【編集長の視点】ポエックは反落も2期ぶりの過去最高業績を見直し再生医療関連の穴株人気は継続

 ポエック<9264>(JQS)は、前日5日に25円安の2950円と反落して引けた。ただ2月27日につけた年初来安値2890円を前に下げ渋る動きもみせており、下値には今2019年8月期純利益が、2期ぶりに過去最高更新と予想されていることを見直し売られ過ぎ訂正買いが続いており、再生医療ベンチャーのアムノス(富山県下新川郡)に追加出資したことも再生医療関連の穴株買い要因となった。株価特性的にもスプリンクラー消火器「ナイアス」とアムノス関連の好材料発表とともに大きく動意付く実績があり、この再現期待を高めている。


■環境・エネルギー事業がV字回復し動力・重機等事業は続伸

 同社の今8月期業績は、売り上げ57億8200万円(前期比0.9%増)、営業利益2億8100万円(前期比42.4%増)、経常利益2億6400万円(同65.5%増)、純利益1億7000万円(同32.1%増)と予想され、純利益は、大きく増益転換して2017年8月期の過去最高(1億4300万円)を2期ぶりに更新する。前期に一時的な大型案件の受注減少や一部持ち越し案件の発生で伸び悩んだ環境・エネルギー事業が、売り上げが前期比13.2%増、セグメント利益が同75.5%増と大きく持ち直し、動力・重機等事業のセグメント利益も同28.3%増と続伸することが要因で、「ナイアス」を中心に前期に売り上げが同54.4%増、セグメント利益が84.3%増と高成長した防災・安全事業の売り上げ、セグメント利益を保守的に見積もったことをカバーする。

 この「ナイアス」は、窒素ガスの圧力で放水し新たな非常用電源の設置を必要としない優位性から病院・有床診療所、介護施設、高齢者集合住宅向けなどに受注を伸ばしているが、期初にはこの設置補助金額がまだ確定していないことで保守的に予想していたが、補正予算成立で補助金額が確定したことから受注は順調に積み上がってきており、下半期以降に本格的な納期を迎える。

 一方、「アムノス」は、富山大学の二階堂敏雄教授らが開発したハイパードライ(HD)技術を用いた胎児由来のHD羊膜の事業化を目的に設立された富山大学発のベンチャーで、ポエックは、昨年6月に同社に出資を発表したあと今回は追加出資、持株比率は14.6%に高まる。羊膜は、免疫原性を有しない組織で、創傷治癒や熱傷などの治癒・組織再生を促進する優れた生体材料である。これまで米国で販売されている凍結乾燥羊膜は、凍結乾燥の影響により組織再生促進能力が低下するが、二階堂教授らは、生羊膜を特殊な乾燥技術を開発して乾燥することで生羊膜に極めて近いHD羊膜の作成に成功しており、アムノスは、膝関節の病気にHD羊膜を利用し製品化する。なお膝関節症の患者は、国内で約2500万人、うち変形性膝関節症患者は800万人、年間2000億円の医療市場が存在すると推定報道されている。

■「アムノス」と「ナイアス」をダブル・エンジンに再発進しまず今年1月高値奪回へ

 株価は、「アムノス」と「ナイアス」には敏感に高値反応し、アムノス出資では5760円高値、ナイアスの東京電力ホールディングス<9501>(東1)の原子力発電施設向け新規受注では6630円高値まで買い進まれ、昨年12月の全般相場急落とともに2900円まで売られアムノスへの追加出資でいったん3730円までリバウンドしたものの、足元では2900円台を固める動きを続けている。アムノスとナイアスを株価再発進のダブル・エンジンにして25日移動平均線の3000円台回復で弾みをつけまず今年1月高値3730円奪回に動こう。(
本紙編集長・浅妻昭治)

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