感した2月の年初来高値1243円から反落して調整局面だが、1000円台を大きく割り込む動きは見られず下値を着実に切り上げている。

 4月6日の終値1025円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS168円00銭で算出)は6~7倍近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS86円03銭で算出)は12倍近辺である。

 週足チャートで見ると26週移動平均線が下値を支え、一旦割り込んだ13週移動平均線突破の動きを強めている。そして下値を着実に切り上げている。15年8月期業績に再増額の可能性があり、4月13日発表予定の第2四半期累計(9月~2月)業績に対する期待感も高まる。収益改善基調を評価して高値圏を目指す展開だろう。

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